15161.jpg
もはや職場の主、「お局さま」のヒドすぎる後輩いびり 退職者続出、パワハラでは?
2020年08月24日 10時23分

「そんなこともできないの?!」。職場の「お局」からのキツい物言いに疲弊している人も少なくない。中には、嫌がらせに耐えきれず、退職する人も。

東京都内の広告関連会社で事務職のアルバイトをしていたカオリさん(20代・女性)もその1人。採用面接ではバイトが他に2人いると聞いていたが、入社と同時になぜか全員退職していた。

その理由が「お局」だと気づくのに時間はかからなかったという。「あなたを見ているとイライラする」「この職場は仕事できない女ばかりでムカつく」などと毎日言われ続けたそうだ。

ある日、ふだんは午前中にくるはずの郵便物が午後に届き、お局の機嫌は最悪に。「郵便の配達が遅れたのはあなたのせいよ、どうしてくれるの」と郵便物やコピー用紙を投げつけられた。

この事件をきっかけに、カオリさんは退職した。お局の態度については、これまで上司にも複数回相談していたが、「(お局は)長く勤務してくれているので、辞めさせることはできない」と言われたという。

「そんなこともできないの?!」。職場の「お局」からのキツい物言いに疲弊している人も少なくない。中には、嫌がらせに耐えきれず、退職する人も。

東京都内の広告関連会社で事務職のアルバイトをしていたカオリさん(20代・女性)もその1人。採用面接ではバイトが他に2人いると聞いていたが、入社と同時になぜか全員退職していた。

その理由が「お局」だと気づくのに時間はかからなかったという。「あなたを見ているとイライラする」「この職場は仕事できない女ばかりでムカつく」などと毎日言われ続けたそうだ。

ある日、ふだんは午前中にくるはずの郵便物が午後に届き、お局の機嫌は最悪に。「郵便の配達が遅れたのはあなたのせいよ、どうしてくれるの」と郵便物やコピー用紙を投げつけられた。

この事件をきっかけに、カオリさんは退職した。お局の態度については、これまで上司にも複数回相談していたが、「(お局は)長く勤務してくれているので、辞めさせることはできない」と言われたという。

●ネットに溢れる愚痴 プライベートにまで口出し

ネット上には「私に聞こえるように『あの子きらーい』と言われた」「何も言われないかわりに、ずっと無視される」などの声がみられる。

中には、プライベートに口出しをしてくるお局も。「あなたはそんなだから旦那が女作って逃げていくのよ」と言われたバツイチの女性や「早く結婚して子ども生んで仕事辞められるといいわね」と言われた独身女性などの声もあった。

お局は正社員の場合もあれば、パートなど「非正規」のこともある。いずれにしても勤続年数が長く、「自分の方が仕事を知っている」と考えていることが多い。

お局の法的責任を追求することはできるのだろうか。金井英人弁護士に聞いた。

●パワハラにはならないの?

ーーお局の行為は「パワハラ」と言えませんか?

まず、誰のどのような行為が「パワハラ」にあたる可能性があるのかについてですが、厚生労働省が公表する定義などでは、

(1)優越的な関係を背景として行われること
(2)業務の適正な範囲を超えて行われること
(3)身体的もしくは精神的な苦痛を与えること又は労働者の就業環境が害すること

という3つ全ての要素を満たすものがパワーハラスメントであるとされています。

そして、これらを満たす職場の「パワハラ」にあたりうる行為として、「6つの行為類型」というものが公表されています(『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』)。

その6類型とは、「身体的な攻撃」、「精神的な攻撃」、「人間関係からの切り離し」、「過大な要求」、「過小な要求」、「個の侵害」の6つです。

このうちのいずれかに該当し、かつ、(1)~(3)の要素のいずれかを欠くものでない場合に、その行為はパワーハラスメントにあたるとされています。

――お局の暴言は該当するんでしょうか?

「死ね」「消えてほしい」などという言動は、当然業務上の必要があってなされるような発言ではありませんし、精神的な苦痛を与えるために発言していることは明らかですから、こうした言動は6類型のうち「精神的な攻撃」にあたる可能性が高いです。

また、業務とは関係のないプライベートなことに口出しするのも、同じく「個の侵害」にあたる可能性があり、どちらも「パワハラ」にあたる可能性があります。  

●正社員、非正規かは関係ない

ーー正社員じゃなかったとしても、パワハラになる?

先ほどの(1)の要素とも関連しますが、上司・先輩など職務上の地位が上の人や、職務上の地位が上でなくとも業務に必要な知識や経験をもっていて、その人の協力がなければ仕事が円滑に行えない立場にある人などが行う行為は、行為を受ける人からすれば逆らえない関係にあるわけですから「優越的な地位に基づいて行われる」といえます。

ですから、相手が正社員であるか、非正規の職員であるかに関わりなく、職場において立場が上であり逆らえない関係にあれば、その人の行為は「パワハラ」にあたる可能性があります。

ーーどのように対処したら良いでしょうか?

近年の法改正により、2020年6月から、事業主には職場でのパワーハラスメントの防止のための措置を講ずる義務が課せられることになりました(中小事業主は2022年4月1日から義務化、それまでは努力義務)。

具体的には、パワハラの相談窓口を定めて周知し、パワハラが発生した場合には迅速に適正な措置をとる体制を整備して、相談者に不利益にならないようにする義務などが事業主に課せられます。

パワハラを受けたと感じた場合には、深刻化する前に、会社内の窓口に相談したり、弁護士などの専門家に相談したりするとよいでしょう。

特に、パワハラがあったか否かが問題になるようなケースでは、証拠の有無が決め手になります。どのような証拠集めをするべきかなど、ケースごとのアドバイスを専門家から早めに受けておくことも大切です。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る