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「妻とは別居している」と聞かされ不倫関係に…相手の妻から慰謝料請求され「支払いたくない」は通用する?
2025年03月09日 09時53分
#慰謝料 #モラハラ #既婚者

既婚男性と交際しているという女性からの相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。

「交際相手の奥様から高額な慰謝料を請求されました。しかし、交際相手から婚姻関係は破綻しており、別居していると聞いていました。それでも慰謝料を払わないといけないのでしょうか」

女性によると、その男性からは「奥様のモラハラが原因で別居した」と聞いていたそうです。別居は少なくとも9カ月に及んでいるとのことで、女性は男性が妻と別居してから交際を始めたそうです。

また、ほかにも、既婚男性と交際しているという女性からは、「妻とは婚姻関係が破綻していると聞いていたので、妻からの慰謝料は払いたくない」という声もありました。

確かに婚姻関係が破綻した後であれば、他の女性と交際しても不法行為にはならず、妻に慰謝料も支払う必要はないでしょう。では、どのような場合に「婚姻関係が破綻していた」と認められるのでしょうか。鈴木菜々子弁護士に聞きました。

既婚男性と交際しているという女性からの相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。

「交際相手の奥様から高額な慰謝料を請求されました。しかし、交際相手から婚姻関係は破綻しており、別居していると聞いていました。それでも慰謝料を払わないといけないのでしょうか」

女性によると、その男性からは「奥様のモラハラが原因で別居した」と聞いていたそうです。別居は少なくとも9カ月に及んでいるとのことで、女性は男性が妻と別居してから交際を始めたそうです。

また、ほかにも、既婚男性と交際しているという女性からは、「妻とは婚姻関係が破綻していると聞いていたので、妻からの慰謝料は払いたくない」という声もありました。

確かに婚姻関係が破綻した後であれば、他の女性と交際しても不法行為にはならず、妻に慰謝料も支払う必要はないでしょう。では、どのような場合に「婚姻関係が破綻していた」と認められるのでしょうか。鈴木菜々子弁護士に聞きました。

●「『妻とは別居している』と聞いていた」

——最初の相談者のケースですが、「『妻とは別居している』と聞いていた」といいます。仮に事実とすれば、数カ月の別居は「婚姻関係が破綻していた」と認められるのでしょうか。

婚姻関係の破綻について明確な定義があるわけではありませんが、一般的には婚姻関係が完全に修復の見込みがない状態になっていることを指します。別居は、破綻の有無を決める際の重要な考慮要素にはなりますが、それだけで破綻の有無が決まるわけではありません。

破綻の考慮要素についても一律基準があるわけではありませんが、多くの裁判例によると、別居の事実に加え、別居に至る経緯、別居期間、夫婦間に不和が生じた期間・その間の生活状況、別居後の交流状況、夫婦双方の婚姻継続の意思(離婚の話し合いが行われていたか)、夫婦の関係修復への努力の有無等が考慮要素とされているようです。

このような事情を総合的に考慮して、別居開始直後にもかかわらず、婚姻関係の破綻を認めた裁判例もあります。そのため、別居開始から数か月が経過していることが破綻と認定されるかについては、他の事情と併せて考慮されることになります。

ただし、実務上、裁判所は破綻を容易に認めない傾向にあるのが実情ですので、よほどの事情がない限りは、破綻が認められない可能性が高いといえます。

一方で、破綻とまでは認められなくとも、少なくとも夫婦関係が円満でなかったと認められる場合には、その程度にもよりますが、慰謝料の減額要素となります。

●「男性の話を信じた」では責任は否定されない

——2人目の相談者の女性は、男性側からのみ「夫婦関係は破綻していた」と聞いていたとのことですが、男性の妻に慰謝料を払わなくて済む理由になるのでしょうか。

単に男性の婚姻関係が破綻していたと信じていたという主観的な事情だけでは、責任は否定されません。

問題は、そのように信じたことについて過失があるかどうかです。

前提として、不貞行為が民法上の不法行為となるためには、故意または過失が必要です。 不貞行為における故意または過失の対象については、相手が既婚者であることの認識のみで足りるのか、婚姻関係の破綻の認識も含むのかについては、統一的見解があるわけではありません。

裁判例では、婚姻関係の破綻の認識は故意または過失の対象に含まないとするものと、含むとするものに分かれています。前者の場合は、この女性は相手が既婚者であることの認識がある以上、責任は否定されません。

後者の場合は、破綻していると信じたことについての女性の過失の有無が問題になりますが、単に男性の言葉を鵜呑みにしていただけでは、過失は否定されないでしょう。この女性のような状況は、実際よくありますが、過失がないとされる事案は稀だと思われます。

なお、男性側の働きかけの内容等、具体的な事情によっては、慰謝料の減額事由として考慮されることはあります。

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