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店から逃げ出したニシキヘビが子どもを「絞め殺した」 ペットショップの責任は?
2013年08月22日 11時55分

ペットショップから逃げ出したニシキヘビが、子ども2人を絞め殺すという事件がカナダであり、日本でも話題になっている。

報道によると、カナダ東部のニューブランズウィック州で8月5日朝、友人宅に泊まっていた4歳と6歳の少年が死亡しているのが見つかった。検死の結果、窒息死だったことが確認されたという。階下のペットショップから逃げ出した全長4メートル、体重45キロのアフリカニシキヘビが換気口から部屋に入り込み、2人を絞殺したと見られている。

日本でも昨年、ペットショップの飼育場で、店の経営者の家族が全長約6.5メートルのアミメニシキヘビに襲われて死亡したとみられる事件があった。こうした巨大なヘビがペットショップから逃げ出して人を襲ったら、ペットショップの管理怠慢が問われ、刑事責任や民事責任を問われることがあるのだろうか。坂野真一弁護士に聞いた。

●ペットショップは「業務上必要な注意を怠った」

「もし、アメリカと同じような事件が日本で起きたとしたら……という仮定だと、ペットショップ側の刑事責任としては、業務上過失致死(刑法211条1項前段)に該当する可能性が高いでしょう。法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です」

――商品のペットを逃がしてしまったことが、業務上の過失になる?

「本件の場合、ペットショップが販売のためにニシキヘビを仕入れて飼育することは業務と言えましょう。

また、ペットショップの不注意でニシキヘビが逃げ出していますから、業務上必要な注意をペットショップ側は怠っていたと言えます。その注意義務違反に起因して子供が死んでいるのですから、結果に対する相当因果関係も認められるでしょう」

――仕事でやっていたなら、何でも「業務上」になる?

「ここでいう『業務』は、『人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であり、かつ、他人の生命身体に危害を加えるおそれのあるもの』とされています。いわゆる『仕事』とは定義が違います」

――ニシキヘビが店ではなく、個人の家から逃げ出したなら?

「仮に個人の方がニシキヘビをペットとして飼っていた場合であれば、過失の度合いによって、過失致死罪(刑法210条)や、重過失致死罪(刑法211条1項後段)が適用される可能性があります。

法定刑はそれぞれ、過失致死罪が50万円以下の罰金。重過失致死罪が5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です」

――民事責任は問える?

「もう一度状況を確認すると、ペットショップはニシキヘビの所有者ですが、ペットショップがニシキヘビを利用して、誰かに危害を加えたわけではありません。被害者が死亡したのは、あくまでニシキヘビの独立した行動の結果です。

そこでアプローチとしては、民法718条にある『動物占有者の責任』を追及するのが、素直でしょう。一般的な不法行為責任(民法709条)を追及することも可能ですが、責任が立証しやすいという点で、民法718条に基づいた請求の方が有利です」

坂野弁護士は「なお、人に危害を加えるおそれのある危険な動物(特定動物)を飼う場合には、動物種・飼養施設ごとに都道府県知事または政令市の長の許可が必要です。また、飼養施設の構造や保管方法についての基準を守らなくてはなりません」と注意を呼びかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)

ペットショップから逃げ出したニシキヘビが、子ども2人を絞め殺すという事件がカナダであり、日本でも話題になっている。

報道によると、カナダ東部のニューブランズウィック州で8月5日朝、友人宅に泊まっていた4歳と6歳の少年が死亡しているのが見つかった。検死の結果、窒息死だったことが確認されたという。階下のペットショップから逃げ出した全長4メートル、体重45キロのアフリカニシキヘビが換気口から部屋に入り込み、2人を絞殺したと見られている。

日本でも昨年、ペットショップの飼育場で、店の経営者の家族が全長約6.5メートルのアミメニシキヘビに襲われて死亡したとみられる事件があった。こうした巨大なヘビがペットショップから逃げ出して人を襲ったら、ペットショップの管理怠慢が問われ、刑事責任や民事責任を問われることがあるのだろうか。坂野真一弁護士に聞いた。

●ペットショップは「業務上必要な注意を怠った」

「もし、アメリカと同じような事件が日本で起きたとしたら……という仮定だと、ペットショップ側の刑事責任としては、業務上過失致死(刑法211条1項前段)に該当する可能性が高いでしょう。法定刑は5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です」

――商品のペットを逃がしてしまったことが、業務上の過失になる?

「本件の場合、ペットショップが販売のためにニシキヘビを仕入れて飼育することは業務と言えましょう。

また、ペットショップの不注意でニシキヘビが逃げ出していますから、業務上必要な注意をペットショップ側は怠っていたと言えます。その注意義務違反に起因して子供が死んでいるのですから、結果に対する相当因果関係も認められるでしょう」

――仕事でやっていたなら、何でも「業務上」になる?

「ここでいう『業務』は、『人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為であり、かつ、他人の生命身体に危害を加えるおそれのあるもの』とされています。いわゆる『仕事』とは定義が違います」

――ニシキヘビが店ではなく、個人の家から逃げ出したなら?

「仮に個人の方がニシキヘビをペットとして飼っていた場合であれば、過失の度合いによって、過失致死罪(刑法210条)や、重過失致死罪(刑法211条1項後段)が適用される可能性があります。

法定刑はそれぞれ、過失致死罪が50万円以下の罰金。重過失致死罪が5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です」

――民事責任は問える?

「もう一度状況を確認すると、ペットショップはニシキヘビの所有者ですが、ペットショップがニシキヘビを利用して、誰かに危害を加えたわけではありません。被害者が死亡したのは、あくまでニシキヘビの独立した行動の結果です。

そこでアプローチとしては、民法718条にある『動物占有者の責任』を追及するのが、素直でしょう。一般的な不法行為責任(民法709条)を追及することも可能ですが、責任が立証しやすいという点で、民法718条に基づいた請求の方が有利です」

坂野弁護士は「なお、人に危害を加えるおそれのある危険な動物(特定動物)を飼う場合には、動物種・飼養施設ごとに都道府県知事または政令市の長の許可が必要です。また、飼養施設の構造や保管方法についての基準を守らなくてはなりません」と注意を呼びかけていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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