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誤って配達された「中トロと伊勢海老」を食べてしまった…弁償する必要はある?
2016年08月10日 09時58分

全く覚えがない「中トロと伊勢海老」が届き、食べてしまったことに悩む投稿が、ネット上の掲示板で話題となった。

苗字は投稿者と同じだったが、名前は別人だったので、間違って配達された物だということは投稿者も気づいていた。その後配達会社から返還を求められたが、「2日経ったら(なま物は)腐るよね」と返すことに納得がいかないという。

誤って配達された食品を食べてしまった場合、弁償しなければいけないのか。前島申長弁護士に聞いた。

全く覚えがない「中トロと伊勢海老」が届き、食べてしまったことに悩む投稿が、ネット上の掲示板で話題となった。

苗字は投稿者と同じだったが、名前は別人だったので、間違って配達された物だということは投稿者も気づいていた。その後配達会社から返還を求められたが、「2日経ったら(なま物は)腐るよね」と返すことに納得がいかないという。

誤って配達された食品を食べてしまった場合、弁償しなければいけないのか。前島申長弁護士に聞いた。

●実際に弁償を求められる可能性は少ないが、法的には問題アリ

「一般的に、誤って配送された荷物を受け取ってしまった人と、配送業者との間に運送契約などの法的関係はありません。配送業者の約款にも、誤配された物を受取人が管理する義務まで定めていることはないでしょう。

実際問題として、誤配された荷物を受け取った人が、その物を消費してしまったような場合でも、『お願いベース』で返還を求めることはあるようですが、法的に返還を請求するケースはほとんどないといっていいでしょう。

配送業者が、誤配してしまったものと同じ物を、本当の受け取り人に対して弁償することが通常だと思います」

前島弁護士はこのように述べる。では、今回のケースでも誤って配達された中トロや伊勢海老を食べてしまったことは問題ないということだろうか。

「そうではありません。法律的に考えると、答えは変わってきます。

他人の物であることを認識しながら食べてしまったような場合、民法上、不当利得返還請求権の問題が生じます。

不当利得返還請求権とは、法律上の原因なく、利益を得る反面、損失が生じた場合には、その利得を返還することを義務付ける規定です(民法703条)。

本件でも、投稿者が、中トロと伊勢海老を食するという利益を得る半面、所有者は、この商品を受領できず、損失が発生してしまうことになります。

この場合、信義則上、投稿者が、商品について返還義務(弁償義務)を負うことになります。

さらに投稿者は、商品が自分のものでないことに気付いているので、『悪意の受益者』にあたります。

この場合、利得の返還の他に利息(食べ物について利息は考えにくいですが)を返還する必要があります」

実際に弁償を求められる可能性は少ないとしても、法的には、返還義務を負うケースにあたるといわけだ。

「そうですね。実際に、配送業者がこのような請求をすることはないのかもしれませんが、法的に厳密に考えると、このような結論になります」

前島弁護士はこう述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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