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路上トラブルで相手を殴った男性「有罪だが、刑は免除」 なぜ、そんな判決が出たの?
2015年05月11日 12時25分

有罪だが、刑は免除するーー。そんな珍しい判決が今年2月、大阪簡易裁判所で下されていたことが分かった。報道によると、通行トラブルで男性を殴ってケガを負わせたとして、傷害罪に問われた男性工員(23)に対して、大阪簡裁は、有罪としつつも、刑を免除する判決を出した。先に攻撃してきた負傷男性と同じ不起訴処分が相当と判断したためという。

毎日新聞の記事によると、男性工員は2013年6月、大阪市内の歩道を弟と妹と3人で、それぞれ自転車で通行中、すれ違った男性2人組から「ボケ」などと怒鳴られた。さらに、2人のうち1人が追いかけてきて男性工員に詰めより、止めに入った弟の胸ぐらをつかんだため、殴って反撃したのだという。

このような事件について、検察は、男性工員だけを略式起訴し、相手の男性は起訴猶予にしていた。つまり、男性工員だけが裁かれる形となっていた。

「有罪だが、刑は免除」というケースが報じられることはあまりない。「刑の免除」はどんな場合に認められるのか。また、今回はなぜ、刑が免除されたのだろうか。刑事事件にくわしい永芳明弁護士に聞いた。

有罪だが、刑は免除するーー。そんな珍しい判決が今年2月、大阪簡易裁判所で下されていたことが分かった。報道によると、通行トラブルで男性を殴ってケガを負わせたとして、傷害罪に問われた男性工員(23)に対して、大阪簡裁は、有罪としつつも、刑を免除する判決を出した。先に攻撃してきた負傷男性と同じ不起訴処分が相当と判断したためという。

毎日新聞の記事によると、男性工員は2013年6月、大阪市内の歩道を弟と妹と3人で、それぞれ自転車で通行中、すれ違った男性2人組から「ボケ」などと怒鳴られた。さらに、2人のうち1人が追いかけてきて男性工員に詰めより、止めに入った弟の胸ぐらをつかんだため、殴って反撃したのだという。

このような事件について、検察は、男性工員だけを略式起訴し、相手の男性は起訴猶予にしていた。つまり、男性工員だけが裁かれる形となっていた。

「有罪だが、刑は免除」というケースが報じられることはあまりない。「刑の免除」はどんな場合に認められるのか。また、今回はなぜ、刑が免除されたのだろうか。刑事事件にくわしい永芳明弁護士に聞いた。

●正当防衛でやりすぎてしまったケース

「刑の免除とは、有罪ではあるけれど、刑を科さないという判決です。免除にあたるケースはいろいろありますが、今回は『過剰防衛』のケースだと思われます」

永芳弁護士はこのように切り出した。「過剰防衛」とはなんだろう。

「過剰防衛とは、簡単に言えば、正当防衛でやりすぎてしまったというケースです。

さしせまった侵害行為に対して、自分や第三者の権利を守るためにやむを得ずした行為は、正当防衛として無罪になります(刑法36条1項)。ただし、『やむを得ずにした』といえるためには、その反撃が防衛手段として、必要最小限である必要があります。

必要最小限といえない反撃は、正当防衛にあたりません。しかし、そのような場合でも『過剰防衛』として、情状によって刑を軽くしたり、刑を免除することができると定められています(刑法36条2項)」

なぜ、刑が軽くなるのだろうか。

「さしせまった侵害を受けているという状況では、多少のやりすぎがあったとしても、違法性や責任(非難できる程度)が減少するからだと考えられています」

●「処罰するのは気の毒な状況だった」

今回のケースは、なぜ刑が免除されたのだろうか。

「この事件の判決では、男性工員が被害者にケガをさせたという事実を認めたうえで、有罪としつつも、『強い非難はできない』との判断を示して、免除としています。

起訴した検察官の態度についても、『タガログ語の通訳を付けながら詳細に再聴取せず、単なるけんかと決めつけて不公平な処理をした』と批判しています。

証拠のすべてを見ていないので、はっきりしたことは言えませんが、判決で『先に攻撃をした負傷男性が返り討ちに遭った事件で自業自得だ』との判断が示されていることからすると、男性工員にとって、処罰までするのは気の毒な状況だったのだろうと思われます」

永芳弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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