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既婚男性「ネット恋愛」で「結婚しよう」と約束、別れ話でトラブルに…法的問題は?
2017年07月03日 09時58分

SNSやネットを通して恋に発展する「ネット恋愛」。実際に会うこともないのに、「愛している」「結婚しよう」と盛り上がってしまうこともあるようです。そんな当事者になってしまった男性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せました。

相談者の男性は既婚ですが、「いわゆるネット恋愛」に夢中になっていたそうです。年上の独身女性と盛り上がってしまい、「愛してる、結婚しようね」と、やりとりをするまでに。この間、会ったことはなく、当然のことながら肉体関係はありません。仕事が忙しくなるとともに、気持ちも冷め、彼女に別れのメールを送ったそうです。

彼女は「絶対に別れることは許さない」と一点張り。相談者が冷たく対応していくと、彼女は自殺未遂を図ったそうです。「彼女の元旦那」を名乗る男性から怒りの電話があり、「そちらの家族も交えて話がしたい」と言われ、相談者は困っているそうです。

そもそも会ったことすらなく、性的関係もない相手との「ネット恋愛」でも、婚約が成立したり、不貞行為となり得たりするのでしょうか。浅野英之弁護士に聞きました。

SNSやネットを通して恋に発展する「ネット恋愛」。実際に会うこともないのに、「愛している」「結婚しよう」と盛り上がってしまうこともあるようです。そんな当事者になってしまった男性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せました。

相談者の男性は既婚ですが、「いわゆるネット恋愛」に夢中になっていたそうです。年上の独身女性と盛り上がってしまい、「愛してる、結婚しようね」と、やりとりをするまでに。この間、会ったことはなく、当然のことながら肉体関係はありません。仕事が忙しくなるとともに、気持ちも冷め、彼女に別れのメールを送ったそうです。

彼女は「絶対に別れることは許さない」と一点張り。相談者が冷たく対応していくと、彼女は自殺未遂を図ったそうです。「彼女の元旦那」を名乗る男性から怒りの電話があり、「そちらの家族も交えて話がしたい」と言われ、相談者は困っているそうです。

そもそも会ったことすらなく、性的関係もない相手との「ネット恋愛」でも、婚約が成立したり、不貞行為となり得たりするのでしょうか。浅野英之弁護士に聞きました。

●「ネット恋愛」でも婚約は成立するのか?

まず、「恋愛」は、あくまでも個人の自由です。男女の恋愛は「自由恋愛」が原則であり、法律に縛られることはむしろ例外です。

そこで、どのような場合に法律上の問題点に注意しなければならないのか、ご相談の「ネット恋愛」のケースに即して解説していきます。

ご相談のケースの問題点の1つ目は、ネット恋愛で「結婚しよう」と盛り上がってしまったことが「婚約」にあたり、結婚に対する相手の期待を裏切ることが「婚約破棄」になるのではないか、という点です。

「婚約」にあたるとすれば、約束通り結婚しなければ、「婚約破棄」を理由とする慰謝料が発生してしまうからです。

しかし、裁判例で慰謝料が認められるような「婚約」は、口頭の合意だけでは足りないとされることが一般的であり、婚約指輪を渡したり、結納を済ませたり、両親などの親族に挨拶をしたりといった、様々なイベントが「婚約」を認定する重要なポイントとなります。

すなわち、「婚約」と言えるためのハードルはかなり高く、ネット恋愛で、会ったこともない人との間で、「結婚しよう」と盛り上がった程度では「婚約」とはいえないと考えます。

●会ったことがないのに「不貞行為」になる?

ご相談のケースの問題点の2つ目は、ネット恋愛に夢中になることが「不貞行為」になるのではないか、という点です。

裁判例では、「不貞行為」は肉体関係(性行為)を伴うものであるという理解が一般的ですから、ネット恋愛でどれほど「愛してる」と発言したとしても、「不貞行為」とはならないのが原則です。

しかしながら、「不貞行為」にあたらないとしても、配偶者に対して大きな精神的苦痛を与えれば、慰謝料が発生する可能性があります。

また、「不貞行為」は、民法770条1項1号で、独立の離婚原因となりますが、「不貞行為」にあたらなかったとしても、配偶者の精神的苦痛に全く配慮せずにネット恋愛に興じる行為は、同項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に当たる可能性があります。

つまり、ネット恋愛に熱中しすぎることは、慰謝料を支払わなければならないだけでなく、場合によっては、離婚原因ともなりかねないということです。

今回のケースでは、相手の女性に対しては、婚約は成立しておらず、慰謝料請求を支払う必要はないでしょう。しかし、このことが相談者の妻にバレた場合には、慰謝料を支払ったり、離婚原因になったりする可能性が出てくると考えられます。

(弁護士ドットコムニュース)

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