東京都小金井市で2016年5月、音楽活動をしていた冨田真由さんがファンの男に刃物で刺され、重傷を負った事件。
冨田さん側が警視庁を管轄する東京都に損害賠償を求めた裁判は今年7月、東京地裁で和解が成立した。
見舞金の金額は非公表だが、冨田さん側は「(通常の)見舞金を十分に超える額であり、警視庁が非を認めたに等しいもの」と評価している。
この和解について、7月下旬、警視庁に見解を尋ねたところ、8月中旬までに回答があった。
この中で、警視庁は「国家賠償法上の違法はないとの前提に立ちつつも、冨田さんが甚大な犯罪被害を受けたことを重く受け止め、和解内容に合意した」と説明。
そのうえで「相談者やその関係者の心情に寄り添った対応を行い、今後とも相談者等の安全の確保を最優先とした対処を確実に実施してまいります」としている。
以下、質問と回答を掲載する。
●警視庁「甚大な犯罪被害を受けたことを重く受け止めた」
──本件和解およびその内容について、御庁としてのご見解をお聞かせ ください。
裁判所から和解の勧試(編集部注:裁判所が和解をすすめること)を受け、警視庁は、本件について国家賠償法上の違法はないとの前提に立ちつつも、冨田さんが甚大な犯罪被害を受けたことを重く受け止め、和解内容に合意したものです。
警察で事前に相談を受けながら、被害を防止できなかったことを重く受け止め、同種事案の再発防止に向け、引き続き、組織一丸となって取り組んでまいります。
また、事件で被害を受けた冨田さんに対しては、心よりお見舞い申し上げるとともに、お身体の回復をお祈りしております。
──和解条項には、再発防止に向けて「被害者の声に真摯に耳を傾け、事態対処チームへの情報の集約、事案の危険性・切迫性の的確な判断、組織的対応の強化」などが盛り込まれたとされています。御庁として、これらの趣旨を踏まえ、今後どのような具体的対応を予定されているか、ご教示ください。
警視庁では、人身安全関連事案への対処に当たっては、警察署の刑事課員と生活安全課員が共同認知・共同聴取・共同対応を行うなど生活安全部門と刑事部門が緊密に連携した対応を行うなどして事案の危険性・切迫性の的確な判断を行うともに、人身安全関連事案事態対処チームへの情報の速報等により事案認知時から本部が関与するなど、人身安全関連事案に対する組織的対応の更なる強化に取り組んでおります。
また、相談者やその関係者の心情に寄り添った対応を行い、今後とも相談者等の安全の確保を最優先とした対処を確実に実施してまいります。