16058.jpg
取調室の奥の「黒い箱」はカメラ、取り調べ「可視化」法案審議で議員が視察
2015年06月03日 17時50分

警察・検察による取り調べの録音録画(可視化)の義務づけなど、刑事司法改革の関連法案が国会で審議されていることを受け、衆院法務委員会の国会議員約20人が6月3日、原宿警察署と東京地検の「取調室」を視察した。このうち東京地検では、メディア取材が許可された。

可視化の義務づけは、警察・検察の取り調べに対して、自分がやってもいない罪を被疑者が「自白」する事件が相次ぎ、えん罪の温床になっていることなどから導入に向けた議論が進められてきた。法案が成立すれば、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で逮捕・勾留された容疑者の取り調べの全過程が対象になる。

警察や検察はすでに試行的に可視化を実施しており、議員たちは東京地検で、説明用に再現された取調室を見学し、録音・録画機材について説明を受けた。黒い箱の中に入った録音・録画用のカメラが部屋の奥に置かれていたが、被疑者や検察官に録画を意識させないため、一見しただけでは分からないようになっていた。

東京地検の担当者によると、再現された取調室は、実際の取調室と広さや備品もほぼ同じ。実際の取調室は、検事と事務官が2人1組で、出勤してから帰宅まで勤務する「執務室」でもある。奥の机に検事が座っており、それと相対する形で手前側に被疑者、サイドに事務官が座る。検察官と被疑者がしたやり取りを、事務官がパソコンに入力して、供述調書をつくる。被疑者は普段、手錠と腰縄をされているが、取り調べの間は、手錠を外されるそうだ。

視察した法務委員会のメンバーには法曹出身者も多く、元検察官の山尾志桜里議員(民主)は検察官用の机に座るよう、他の議員たちに促されていた。

警察・検察による取り調べの録音録画(可視化)の義務づけなど、刑事司法改革の関連法案が国会で審議されていることを受け、衆院法務委員会の国会議員約20人が6月3日、原宿警察署と東京地検の「取調室」を視察した。このうち東京地検では、メディア取材が許可された。

可視化の義務づけは、警察・検察の取り調べに対して、自分がやってもいない罪を被疑者が「自白」する事件が相次ぎ、えん罪の温床になっていることなどから導入に向けた議論が進められてきた。法案が成立すれば、裁判員裁判対象事件と検察の独自捜査事件で逮捕・勾留された容疑者の取り調べの全過程が対象になる。

警察や検察はすでに試行的に可視化を実施しており、議員たちは東京地検で、説明用に再現された取調室を見学し、録音・録画機材について説明を受けた。黒い箱の中に入った録音・録画用のカメラが部屋の奥に置かれていたが、被疑者や検察官に録画を意識させないため、一見しただけでは分からないようになっていた。

東京地検の担当者によると、再現された取調室は、実際の取調室と広さや備品もほぼ同じ。実際の取調室は、検事と事務官が2人1組で、出勤してから帰宅まで勤務する「執務室」でもある。奥の机に検事が座っており、それと相対する形で手前側に被疑者、サイドに事務官が座る。検察官と被疑者がしたやり取りを、事務官がパソコンに入力して、供述調書をつくる。被疑者は普段、手錠と腰縄をされているが、取り調べの間は、手錠を外されるそうだ。

視察した法務委員会のメンバーには法曹出身者も多く、元検察官の山尾志桜里議員(民主)は検察官用の机に座るよう、他の議員たちに促されていた。

●議員「警察と検察で大きな開きがある」

柴山昌彦議員(自民)は視察後に次のような感想を記者たちに述べた。

「百聞は一見にしかず。さきほど視察した原宿警察署の取り調べ室と、東京地検の取調室では、様子が大きく違うと思いました。録音録画のための設備は、東京地検では常設ですが、原宿警察署では使う都度、機材を出してセットするということでした。対応が遅れていると感じました。一次的な捜査機関である警察署で、いかに録音・録画が進んでいくか、もう少し時間がかかるのかなと感じました」

一方、山尾議員は次のように語っていた。

「可視化について、警察と検察で、現状でも大きな開きがあると、率直に実感しました。検察の方が試行が先行していることもありますし、立証して有罪を勝ち取るべき立場にある検察と、その前段階の警察ということで、施設や心理の面で開きがでているのかなあと感じました。

警察にしても検察にしても、可視化の制度化に向けて準備をしていることは事実です。取り調べをオープンにする流れの中で、今回(の法案では捜査手法としての)『通信傍受』が拡大されようとしていたり、『司法取引』という可視化の対象外であるクローズドな仕組みがスタートしようとしています。

オープンな流れの中で、クローズドな制度が始まろうとしているのが、しっくりこないなと思っています。ここから先、刑事手続はどっちの方向性に向かうのか。可視化を中心に、国民にオープンにすべき所をオープンにしていく必要があるのではないかと思いました」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る