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元バイトAKB梅澤さんのラーメン店は返金処理…産地偽装、表記ミスの賠償義務は?
2021年11月11日 10時19分
#バイトAKB

元バイトAKBの梅澤愛優香さんが経営するラーメン店の「産地偽装問題」を「文春オンライン」(10月17日)が報じた。

故意ではなく、「メニュー表示に誤り」があったと謝罪した梅澤さんは、対象期間中に食事した客への返金対応を表明している。

同様の表示ミスが発覚した場合、飲食店は必ず返金対応しなければいけないのだろうかラーメンの具材の産地はどこまで重要な情報となりえるのか。

漫画「ラーメン発見伝」を愛読する”ラーメン弁護士”こと西山良紀弁護士は「店とラーメンを好きになるうえで、重要な情報の一つ」と語る。

元バイトAKBの梅澤愛優香さんが経営するラーメン店の「産地偽装問題」を「文春オンライン」(10月17日)が報じた。

故意ではなく、「メニュー表示に誤り」があったと謝罪した梅澤さんは、対象期間中に食事した客への返金対応を表明している。

同様の表示ミスが発覚した場合、飲食店は必ず返金対応しなければいけないのだろうかラーメンの具材の産地はどこまで重要な情報となりえるのか。

漫画「ラーメン発見伝」を愛読する”ラーメン弁護士”こと西山良紀弁護士は「店とラーメンを好きになるうえで、重要な情報の一つ」と語る。

●梅澤さんは、産地偽装ではなく「表示ミス」としている

10月17日、文春オンラインは、店のメニュー表示と、実際に使用されている具材の産地が異なることを「産地偽装」として指摘した。梅澤さんは文春の直撃に「メニューの表記と違う食材を使用していたのは事実です」と答えている。

梅澤さんは同日以降、店のツイッターや公式サイトで、メニュー表示の「三重県産のもやし」を使うべきなのに、仕入れ先の状況が変わったことで「神奈川県産のもやし」を使用したとし、メニュー表示の変更がなされていなかったことなどを報告した。

店では、2019年8月から2021年10月の期間中にラーメンを食べた客に返金する。レシートや領収書、食事した日付のわかる画像などが必要だという。

梅澤さんの店は返金対応を決めたが、一般的には店やホームページ等で示している産地と、実際の産地が異なることが判明した場合、客がもとめれば、店側は返金しなければいけないのだろうか。昼食のほとんどがラーメンという西山弁護士に聞いた。

●産地偽装(故意)でも表記ミス(過失)でも賠償義務は生じる

——飲食店が提供するメニューで、表記と実際の産地が異なるとわかった場合、店は客に返金する義務はあるのでしょうか

特定の産地の食材使用をメニューに記載した飲食店では、店と客との間で「特定の産地の食材を使用した飲食物の売買契約」が成立していることになるので、店はその産地の食材を使用した飲食物を提供する義務があります。

そうでなければ契約違反となり、店は客に生じた経済的損害を賠償する義務を負うことになります。

——その際、故意による「産地偽装」が認められたケースと、表記ミス(過失)のケースでは、結果に違いはあるでしょうか

契約違反による損害賠償義務が生じることは、故意による「産地偽装」であっても、表記ミス(過失)であっても変わりません。

ただし、契約違反であっても経済的損害が発生していなければ賠償義務は発生しません。国産海老とインドネシア産の海老の経済的価値が違うという場合には、「国産の海老」を使用していると記載されたラーメンを注文した客には経済的損害が発生していることになります。

さらに、故意による「産地偽装」が認められた場合には、店は客から、詐欺を理由に契約を取消され返金を求められる可能性があります。ただし、客が契約を取り消せるのは、あくまでも食材の産地にこだわって飲食物を注文した場合に限ります。

詐欺による契約取消の場合、店と客の双方は「原状回復義務」を負うことになります。

原状回復義務の内容として、客から店に商品(飲食物)を、店から客に代金を返還するということになりますが、今回のラーメンのように、客がすでに商品を消費してしまっているようなケースでは、商品の返還ができません。

詐欺による契約の取消であっても、同時履行の抗弁権は発生します。すなわち、どちらかが義務を履行するまで、もう一方は義務を履行しなくてもよいということです。

ですので、原則論からすれば、詐欺であっても、客が商品を返さない以上、店は代金を返さなくてよいということになります。

ただし、事態を招いた責任は店側にあるのに、このような結論になるという点には疑問も感じるところです。

裁判例が見当たらないため、断言できませんが、裁判となった場合、裁判所は個々の事案ごとに(1)差額だけの返金、(2)全額返金、それぞれの解釈を妥当とするか判断するのではないかと思います。

——メニューの表記と実際の産地が異なっていた場合、飲食店にはどのようなペナルティー(営業停止など)が課されることがありますか

表記と実際の産地が異なる場合など不当な表示を規制する「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」は、一般消費者が実際の食材よりも「著しく優良」な食材が使用されていると誤解するような表示を禁止しています。それが故意による「産地偽装」ではなく、表記ミス(過失)であっても許されません。

不当表示を行った飲食店は、行政機関から、不当な表示の差し止め、再発防止策の実施等を命じられることがあります。命令に従わないと、2年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人の場合は、3億円以下の罰金刑)が科される可能性があります。

それだけでなく、故意による「産地偽装」が認められると、さらに罰則の重い不正競争防止法違反(5年以下の懲役または500万円以下の罰金もしくはその両方)や詐欺罪(10年以下の懲役刑)に該当する可能性もあります。

なお、単なる表記ミス(過失)のときには、不正競争防止法違反、詐欺罪にあたりません。

●「ラーメンじゃなくて、情報を食ってる」伝説の漫画のセリフは本当?

——漫画「ラーメン発見伝」第1巻にて、「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」という有名なセリフが出てきます。「食材の産地」という情報は、ラーメン店の客にとってどれだけ重要なものですか

「ラーメン発見伝」はとても勉強になる面白い漫画です。私は、この漫画で学んだ知識を他人に自慢気に語ったりしています。典型的な九州のとんこつラーメンが九州以外では通用しなくなったという話がとても印象に残っています。

「食材の産地」の価値は人それぞれですが、私自身は初めて行くラーメン屋さんについては、ラーメンデータベースや食べログの評価や写真などを参考にすることが多いです。「食材の産地」という情報は重要ではありません。

でも、何度も通う美味しいラーメン屋さんに関しては「食材の産地」も重要な情報の一つになります。おいしいラーメンに出会うと何度もその店に通いたくなり、何度も通っていると、その店とラーメンのことをもっともっと知りたいと思うようになります。

産地の違いで味がどう変わるのかなんて、私には正直わかりませんが、「食材の産地」のこだわりは、店主のラーメンに対する情熱、思い入れの強さの反映かもしれません。それを知ることで、ますます、その店とラーメンのファンになってしまうこともあります。

だから、その店とその店のラーメンをより好きになるうえで「食材の産地」も重要な情報の一つなのかなと思います。

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