15683.jpg
クリーニング店、客が衣類を「数か月以上」取りに来ず苦悩…勝手に捨てたらダメ?
2017年09月27日 09時57分

全国のクリーニング店が、客が数か月以上に渡って引き取りに来ない品物を抱え困っているーー。そんな業界団体の調査結果を9月19日、NHKが報じた。

NHKによると、数か月以上にわたって客が引き取りに来ない衣類や、布団などの品物を保管している事業者は、回答があった全国427の事業者のうち87.4%にのぼった。中には25年以上保管していると答えた事業者もいるそうだが、預かった品物は勝手に処分できず、多くの店が困っているという。

衣類を保管し続けることで、スペースも取られるなど、多くのクリーニング店が悩みを抱えている。ある程度期間が経過しても、商品を捨ててはいけないのか。上田孝治弁護士に聞いた。

全国のクリーニング店が、客が数か月以上に渡って引き取りに来ない品物を抱え困っているーー。そんな業界団体の調査結果を9月19日、NHKが報じた。

NHKによると、数か月以上にわたって客が引き取りに来ない衣類や、布団などの品物を保管している事業者は、回答があった全国427の事業者のうち87.4%にのぼった。中には25年以上保管していると答えた事業者もいるそうだが、預かった品物は勝手に処分できず、多くの店が困っているという。

衣類を保管し続けることで、スペースも取られるなど、多くのクリーニング店が悩みを抱えている。ある程度期間が経過しても、商品を捨ててはいけないのか。上田孝治弁護士に聞いた。

●客に所有権がある

「クリーニングに出した衣類については、客にその所有権があり、民法上、所有権は消滅時効にかかりません。したがって、衣類の所有権に基づいて衣類の返還を求める権利も消滅時効にかかることはないというのが民法に基づく結論になりますし、クリーニング業法にも保管期間に関する規定はありません」

所有権が消滅しないとなると、預かったものは永久に処分できないのか。

「クリーニングについては、一つ一つの衣類自体はそれほど高価でないことがほとんどであり、他方で、客が取りに来ないにもかかわらず、クリーニング業者が永遠に衣類を保管しなければならないとなると、クリーニング業者の保管費用等の負担が大きくなってしまいます。

そこで、クリーニング業者が、あらかじめ合理的な衣類の保管期間や、期間経過後の衣類の処分に関する規約等を定め、個々のクリ-ニングの契約に先立ってこの規約等を客側に周知していれば、その規約等の内容に従って衣類の処分をすることもできると考えられます」

●1年を経過するとクリーニング店は賠償責任を負わないという規定がある

現在はどういった規約になっているのか。

「全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が定めたクリーニング事故賠償基準には、クリーニング業者が洗たく物を受け取った日から原則として1年を経過したときはクリーニング業者は賠償責任を負わない旨の規定があります。この原則1年という期間が、クリーニング業者が保管期間に関するルールを定める場合の一つの目安になると思います。

もちろん、規約等で定めることができると言っても、本来は所有権は消滅時効にかからないわけですので、クリーニング業者が全く自由にルールを定められるわけではありません。例えば、規約等で保管期間が極端に短く定められていれば、そのような定め自体が不当な内容として無効になります。

その場合、クリーニング業者は、規約等で定めた保管期間の経過後も、客からの衣類の返還請求や返還不能な場合は返還に代わる損害賠償請求に応じなければならないことになります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る