15756.jpg
道に落ちてるギンナン「タダで食えて最高!」 勝手に拾って大丈夫なの?
2023年11月07日 09時47分

自治体が設けた広場のギンナンを回収するのはダメなのでしょうか——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

イチョウ並木のある市街地などでは、木から落ちたギンナンが歩道を埋め尽くす光景は秋の風物詩です。「秋の味覚」であるギンナンを拾って食べたいということかもしれません。

秋は、ギンナン以外にも柿や栗などの美味しい実がたくさん付く季節です。食べたくなる気持ちはわかりますが、広場や歩道などに落ちている木の実を勝手に回収していいのでしょうか。新保英毅弁護士に聞きました。

自治体が設けた広場のギンナンを回収するのはダメなのでしょうか——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

イチョウ並木のある市街地などでは、木から落ちたギンナンが歩道を埋め尽くす光景は秋の風物詩です。「秋の味覚」であるギンナンを拾って食べたいということかもしれません。

秋は、ギンナン以外にも柿や栗などの美味しい実がたくさん付く季節です。食べたくなる気持ちはわかりますが、広場や歩道などに落ちている木の実を勝手に回収していいのでしょうか。新保英毅弁護士に聞きました。

●ギンナンは原則として「木の所有者のもの」

——落ちているギンナンは法的にどう扱われるのでしょうか。

ギンナンなどの木の実は、法的には「天然果実」に該当します(民法89条1項)。

同条は「天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する」と定めています。つまり、落ちた木の実を取ることができるのは、その木の所有者ということになります。

自治体の広場や歩道の木は通常、自治体が所有していますので、落ちた木の実も木の所有者である自治体が所有していることになります。

——落ちているギンナンを勝手に回収したら犯罪になるのでしょうか。

前提として、他人が所有する「木についた状態」の実を採る行為は窃盗罪(刑法235条)に当たります。

「落ちた」実を回収する行為については、自治体の広場や公道に落ちた木の実は通常、所有者である自治体の「占有」が及んでいないと考えられます。占有が及んでいない他人の所有物を無断で持ち去ることは、占有離脱物横領罪(刑法254条)に当たる可能性があります。

ただし、自治体が落ちた木の実の利用をまったく考えず、清掃時に廃棄しているような場合は、自治体が木の実の所有権を放棄していると評価でき、犯罪にはなりません。

——私有地に落ちている場合はどうでしょうか。

私有地の木の実については、その土地の所有者の占有が及んでいることが多く、これを無断で持ち去ることは窃盗罪に当たるでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る