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JAXA「いぶき」管制、過労自殺を認定 夜勤16時間「達成困難なノルマ」
2019年04月03日 12時42分

JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で人工衛星の管制業務をしていた男性(当時31)が2016年10月に自殺したのは、長時間労働や上司とのトラブルが原因だったとして、土浦労働基準監督署が労災認定していたことが、4月3日分かった。認定は4月2日付。

遺族代理人を務める川人博弁護士らが厚労省記者クラブで会見を開き、明らかにした。

会見に参加した男性の母・佐藤久恵さんは「息子を失ってしまい、私の人生も終わってしまったと感じています。可能な限り息子を死に至らしめた真実にたどりつきたい」と話した。

JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で人工衛星の管制業務をしていた男性(当時31)が2016年10月に自殺したのは、長時間労働や上司とのトラブルが原因だったとして、土浦労働基準監督署が労災認定していたことが、4月3日分かった。認定は4月2日付。

遺族代理人を務める川人博弁護士らが厚労省記者クラブで会見を開き、明らかにした。

会見に参加した男性の母・佐藤久恵さんは「息子を失ってしまい、私の人生も終わってしまったと感じています。可能な限り息子を死に至らしめた真実にたどりつきたい」と話した。

●管制業務と開発業務「達成困難なノルマ」

亡くなった男性は、佐藤幸信さん。佐藤さんは大学卒業後の2010年4月、独立系SI企業の株式会社「SCC」(東京都中野区)に入社。2015年10月にグループ会社の「宇宙技術開発株式会社(SED)」(中野区)に出向し、JAXA筑波宇宙センターで温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の管制業務をしていた。

佐藤さんは「いぶき」が日本の上空を飛んでいる間に、指令を送って「いぶき」を制御していた。人工衛星は24時間365日途切れることなく精密に制御する必要があり、佐藤さんは「いぶき」の膨大なデータ処理や評価に加え、障害や緊急事態に常に備えていた。

また、2016年2月ごろからは、管制業務をしながら、「いぶき」が日本列島上空を通過して地球を一周して戻ってくるまでの約100分を利用して、人口衛星のスケジュール管理システムのソフトウェア開発も任されていた。

2016年10月12日の朝、自宅で亡くなっているのを上司が発見した。前日にはソフトウェア開発に関して、上司から30分ほど叱責されたという。

労基署は、佐藤さんが2016年9月ごろに適応障害を発病したと認定。管制業務と開発業務の2つの業務を課されたことが「達成困難なノルマが課された」に該当するとし、上司との軋轢やトラブルがあったこと、管制業務で担当変更があり1カ月あたりおおむね45時間以上となる時間外労働があり発症直前には70数時間になったことなどから、心理的負荷の強度は「強」と評価した。

●「環境省やJAXA、改善に取り組むべき」

佐藤さんは亡くなる1カ月前、母親の久恵さんに対して「指導を仰ぎたいと思ってもスルーされて、何も教えてくれない」「仕事だけ増やされるけど、何をしていいのか分からない」などと初めて職場に関する悩みを打ち明けたという。

久恵さんは「システムエンジニアとして順調に暮らしているばかりと思っていた息子の身にいったい何が起きたのか。当初混乱し、途方にくれるばかりでした」と話した。

管制業務は交代制で、月に7回ほど17時20分〜午前9時50分までの夜間勤務があった。

川人弁護士は「いかに公共性の高い仕事であっても、労働者が過労死でなくなることはあってはならない」と指摘。約16時間連続勤務を含む深夜労働が常態化していることから「環境省やJAXAは速やかに改善に取り組むべきだ」と訴えた。

●SED「真摯に丁寧に対応」

SEDは弁護士ドットコムニュースの取材に、「厳しく受け止めております。真摯に丁寧に対応させていただきます」とコメントした。

(弁護士ドットコムニュース)

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