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大学を卒業していないのに「大卒」と学歴詐称・・・バレたら「クビ」になるか?
2015年09月18日 11時35分

青森県六戸町で、大学を卒業していないのに「大卒」と学歴を偽ったまま、6年以上も町役場につとめていた男性が、このほど依願退職していたことがわかった。

六戸町によると、男性は2009年4月、「大卒程度」を要件とする「上級一般行政職」として、採用された。その後、町から繰り返し、卒業証明書の提出を求められていたが、それに応じていなかった。

上司への虚偽報告など勤務態度に問題があったことから、町は今年に入って、男性の減給処分を検討しはじめた。そして今年7月、大学に問い合わせたところ、「卒業していない」ことが発覚した。男性は大学に通っていたが、卒業に必要な単位が足りず、退学していたのだという。

男性はすでに依願退職したということだが、今回のように「学歴」を詐称した場合、何らかの罪に問われないのだろうか。また一般企業で、学歴を偽って採用されて、あとからバレた場合、「クビ」になるのだろうか。大山弘通弁護士に聞いた。

青森県六戸町で、大学を卒業していないのに「大卒」と学歴を偽ったまま、6年以上も町役場につとめていた男性が、このほど依願退職していたことがわかった。

六戸町によると、男性は2009年4月、「大卒程度」を要件とする「上級一般行政職」として、採用された。その後、町から繰り返し、卒業証明書の提出を求められていたが、それに応じていなかった。

上司への虚偽報告など勤務態度に問題があったことから、町は今年に入って、男性の減給処分を検討しはじめた。そして今年7月、大学に問い合わせたところ、「卒業していない」ことが発覚した。男性は大学に通っていたが、卒業に必要な単位が足りず、退学していたのだという。

男性はすでに依願退職したということだが、今回のように「学歴」を詐称した場合、何らかの罪に問われないのだろうか。また一般企業で、学歴を偽って採用されて、あとからバレた場合、「クビ」になるのだろうか。大山弘通弁護士に聞いた。

●「学歴詐称」が犯罪に問われることはない

「今回のような学歴詐称が、犯罪に問われる可能性は低いと考えます」

大山弁護士はこのように述べる。どうして、そういえるのだろうか。

「犯罪として思い付くものは、『詐欺』と『文書偽造』です。

しかし、詐欺罪となるのは、人をだまして『財産上の利益』を得た場合です。たとえば、仕事をしていないのに仕事をしたとだまして、賃金の支払いを受けた場合、これに当てはまります。

また、経歴書のような私文書の偽造が犯罪となるのは、権限もないのに他人の名前を使って文書を作成した場合です。

したがって、犯罪は成立しないでしょう」

なお、弁護士ドットコムニュースが六戸町に電話取材したところ、男性は職員採用試験に応募する際、大学の「卒業見込み証明書」を提出していたのだという。

●経歴詐称は、典型的な懲戒事由の一つ

では、一般的な企業だった場合、学歴詐称がバレると、クビになることはあるのだろうか。

「学歴を含めた経歴を詐称することは、典型的な懲戒事由の一つです。裁判でも、経歴の詐称が懲戒事由となることは認められています。

ただし、詐称された経歴が重要なものであることが必要です。

『解雇』という懲戒処分が認められるためには、企業側が採用前に真実の経歴を知っていれば、その労働者と労働契約を締結しなかったといえるような『重大な経歴詐称』の場合に限られます。

逆にいえば、特に重視していない経歴にたまたま嘘があったからといって、すぐに『クビ』ということにはなりません」

今回のケースでは、『大卒』という要件があったが、どう考えればいいのだろうか。

「採用条件に『大卒程度』が明確に決められているわけなので、一般的な民間企業であれば解雇とされる場面です。

なお、この学歴詐称については、『高い学歴』を『低い学歴』に詐称する場合も含まれます。

裁判例には、高卒限定の職に短大卒の学歴を隠して応募して、その後に発覚した場合の懲戒解雇を有効とした例がありますので、注意が必要です(東京地裁・昭和55年2月15日)」

大山弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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