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迫力ある写真のために「撮り鉄」が仕掛けた? ラッセル車の緊急停車、線路上に「雪のかたまり」を持ち込む罪
2025年02月16日 09時55分
#撮り鉄 #ラッセル車 #宗谷線 #列車往来危険

北海道北部の町の線路上に雪のかたまりが積み上げられて、除雪作業で走行していた「ラッセル車」が手前で緊急停車するという出来事があった。

雪が積み上げられていたのは、北海道・美深町のJR宗谷線。報道によると、2月1日、約50センチの高さの雪が線路をふさいでいることに運転手が気づいて、20メートルほど手前で急停車したという。

当時、線路上に雪は積もっていなかったため、雪をはね飛ばすラッセル車の写真を撮影するために何者かが、線路外から持ち込んだ可能性があるという。

もし実際に雪を線路上に持ち込んでいた場合、このような行為は法的にどんな問題があるのだろうか。鉄道にくわしい甲本晃啓弁護士に聞いた。

北海道北部の町の線路上に雪のかたまりが積み上げられて、除雪作業で走行していた「ラッセル車」が手前で緊急停車するという出来事があった。

雪が積み上げられていたのは、北海道・美深町のJR宗谷線。報道によると、2月1日、約50センチの高さの雪が線路をふさいでいることに運転手が気づいて、20メートルほど手前で急停車したという。

当時、線路上に雪は積もっていなかったため、雪をはね飛ばすラッセル車の写真を撮影するために何者かが、線路外から持ち込んだ可能性があるという。

もし実際に雪を線路上に持ち込んでいた場合、このような行為は法的にどんな問題があるのだろうか。鉄道にくわしい甲本晃啓弁護士に聞いた。

●「列車往来危険」や「業務妨害」などの罪に問われる可能性

――どんな点が法的に問題だと考えられますか?

報道によると、JR北海道は警察に相談しており、警察は「はね飛ばす迫力のある写真を撮影するために、何者かが投げ入れた可能性があるとみて、列車往来危険の疑いも視野に調べる方針」ということです。

まず、列車往来危険について説明が必要だと思います。これは刑法125条に定められた罪で、わざと列車の脱線や転覆などの原因となるような危険を生じさせた場合に適用されます。2年以上の有期懲役という重い刑罰が定められており、ひと言でいえば「重罪」です。鉄道事故がひとたび起きると甚大な被害をもたらすおそれがあるからです。

そして、この罪は「危険を生じさせた段階」で成立してしまうので、今回のように、直前で列車が停止して被害がなかった場合も処罰されます。

――除雪車なのだから問題はなかった、といえないでしょうか?

JR北海道が公開した写真を見たところ、たしかに線路上の雪は人為的に置かれたように感じました。そして、線路上に50センチの厚さの雪が置かれていたということですから、脱線の危険はあったと考えられます。

国土交通省が公開している鉄道事故報告書に、JR上越線で2005年、30〜40センチ程度の積雪で今回と同じ型のラッセル式除雪機関車(DE15形)が脱線事故を起こした事例が記されています。

除雪前の線路には、自然降雪した雪が一定の厚みで覆われています。不自然な雪塊が線路上にあれば、何か障害物が雪に埋まっている可能性があることから運転士は列車の運行を止め、安全確認を余儀なくされます。

もし、脱線の危険がなかったとしても、鉄道の運行業務を妨害している点で、業務妨害の罪(刑法233条・234条、3年以下の懲役または50万円以下の罰金)にあたります。

なお、理由の如何を問わず、線路への立ち入りは、鉄道営業法違反の罪(1万円以下の科料)にあたります。

●社会的な問題を起こす「撮り鉄」は、ごく一部の人たち

――今後どのような展開が想定されますか?

今回の現場には、少なくとも複数の撮影者がいたということなので、誰かが雪を線路上に置いたのだとすると、それを見ていた人もいた可能性があります。もしかすると動画が残っているかも知れません。警察が捜査を進めれば、そういった目撃者の話から犯人が絞り込まれるかもしれません。もし心当たりがあれば、自首をすることをすすめたいと思います。

――こういった事件があるたびに「撮り鉄=悪」という受け止め方が広がっているように思いますが、どう考えますか?

社会的な問題を起こす「撮り鉄」は、ごく一部の人たちです。ですので、安易なレッテル貼りは好ましくありません。本当に困っているのは、健全に「撮り鉄」を楽しまれている方々ではないでしょうか。

インスタ映えなどと言いますが、誰しも映える写真にしたいと思うのはごく自然なことです。それは、鉄道写真も同じです。今回はその列車の特性をより強調するために雪を置いた疑いがある事例ですが、「撮り鉄」をめぐるトラブルのほとんどは、他人の迷惑を顧みずに自己中心的になる行動に出るケースで、その反倫理的な行動が衆目を集めます。

たとえば、鉄道施設(ロープ)を破壊したり、木を切ったり、通行する一般の人に対して罵声を浴びせて追い出したり・・・など枚挙に暇がありません。

よく考えてみると、こうして世間に白い目を向けられてまで作り出した画像は、現実にはありえなかった虚構を写したものです。真実を写すと書いて「写真」です。フィクションである単なる画像は、写真と呼んではならないでしょう。結局、生成AIを使って加工した画像と変わりがありません。邪魔な障害物があっても力ずくで取り除かず、AIで消去した作品のほうが人に迷惑をかけない分、平和的で好ましいと思います。

雪を豪快にはね飛ばしている写真を撮りたければ、大雪の日を待たないとなりません。なかなかそういったチャンスにめぐり会えないかもしれません。だからこそ、真実を写した価値があるのです。雪を線路上に置くのは、ゲーム用語で言うチート行為です。AIで現実と見紛うような画像を生成するのとどこが違うのでしょうか。意味のないことをして、他人に迷惑をかけていることに、気付くべきだと思います。

どんな写真であっても、その一瞬をその場所で撮ったことに価値があります。法律とマナーを守って撮影を楽しんでいただければと思います。

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