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「脅迫に屈するのは大学の自治の放棄だ」元朝日記者への攻撃に大学はどう対応すべきか
2014年11月04日 15時03分

慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞の記者が非常勤講師をつとめる北星学園大学(北海道札幌市)に、元記者の退職を求める脅迫状が届くなどした問題で、大学側は、来期の契約を更新しない方針を明らかにした。

報道によると、田村信一学長は10月31日に記者会見を開き、方針を説明。契約更新しない理由として、学生の安全面に関する不安や警備費用による財政面の負担が大きい点などを挙げたという。ただ、まだ最終的な決定ではなく、今後、学内の理事会や委員会で協議したうえで、理事長と学長が判断するということだ。

一方、この問題については、「脅迫に屈すべきではない」として、全国の大学教授らから、元記者の雇用を守るよう大学側に申し入れる動きも出ている。今回の大学側の対応をどう捉えるべきだろうか。札幌市で開業する猪野亨弁護士に聞いた。

慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞の記者が非常勤講師をつとめる北星学園大学(北海道札幌市)に、元記者の退職を求める脅迫状が届くなどした問題で、大学側は、来期の契約を更新しない方針を明らかにした。

報道によると、田村信一学長は10月31日に記者会見を開き、方針を説明。契約更新しない理由として、学生の安全面に関する不安や警備費用による財政面の負担が大きい点などを挙げたという。ただ、まだ最終的な決定ではなく、今後、学内の理事会や委員会で協議したうえで、理事長と学長が判断するということだ。

一方、この問題については、「脅迫に屈すべきではない」として、全国の大学教授らから、元記者の雇用を守るよう大学側に申し入れる動きも出ている。今回の大学側の対応をどう捉えるべきだろうか。札幌市で開業する猪野亨弁護士に聞いた。

●「言論の自由」や「大学の自治」を脅かす重大な行為

「従軍慰安婦の報道に関わった記者を非常勤講師として採用した大学に対して、脅迫的な言動をおこなうのは、『言論の自由』や『大学の自治』を脅かす極めて重大な行為です。

もし大学側が脅迫に屈して、非常勤講師の更新を控えることになれば、ますますそのような行為を助長することは目に見えています」

猪野弁護士はこうキッパリと述べる。では、今回の大学側の対応をどのように評価すべきだろうか。

「憲法が保障する『大学の自治』は、『大学の自主性に任せる』という趣旨で、文科省など国家権力や社会的権力から、大学が侵害されないことを意味します。その目的は、一人ひとりの研究者の『研究の自由(教授の自由)』を保障することにあります。

したがって、今回のように、卑劣な脅迫に屈したといえる北星学園大学の対応は、『大学の自治』を自ら放棄しているといっても過言ではありません」

●「警備が必要であれば、警察が責任を持つべき」

大学側は、講師の契約更新をしない理由として、警備費用など安全面のコストをあげている。この点については、どう考えたらよいのだろうか。

「報道によると、電話やメールに対応する職員や警備員を雇った大学側の負担は、1500万円にものぼったそうです。大学側には何ら法的な責任がないにも関わらず、これだけの負担はあまりに重荷といえます」

誰がそのコストを負担すべきか?

「本来的に、『言論の自由』や『大学の自治』を守るためのコストは、社会で負担すべきでしょう。

警備が必要であれば、公的機関である警察が責任を持つべきです。それによって税金の負担が増えることになりますが、当然の社会的コストといえるでしょう。その意味で、北海道警などの公的機関の対応に問題がなかったのか、検証が必要だと思います」

猪野弁護士はこのように持論を展開したうえで、次のようにまとめていた。

「北星学園大学に向けて卑劣な攻撃をする人たちは、大学側にコストを負担させたことも、あざ笑っていることでしょう。社会全体がこのような卑劣な行為を許さないということを示すためにも、警備等のコストは税金で負担すべきだと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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