「どうしたらいいのマジで」
セルフレジで会計を忘れて店を出てしまい、警察の取り調べを受けたという投稿がXで7000回以上リポストされて話題になっている。
投稿主によると、ペットボトル3本の精算を忘れたまま退店したところ、万引きの疑いをかけられたという。
本人は「悪いのは完全に俺」と非を認めつつも、「ペットボトル三本パクるほど俺は金がないわけじゃない」「盗むつもりはなかったんやほんまにそんなことせんわ」と、あくまで"うっかりミス"だったとうったえている。
では、こうした「意図せぬ万引き」でも、逮捕されたり、処罰を受ける可能性はあるのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。
●ポイントは「故意」があったかどうか
──商品を持ったままレジを通り過ぎたり、一部の会計を忘れたりして店を出た場合、罪に問われるのでしょうか。
はい。窃盗罪(刑法235条)に問われる可能性があります。
窃盗罪は、他人の財物を「窃取」した場合に成立します。「窃取」とは、他人が占有する財物を、その人の意思に反して、自分や第三者の占有に移転させることを意味します。
このとき、他人の財物を盗むという認識・認容(故意)があってはじめて窃盗罪が成立します。つまり、「盗むつもりがなかった」と認められれば、窃盗罪は成立しません。
今回のケースの場合、客観的にはスーパーの占有にある商品をその意思に反して自分の占有に移したことになりますが、その行為に故意があったかどうかが、罪を問われるか否かの分かれ目です。
●「ペットボトル3本なら通常は起訴されない」
──逮捕や起訴までされるケースもあるのでしょうか。
現行犯として逮捕されることはあり得ますが、被害品がペットボトル3本程度であり、本人が本当に会計を忘れていた場合、通常は起訴まで進むことはないと考えます。
過去には、同様のケースで起訴された人もいるようですが、それは「うっかり」なのか「故意」なのかという点をめぐって、警察や検察が判断した結果でしょう。
●無罪を勝ち取ったケースも
今回の投稿者と同じような経験をする人はめずらしくない。
弁護士ドットコムニュースが10月に配信した記事では、発酵乳「R1」を2本会計せずに店を出た男性が逮捕、起訴され、最終的に無罪を勝ち取ったケースを取り上げた。