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反ヘイトスピーチ運動家への「名誉毀損」 出版社・青林堂が「お詫びと訂正」
2015年06月25日 19時55分

出版社「青林堂」が発行した本によって名誉を傷つけられたとして、東京都内の会社員が慰謝料や謝罪広告、出版差し止めなどを求めて訴えていた裁判で、和解が成立した。原告側は6月25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「レッテル貼りは迷惑で、許しがたい」と語った。

問題の書籍は、青林堂が2013年11月に出版した『日本のために 井上太郎@kaminoishi』。著者は、井上太郎という人物とされる。原告は、東京都練馬区の会社員で、反ヘイトスピーチ運動に取り組んでいる木野寿紀さん(32)だ。この『日本のために』のなかで、木野さんは「極左公安対象者として写真が残っているようです」とか、「在日左翼暴力集団」の事務所に「出入りしている」などと書かれたという。

和解は6月23日付け。青林堂がこうした記述を取り消す旨の「謝罪広告」をサイトに掲載するほか、青林堂が木野さんに慰謝料25万円を支払うことや、ウェブサイトから記事を削除すること、書籍の改訂版を出す場合に記載を削除することなどが取り決められたという。

青林堂は6月25日現在、自社サイトに次のような謝罪文を掲載している。

《お詫びと訂正 当社が刊行しました井上太郎著『日本のために 井上太郎@kaminoishi』(以下「本書」といいます。)において、下記の事実とは認められない内容の記載をしたことにつき、木野氏に対してお詫びし、当該部分を取り消します。(以下略)》

出版社「青林堂」が発行した本によって名誉を傷つけられたとして、東京都内の会社員が慰謝料や謝罪広告、出版差し止めなどを求めて訴えていた裁判で、和解が成立した。原告側は6月25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「レッテル貼りは迷惑で、許しがたい」と語った。

問題の書籍は、青林堂が2013年11月に出版した『日本のために 井上太郎@kaminoishi』。著者は、井上太郎という人物とされる。原告は、東京都練馬区の会社員で、反ヘイトスピーチ運動に取り組んでいる木野寿紀さん(32)だ。この『日本のために』のなかで、木野さんは「極左公安対象者として写真が残っているようです」とか、「在日左翼暴力集団」の事務所に「出入りしている」などと書かれたという。

和解は6月23日付け。青林堂がこうした記述を取り消す旨の「謝罪広告」をサイトに掲載するほか、青林堂が木野さんに慰謝料25万円を支払うことや、ウェブサイトから記事を削除すること、書籍の改訂版を出す場合に記載を削除することなどが取り決められたという。

青林堂は6月25日現在、自社サイトに次のような謝罪文を掲載している。

《お詫びと訂正 当社が刊行しました井上太郎著『日本のために 井上太郎@kaminoishi』(以下「本書」といいます。)において、下記の事実とは認められない内容の記載をしたことにつき、木野氏に対してお詫びし、当該部分を取り消します。(以下略)》

●「繰り返し、事実に基づかない中傷をされている」

木野さんは2013年ごろから、在日韓国・朝鮮人排斥デモに対する抗議活動に取り組んでおり、同年には反ヘイトスピーチのデモ『東京大行進』を企画した。そういったことによって「この2年間、繰り返し、事実に基づかない中傷をされている」という。

木野さんは会見で「反レイシズム運動をしている人のほとんどは一般市民です。普通の人たちが街頭に立って、ヘイトスピーチに反対している。それにも関わらず過激派だとか、公安警察のチェック対象になっているみたいなことを書かれると大変迷惑です。レッテルを貼られることで、危険な人が運動していると信じてしまう人もいます。迷惑だし、許しがたく感じました」と、訴えを起こした理由を語った。

●著者・井上太郎さんは「所在つかめず」

原告代理人の神原元弁護士によると、裁判は当初、出版社の青林堂だけでなく、著者の井上太郎さんも相手取って起こしたが、井上さんについては「所在がつかめなかった」として訴訟を取り下げることになったという。

神原弁護士は、今回の本の中には、木野さんのような形で名前を挙げられた「被害者」がまだたくさんいるとして、青林堂に対して追加請求を行うことや、著者である井上さんの責任を追及することなどを考えている、と話していた。

なお、同書には「朝鮮人という異民族が、全く根拠無く日本に居座り一大社会勢力を作り、日本社会を腐敗に向けて追い込んでいる」といった記載があるという。神原弁護士はこうした記載が「ヘイトスピーチ」にあたり、問題だとしている。

この本で木野さんと並んで名指しされ、記者会見に同席した反ヘイトスピーチ団体「C.R.A.C.」メンバーの野間易通さんは「細かいデマの積み重ねが、ヘイトスピーチのまん延につながる。今回の訴訟が抑止効果になればいいと思う」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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