16508.jpg
「私道だから通るな」自宅前で通行人を押し倒して逮捕…通行の阻止自体は問題なし?
2017年11月27日 09時56分

自宅前の道路で男性を突き飛ばしたとして、大阪府堺市の男性(79)が11月8日、傷害の疑いで逮捕された。自宅前の私道を自転車で通行した男性を押し倒したという。

報道によると、自宅前の私道をめぐって、男性は度々トラブルを起こしていた。この道路は周辺住民が共同で所有するものだが、男性は自宅前に白いペンキで「私有地」と書き、通行人を怒鳴りつけていたという。

今回は傷害の疑いだが、そもそも私道であった場合、不特定多数の通行を阻止しても問題ないのか。関戸淳平弁護士に聞いた。

自宅前の道路で男性を突き飛ばしたとして、大阪府堺市の男性(79)が11月8日、傷害の疑いで逮捕された。自宅前の私道を自転車で通行した男性を押し倒したという。

報道によると、自宅前の私道をめぐって、男性は度々トラブルを起こしていた。この道路は周辺住民が共同で所有するものだが、男性は自宅前に白いペンキで「私有地」と書き、通行人を怒鳴りつけていたという。

今回は傷害の疑いだが、そもそも私道であった場合、不特定多数の通行を阻止しても問題ないのか。関戸淳平弁護士に聞いた。

●通路の所有者の権利が制限される場合がある

私道であった場合、不特定多数が通行することはできないのか。

「『私道』は、文字どおり私人が所有する通路のことです。本来であれば、私道は所有者だけ(共有であればその共有者だけ)しか使用できません。所有者が通路を塞いだり『私有地』と書いたりして他人の通行を認めないことも自由です。他人は所有者に無断で通路を通行することはできません。

ただ、この原則を貫くと、公道からの出入りが不可能となるなど、国民生活に支障がでます。そのため、法律や解釈によって、通路の所有者の権利が制限される場合があります」

具体的には、どういった場合に制限されるのか。

「例えば、私道であっても、建築基準法上の道路とされている場合には、その道路の変更や廃止は制限されます。

また、私道の所有者がむやみに他人の通行を妨害することは、『所有権の濫用』と判断されることがあります。回りくどい言い方になりますが、他人に『通行権』が正面から認められるわけではなく、『所有権の行使が制限される結果として、他人であっても通行できる』ということになるのです」

今回の事件の現場となった道路の場合、どうだろうか。

「今回の事件でも、報道されている通路の形状や所有形態からすると、所有者が他人の通行を阻止することは、権利の濫用となる可能性が高いと思います。

なお、私道の所有者にどのような権利があったとしても、暴力などの実力行使によって他人の通行を阻止することは違法であり、傷害罪や往来妨害罪などの刑事責任に問われることになります」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る