9月21日まで東京で開かれた「世界陸上」に出場したカメルーンの女性選手が、自身のインスタグラムに投稿した動画をめぐり、波紋が広がっている。
動画には、電車内の吊り革を鉄棒代わりに使う様子が映っており、批判が相次いだ。
女性選手は9月30日までにインスタの動画を9月30日までに削除したうえで「大変申し訳ありません」と謝罪した。
⚫︎吊り革を鉄棒代わりに
問題となったのは、女子円盤投げでカメルーン代表として出場したN・モニー選手が、9月25日にインスタグラムに投稿した動画だ。
吊り革の付いた棒を鉄棒のように使い、ぶら下がったり回転したりするところが収められている。回転の際には靴の裏が吊り革に触れる場面もあった。
コメント欄には身体能力を称賛する声(英語)が寄せられる一方で、「あなたの行為でカメルーンが嫌いになった」「国に対するリスペクトが少しも感じられない」といった批判も殺到した。
批判を受けたモニー選手は投稿を削除。9月30日に更新したインスタグラムで日本語で「大変申し訳ありません」と謝罪した。
添付された画像では、英文で「日本文化を軽視する意図はまったくありませんでした」と釈明。「今後は訪れる土地や文化において、自らの行動に一層の注意を払ってまいります」とコメントした。
⚫︎JR東日本「適切な利用方法ではない」
JR東日本は「当社の車両内であると特定はできない」としつつも、「大崎駅(東京都品川区)の埼京線車内で撮影された可能性がある」と説明した。
車内に他の乗客は見られず、直接的に迷惑をかける状況ではなかったとみられるが、「列車の適切な利用方法ではない。止めていただきたい」と遺憾の意を示した。
さらに「駅構内の秩序を守るためにも、駅や列車をご利用いただく際には、いくつかお願いしなければならないことがあり、それがマナーであると考えている」と指摘。
今後も、外国語も含めた車内放送でマナー向上の呼びかけや、駅構内や車内の巡回に引き続き努める方針を示した。
⚫︎アフリカ諸国への見る目が厳しくなる中、軽率な行動
アフリカ諸国をめぐっては、JICA(国際協力機構)が「アフリカ・ホームタウン」事業を発表したものの、「ホームタウン」という表現に批判が殺到し、9月25日に白紙撤回された。アフリカに対する否定的な感情が渦巻く状況が浮き彫りになっている。
カメルーンは同事業の対象国ではないが、2002年の日韓ワールドカップを通じて日本人にも馴染みのある国の一つだ。今回の迷惑行為は、アフリカ諸国への偏見が強まる中で、火に油を注ぎかねないものとなってしまった。