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猛暑で「生活保護利用者の命が危険に」「エアコン使いたい」、夏季の冷房費上乗せ要望
2018年07月26日 18時32分

死者が多数出るほどの深刻な猛暑が続くなか、生活保護をもらっている人たちがエアコンを使いやすくなるよう、生活保護利用者や支援する弁護士・団体が7月26日に東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見し制度改正などを求めた。

死者が多数出るほどの深刻な猛暑が続くなか、生活保護をもらっている人たちがエアコンを使いやすくなるよう、生活保護利用者や支援する弁護士・団体が7月26日に東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見し制度改正などを求めた。

●「厚労省通知、現場に認識されていない」

厚労省は、エアコンなどの冷房機器を購入する際の費用(上限5万円)と設置費用の支給を認めるよう、保護に関する実施要領を改正。その旨を2018年6月に自治体向けに通知した。具体的には、2018年4月1日以降に生活保護の受給を始め、世帯内に「熱中症予防が特に必要とされる者」がいるなどの要件となっている。

一方、3月末までに保護を受け始めた人は対象外。「それまでの保護費をやりくりして、エアコンをつけるなどの対応をしてほしい」というのが、厚労省のスタンスだという。この日の会見では、「生活保護費が下がってきており、やりくりするのは難しい」として、3月末までに保護を受け始めた人も対象として認めるよう求めた。

また、現場のケースワーカーが通知の存在を認識していない例が数多く見受けられるとして、厚労省通知の周知徹底を図る必要があるとも指摘した。

●「子どもが熱性けいれんに」

会見で、小久保哲郎弁護士は「記録的な酷暑が続くなか、特に高齢・障害・傷病・幼少等の生活保護利用者の命と健康が危険にさらされている」。生活保護費に冷房費を上乗せする「夏季加算」を創設するべきだと訴えた。

さらに、複数の生活保護利用者が自らの深刻な状況を説明。小学2年(8歳)の障害をもつ子どもがいる父親は、「3月末まで」という要件に引っかかり、今回の実施要領改正の恩恵を受けられない。「エアコンがなく、子どもがこの時期に毎年、熱性けいれんを起こしてしまう」と話した。

シングルマザーの女性はエアコンはあるものの、築50年超の住宅に住んでおり、冷房効率が悪いため電気代がかさむことを心配して、十分な時間使えないという。「エアコンを使うことへの我慢や過度の節電をすることは日常茶飯事。(安心して使えるよう)夏季加算を早期に創設してほしい」と求めた。

(弁護士ドットコムニュース)

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