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GMO、給与の一部をビットコインで受け取れる新制度…全額の支給は可能? 税金は?
2018年01月08日 10時01分

GMOインターネットグループは12月12日、従業員の希望に応じて、給与の手取り支給額の一部をビットコインで受け取れる制度を導入すると発表した。

対象となるのは国内の従業員4000人超。下限1万円、上限10万円でビットコインを購入できる。申し込み金額分が給与から天引きされ、ビットコインの購入に充てられる。さらに、各従業員のビットコインの口座に振り込まれる。同社は、申し込み金額の10%を奨励金として支給するという。

今回は手取り支給額ということで、すでに税金や社会保険料が天引きされた後の金額が対象になっているが、もし給与を全額ビットコインで支給することになった場合、税金はどう計算することになるのか。そもそも、そういうやり方は可能なのか。小林拓未税理士に聞いた。

GMOインターネットグループは12月12日、従業員の希望に応じて、給与の手取り支給額の一部をビットコインで受け取れる制度を導入すると発表した。

対象となるのは国内の従業員4000人超。下限1万円、上限10万円でビットコインを購入できる。申し込み金額分が給与から天引きされ、ビットコインの購入に充てられる。さらに、各従業員のビットコインの口座に振り込まれる。同社は、申し込み金額の10%を奨励金として支給するという。

今回は手取り支給額ということで、すでに税金や社会保険料が天引きされた後の金額が対象になっているが、もし給与を全額ビットコインで支給することになった場合、税金はどう計算することになるのか。そもそも、そういうやり方は可能なのか。小林拓未税理士に聞いた。

●通貨払いの原則に反している

「今回の仕組みについてですが、実際のところは給与の一部が給与から天引きされ、ビットコインの購入に充てられるという制度です。つまり財形貯蓄のように、給与手取り額の一部をビットコインで積み立てることができるというものです」

全額をビットコインで支払うことは認められないのか。

「そもそも、賃金は労働者の生活の基盤になるものです。賃金の支払いに関するルールについては労働基準法で、厳格に定められています。賃金払いの5つの原則というもので、通貨払いの原則、全額払いの原則、直接払いの原則、毎月払いの原則、定期払いの原則、があります。

ビットコインでの給与の支払いは通貨払いの原則に反します。給与は通貨で支払わなければならないというものであり、通貨とは日本円のことを指します。

あくまでビットコインは仮想通貨であり、通貨払いの原則を守るため、GMOインターネットグループの場合は、ビットコインの購入に充てる分を天引きする制度にしていると思われます。賃金は税金や保険料を除いて全額支払わなければならないとする全額払いの原則により、天引きについては、労働者の同意が必要です」

もし労基法を破って、ビットコインで全額支給した場合、税金はどうなるのか。

「労働協約で定められている場合は、例外的に現物給与として支払うことができます。ただし、税務上の給与は、使用者から支払われる経済的利益全般を指しますので、現物給与として、支払った日の時価で課税されるものと考えられます。

また、支払われたビットコインを換金した際、給与としてもらった時点の価格より価格が上がっていれば、その利益は雑所得として課税の対象になります」

【取材協力税理士】

小林 拓未(こばやし・たくみ)税理士

東京都中央区にて平成19年から開業。「専門家として、長期的な視点で顧問先の発展に尽力する」ことを経営理念に掲げる。顧問先サービスの拡充のため、平成30年1月から社会保険労務士業務も開始する。

事務所名   : 税理士法人石川小林

事務所URL:http://www.ktaxac.com

(弁護士ドットコムニュース)

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