17535.jpg
会社の経費で「Tポイント」貯めたら経理から「物言い」…法的にダメなの?
2016年06月06日 10時11分

会社の経費でコンビニご飯を買った際、Tカードのポイントを加算させたら、経理部から「物言い」がついた――。このような内容が今年5月上旬、インターネット掲示板に書き込まれて、話題になった。

投稿者の会社では、出張中の飲食費はすべて経費で落ちるようだ。先日、出張先のコンビニでご飯を買った際、Tカードのポイントを加算した。ところが、会社の経費精算時に、レシートを見た経理部の担当者が「経費で落としたものに個人的なポイントを得るのは業務上横領だ」と騒ぎ立てたのだという。

投稿者は「マイル加算も当然だった」「前の経理担当も今までなにも言わなかった」「(部署)全員がOKだと認識していた」と困惑している。そもそも、会社の経費でモノやサービスを購入したとき、個人のカードにポイントを貯めることは法的に問題あるのだろうか。光永享央弁護士に聞いた。

会社の経費でコンビニご飯を買った際、Tカードのポイントを加算させたら、経理部から「物言い」がついた――。このような内容が今年5月上旬、インターネット掲示板に書き込まれて、話題になった。

投稿者の会社では、出張中の飲食費はすべて経費で落ちるようだ。先日、出張先のコンビニでご飯を買った際、Tカードのポイントを加算した。ところが、会社の経費精算時に、レシートを見た経理部の担当者が「経費で落としたものに個人的なポイントを得るのは業務上横領だ」と騒ぎ立てたのだという。

投稿者は「マイル加算も当然だった」「前の経理担当も今までなにも言わなかった」「(部署)全員がOKだと認識していた」と困惑している。そもそも、会社の経費でモノやサービスを購入したとき、個人のカードにポイントを貯めることは法的に問題あるのだろうか。光永享央弁護士に聞いた。

●原則として、ポイントは会社に帰属する

「出張中の飲食費がすべて経費で落ちるというのは、うらやましいですね(笑)。

それはさておき、会社の経費の支払いに対して付与されたポイントは、原則として、会社に帰属します」

光永弁護士はこのように述べる。もし自身ののカードにポイントを貯めたらどうなるのだろうか。

「たとえば、会社があらかじめ、決済時に会社名義のクレジットカードやポイントカードを使用するというルールを就業規則などで定めていたとします。

その場合、社員があえて自己のカードを使用してポイントを自分のものにしたとしたら、懲戒処分や刑事罰(業務上横領罪等)を受けるリスクがあります」

●事前に会社に確認しておくべき

とくに、社内ルールが定められていなかった場合はどうだろうか。

「その場合、社員の責任を問うことは難しいと考えます。

社員が自己のカードでポイントを取得しなかった場合、そのポイントは宙に浮いて、会社のものにもなりません。いわば、会社は無関心ゆえに、ポイント取得の権利行使を怠っていたといえます。放棄した権利をほかの人が得ることを非難するのは筋違いです。

社員が実際に支払った金額を経費として請求する以上、会社には財産上の損害が発生していませんので、業務上横領にもあたらないでしょう。

また、一般的な100円あたり1ポイント程度の還元率で、高額といえない買い物を処分対象とするのは相当といえません。

なお、マイルはそれなりに経済的価値が高いといえますが、搭乗者個人を対象として付与されます。会社(法人)が取得・使用する仕組みがないというサービスの性質上、会社がマイルの帰属を主張することはできないと考えます」

今回の投稿者のケースはどうなるのだろうか。

「少なくとも、会社が、これまで問題にしてこなかったポイント取得行為を過去にさかのぼって懲戒処分の対象にすることは許されません。

ただし、社員側も、経費で高額なモノ・サービスを購入する場合のポイントの処理方法については、信義則上(労働契約法3条4項)、事前に会社に確認すべきでしょう」


光永弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る