15491.jpg
夫から突然の離婚宣告。残された妻は「離婚したければ、解決金を払って!」
2019年07月18日 09時55分

夫から「離婚したい」と言われている女性。「今後子どもと二人で暮らしていく為になるべくお金がほしいです」と弁護士ドットコムに相談を寄せました。

夫は離婚理由として「家の事が心配で仕事に集中できない、一緒にいても不安な未来しかない。性格の不一致での離婚となると思う」と言ったそうです。また離婚に際して、子どもの毎月の養育費と引っ越し代、生活が安定するまでの2、3カ月分の生活費を出すとの条件も提示してきました。

女性はこれに対し、離婚調停をおこして「離婚したければ、解決金を払うよう条件を突きつけたい」と考えています。

夫は有責配偶者ではありませんが、解決金というかたちでお金をもらえる可能性はあるのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

夫から「離婚したい」と言われている女性。「今後子どもと二人で暮らしていく為になるべくお金がほしいです」と弁護士ドットコムに相談を寄せました。

夫は離婚理由として「家の事が心配で仕事に集中できない、一緒にいても不安な未来しかない。性格の不一致での離婚となると思う」と言ったそうです。また離婚に際して、子どもの毎月の養育費と引っ越し代、生活が安定するまでの2、3カ月分の生活費を出すとの条件も提示してきました。

女性はこれに対し、離婚調停をおこして「離婚したければ、解決金を払うよう条件を突きつけたい」と考えています。

夫は有責配偶者ではありませんが、解決金というかたちでお金をもらえる可能性はあるのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

●解決金の金額はどのくらい?

そもそも、解決金というのはどういう位置付けのものでしょうか。

「『解決金』とは、慰謝料や財産分与など法的に金銭的な支払いをする義務がない場合、あるいはそのような義務の有無をはっきりさせない状態で、その紛争を解決するために一定の金額の支払いをするものです。

例えば、法律で定められた離婚原因がないために、裁判では離婚が認められないことが見込まれるような場合で、配偶者が離婚に応じない、あるいは金銭の支払いなしでは離婚に応じないと主張して離婚について合意ができないときに、離婚に合意をしてもらうために一定額の支払いを提示するというのが典型的です」

その際、金額はどのくらいになるのでしょうか。

「解決金の金額は、あくまで離婚をしたい当事者がそのために支払える金額と、離婚をしたくない当事者が『その金額であれば離婚に応じてもいい』と考える金額との兼ね合いで決まるものです。

そのため、婚姻期間の経過、双方の資力、離婚後の生活の見通しなどによってケースバイケースです」

●どんな時に請求できる?

解決金はどのような時に請求できるのでしょうか。

「あくまでも金銭支払いの義務がない、もしくは義務の有無が明らかでないという状況で、『一定のお金を支払ってでも、早く離婚をしたい』という当事者が支払いに応じるというものです。なんらか一定の条件があれば『解決金』を請求できるというものでもありません。

強いて言えば、現実的に支払い能力がある側が、早期の離婚成立を強く希望していること、でしょうか」

今回のケースの場合は、どう考えられますか。女性は離婚調停を申し立てることを考えています。

「いきなり調停の申し立てをすることは避けた方がよいです。

今回のケースのように、一定の解決金の支払いがあれば離婚をしてもいいという場合、まずは具体的に解決金の金額も含めて離婚に応じられる条件を夫に提示し、『合意ができないのであれば、離婚に応じられない』とはっきり意思を伝えた方がいいでしょう。

調停の申立人は離婚を求める当事者なのが一般的ですから、妻がいきなり調停の申立てをすると、夫や裁判所が『離婚には合意ができている』と受け取ってしまうおそれがあります」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る