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想田監督「夫婦の20年を国が否定するのは脅威」、夫婦別姓訴訟で「法律に不備」と意見陳述
2018年11月07日 15時18分

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が起こした裁判の第2回口頭弁論が11月7日、東京地裁で開かれた(古田孝夫裁判長)。想田さん柏木さん夫妻は、アメリカで別姓のまま法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、国を相手取って婚姻関係の確認などを求めて提訴している。

この日の口頭弁論では、想田さんが意見陳述を行い、「私たちは日本の法律上婚姻が成立しているにもかかわらず、戸籍によってそのことを証明する術がないために、様々な不利益を被りかねない状況に置かれたままです。この状況は著しく不公平であり、人権侵害に当たる」と訴えた。国は全面的に争う姿勢を示しているが、口頭弁論では裁判長から争点を明らかにするよう、求められる一場面もあった。

選択的夫婦別姓を求め、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が起こした裁判の第2回口頭弁論が11月7日、東京地裁で開かれた(古田孝夫裁判長)。想田さん柏木さん夫妻は、アメリカで別姓のまま法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、国を相手取って婚姻関係の確認などを求めて提訴している。

この日の口頭弁論では、想田さんが意見陳述を行い、「私たちは日本の法律上婚姻が成立しているにもかかわらず、戸籍によってそのことを証明する術がないために、様々な不利益を被りかねない状況に置かれたままです。この状況は著しく不公平であり、人権侵害に当たる」と訴えた。国は全面的に争う姿勢を示しているが、口頭弁論では裁判長から争点を明らかにするよう、求められる一場面もあった。

●「誰もが夫婦別姓になるべきと申し上げているわけではない」

想田さんは意見陳述で、妻である柏木さんと1997年にアメリカのニューヨーク市庁舎で結婚したことを説明。アメリカでは結婚する際、夫婦の姓を同姓か別姓かで選択できるため、迷うことなく別姓を選択したという。また、当時は1996年に法制審議会の答申が出された直後であり、「日本でも近々法改正がなされ、選択的夫婦別姓が認められると信じていた」とした。

そもそも、夫婦別姓を選んだ理由として、「私たちは結婚当初から、お互いが一つに融け合うのではなく、お互いのルーツや違いを尊重しあい、独立した人格を保ちながら、それでも仲良くやっていくことを目指してきました。そういう観点からすると、夫婦のどちらかが相手の姓に変更することには、どうしても違和感が伴います」と語った。

想田さん自身、「想田」姓に愛着も感じ、改姓を想像するだけで「自分の歴史やルーツが上書きされてしまうような、辛い気持ち」になったという。現行法では、婚姻の際に男女のどちらの姓を選んでも良いことになっているが、実際には96%の女性が夫の姓を選んでいることにも触れ、「『結婚の際に姓を変えるのは女性であるべきだ』という暗黙の了解には、男尊女卑の不公平な価値観を感じます」とした。

一方で、「誰もが夫婦別姓になるべきと申し上げているわけではありません」とし、「姓を統一したいという方々の意思は、当然のことながら尊重されるべき。同様に、別姓のまま結婚したいという私たちの意思も尊重していただきたいと感じています」と語った。

憲法第13条には「すべての国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と書かれていることから、「私たちが別姓を選択しても、他の人の自由や権利が侵害されることはないのに、日本の法制度が別姓を選択する自由を阻んでいる」と訴えた。

●「国側が慌てているところをカメラで撮りたかったです」

訴状などによると、海外で結婚する場合は、現地の法律に基づいて行われれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされるため、夫妻の結婚は有効に成立している(法の適用に関する通則法第24条)。しかし、国内では夫婦同姓でないと夫婦の戸籍が作成されないため、法律婚した夫婦であるにも関わらず、戸籍上で婚姻関係を公証できない状態にある。そのため、法律上の不利益を被っているとして、婚姻関係の証明を受ける地位にあるとの確認を求めている。

一方、国側はこれに争う姿勢を示し、婚姻の確認を求める訴え自体が不適法であるとして、棄却を求めている。しかし、この日の口頭弁論では、裁判長から国側に争う点を明らかにするよう、求められる一場面もあった。

口頭弁論後、想田さんは取材に対し、「国側がすごく慌てているところが印象に残り、ドキュメンタリー作家として、カメラを回したかったです。実際は法律が矛盾しているけど、国側は法律にのっとって展開しなければいけないというところがああいうところに現れる。今後、あらゆる詭弁を用いて整合性を持たせようとしてくるのでしょうが、それがビジュアルで見えました」と話した。

また、「今日、国側が衝撃的なことを言っていました。裁判長が僕たち一方に万が一のことがあった時に、一方が相続ができないとお考えですか、と聞きました。国側は『そうです』と。僕たちは結婚して20年間、夫婦として社会関係を送っているし、あらゆることを夫婦前提でやってきたのに、たとえばどちらかが交通事故に遭った時に、治療上の判断をお互いにできないのか、と考えてしまいます。通則上は法律上夫婦であると書いてあるのに、法廷では夫婦と認められないと言っているわけで、僕には脅威と感じました」とした。

次回の口頭弁論は1月23日に予定されている。

(弁護士ドットコムニュース)

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