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パンツ脱いだら高得点の「ゲーム」 子どもが楽しんでいれば問題ないのか?
2013年08月11日 17時41分

大分県の寺が小学生向けに開催した1泊2日の夏休み合宿で、パンツを脱いだら高得点になるというゲームしていたことが明らかになり、騒動になっている。

報道によると、合宿は7月22日から23日に行われ、小学1~5年生の約60人が参加した。問題となったのは身につけている服やベルトなどを外してつなげ、班対抗で長さを競うゲーム。パンツを脱げば男児であれば100点、女児なら200点というボーナスがもらえるルールだった。

約20人が全裸になり、全裸になった子には新聞紙で体を隠させたという。1~2年生がほとんどで、3年生以上の女児はいなかった。その後、保護者の抗議を受けて、寺は謝罪した。

寺の住職は「約20年前から行っており、子供は喜んでいると思っていた」と説明しているというが、子どもが楽しんでいたとしても、パンツを脱がせるようなゲームをさせることに、法的な問題はないだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●13歳未満の子どもは「わいせつ」の意味を正しく理解できない

「今回の件で、寺の住職の行為については、刑法176条の強制わいせつ罪(法定刑6月以上10年以下の懲役)の成否が問題になります。

176条は前段と後段の2つに分かれていて、前段は『13歳以上の男女に対し暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者』が対象ですが、後段は『13歳未満の男女に対しわいせつな行為をした者』となっています」

――つまり、13歳以上と未満で、扱いが変わる?

「そうですね。本件では、全裸になった児童は小学校低学年(13歳未満)ですから、後段に当てはまり、わいせつな行為をするだけで本罪は成立します。手段としての暴行または脅迫は必要でありません。

13歳未満の者は『わいせつ』行為の意味を正しく理解できず、有効な同意をする能力がないという理由にもとづく決まりです」

――それでは、児童が「ゲーム」に積極的に参加していても、成り立つ場合がある?

「そうですね。たとえ、児童が外形上『同意』しているような場合……つまり本件のようなゲームの場合でも、これにあたり得ます」

――服を脱がせるのは「わいせつ」になる可能性がある?

「裁判では、脅迫を加えて裸にする行為なども強制わいせつ罪にあたり得ると判示しているものがあります。したがって13歳未満の者に対しては、たとえゲームの中であっても、全裸にすることはわいせつ行為にあたり得るでしょう。

以上からすると、本件住職の行為は、刑法176条後段の強制わいせつ罪にあたる可能性があります」

――児童や保護者に対する責任も問われるケースがある?

「民事責任もあり得ます。子どもたちが全裸になったことにより心に傷を負った場合には、寺側は慰謝料を支払う責任を負う可能性があります」

大和弁護士は「児童の保護が叫ばれている今日においては、ゲームとはいえ、子どもたちを全裸にすることは不適切と考えます」と締めくくった。たしかに「何がわいせつか」は、時代によっても移り変わるから、長らく問題とされていなくても見直さなければならないことはあるのだろう。いずれにしてもこういったケースでは、子どもたちへの影響を第一に考えて、それが可能な限り小さくなるような対処を、切に願いたい。

(弁護士ドットコムニュース)

大分県の寺が小学生向けに開催した1泊2日の夏休み合宿で、パンツを脱いだら高得点になるというゲームしていたことが明らかになり、騒動になっている。

報道によると、合宿は7月22日から23日に行われ、小学1~5年生の約60人が参加した。問題となったのは身につけている服やベルトなどを外してつなげ、班対抗で長さを競うゲーム。パンツを脱げば男児であれば100点、女児なら200点というボーナスがもらえるルールだった。

約20人が全裸になり、全裸になった子には新聞紙で体を隠させたという。1~2年生がほとんどで、3年生以上の女児はいなかった。その後、保護者の抗議を受けて、寺は謝罪した。

寺の住職は「約20年前から行っており、子供は喜んでいると思っていた」と説明しているというが、子どもが楽しんでいたとしても、パンツを脱がせるようなゲームをさせることに、法的な問題はないだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●13歳未満の子どもは「わいせつ」の意味を正しく理解できない

「今回の件で、寺の住職の行為については、刑法176条の強制わいせつ罪(法定刑6月以上10年以下の懲役)の成否が問題になります。

176条は前段と後段の2つに分かれていて、前段は『13歳以上の男女に対し暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者』が対象ですが、後段は『13歳未満の男女に対しわいせつな行為をした者』となっています」

――つまり、13歳以上と未満で、扱いが変わる?

「そうですね。本件では、全裸になった児童は小学校低学年(13歳未満)ですから、後段に当てはまり、わいせつな行為をするだけで本罪は成立します。手段としての暴行または脅迫は必要でありません。

13歳未満の者は『わいせつ』行為の意味を正しく理解できず、有効な同意をする能力がないという理由にもとづく決まりです」

――それでは、児童が「ゲーム」に積極的に参加していても、成り立つ場合がある?

「そうですね。たとえ、児童が外形上『同意』しているような場合……つまり本件のようなゲームの場合でも、これにあたり得ます」

――服を脱がせるのは「わいせつ」になる可能性がある?

「裁判では、脅迫を加えて裸にする行為なども強制わいせつ罪にあたり得ると判示しているものがあります。したがって13歳未満の者に対しては、たとえゲームの中であっても、全裸にすることはわいせつ行為にあたり得るでしょう。

以上からすると、本件住職の行為は、刑法176条後段の強制わいせつ罪にあたる可能性があります」

――児童や保護者に対する責任も問われるケースがある?

「民事責任もあり得ます。子どもたちが全裸になったことにより心に傷を負った場合には、寺側は慰謝料を支払う責任を負う可能性があります」

大和弁護士は「児童の保護が叫ばれている今日においては、ゲームとはいえ、子どもたちを全裸にすることは不適切と考えます」と締めくくった。たしかに「何がわいせつか」は、時代によっても移り変わるから、長らく問題とされていなくても見直さなければならないことはあるのだろう。いずれにしてもこういったケースでは、子どもたちへの影響を第一に考えて、それが可能な限り小さくなるような対処を、切に願いたい。

(弁護士ドットコムニュース)

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