14967.jpg
MRから単純作業の職種に配転、降格・退職勧奨も…製薬大手従業員、労働審判申し立て
2017年05月11日 17時21分

英国に本社がある製薬大手アストラゼネカの日本支社につとめる男性従業員3人が5月11日、一方的に降格・減給されたうえ、それまでの職務経験・能力を生かすことができない職種に配置転換されたのは無効だとして、同社を相手に地位確認などを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。

3人はいずれも、MR職(医薬情報担当者)として20年以上同社につとめているベテラン従業員。申立書によると、3人は、降格・減給の基準や内容を定めた就業規則がないにもかからず、一方的に降格・減給されたうえ、今年1月から単純な資材管理の仕事しか与えられない職種に配転されたと訴えている。

3人の代理人をつとめる梅田和尊弁護士によると、アストラゼネカ社は2016年、キャリア制度を変更した。3人は新キャリア制度にもとづいて、降格されたり、PIP(業績改善プログラム)の対象となり、昨年秋ごろから、あいまいな理由で退職勧奨を何度も受けるようになっていたという。

英国に本社がある製薬大手アストラゼネカの日本支社につとめる男性従業員3人が5月11日、一方的に降格・減給されたうえ、それまでの職務経験・能力を生かすことができない職種に配置転換されたのは無効だとして、同社を相手に地位確認などを求める労働審判を東京地裁に申し立てた。

3人はいずれも、MR職(医薬情報担当者)として20年以上同社につとめているベテラン従業員。申立書によると、3人は、降格・減給の基準や内容を定めた就業規則がないにもかからず、一方的に降格・減給されたうえ、今年1月から単純な資材管理の仕事しか与えられない職種に配転されたと訴えている。

3人の代理人をつとめる梅田和尊弁護士によると、アストラゼネカ社は2016年、キャリア制度を変更した。3人は新キャリア制度にもとづいて、降格されたり、PIP(業績改善プログラム)の対象となり、昨年秋ごろから、あいまいな理由で退職勧奨を何度も受けるようになっていたという。

●申立人「給料は手取りで3割くらい下がった」

労働審判を申し立てた1人、山梨理さんは30年以上一貫してMR職として勤務。仙台市で妻子と暮らしていたが、今年1月から青森県の資材担当として単身赴任した。パンフレット管理という単純な仕事内容で、1日長くて1時間、短くても30分で終わるという。専用のデスクやノートパソコン、名刺も与えられておらず、給料は手取りで3割くらい下がったそうだ。

山梨さんはこの日の申し立て後、東京・霞が関の厚労省記者クラブでの会見に出席した。山梨さんは「やる仕事がなくて、気持ちを折るための『追い出し部屋』に入れられた」「会話する相手もいないし、パンフレットをただ管理しているだけで、全然やりがいのない仕事をしている」「会社に憎しみがあるわけでなく、より良くしたいと考えている」と心境を語った。

●代理人「配置転換は、権利の濫用で違法だ」

記者会見に同席した梅田弁護士は「賃金減額は、重要な労働条件なので、大原則として、労働者の同意が必要だ。しかし、今回は同意がなく、一方的におこなわれていた。同意が不要な場合も、どういう場合に減給をするのかという基準や手続きが示されていることが必要だが、減給の手続きや内容もまったく明らかにされていない」と説明した。

さらに、配置転換について、梅田弁護士は「今までMR職でずっとやってきた人を単純作業につけるのは、業務上の必要性がない、いやがらせ目的、リストラ目的の配置転換だと考えている。能力をまったく生かせない仕事につかせる配転は、労働者が被る不利益が大きい。権利の濫用で違法だ」と述べた。

山梨さんらが加入している労働組合「東京管理職ユニオン」の鈴木剛執行委員長によると、アストラゼネカでは、不当な賃金ダウンや追い出し部屋に追いやるなど、「退職勧奨が吹き荒れている」という。

別の組合員8人が6月までに降格・減給の無効を求めて提訴する予定のほか、さらに妊娠・出産で産休を取得した女性従業員に対して、会社側が「休んでいる期間中の評価ができない」として降格にしたことがマタニティハラスメント(マタハラ)にあたるとして、女性2人が提訴を検討しているという。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る