2189.jpg
恋人や配偶者の携帯電話を見てトラブルにならないようご注意を
2012年09月09日 07時00分

恋人と付き合う、あるいは配偶者との結婚生活を通じて、相手への愛情が深くなっていくほど、浮気の心配は出てくるものだ。「自分以外にも付き合っている相手はいないだろうか?」「他の女性とこっそり会ったりしていないだろうか?」不安な気持ちを抱えたまま付き合っていると、些細な言動が気になり、喧嘩や、時には別れに発展することもある。

そんな不安を払拭したいと、相手の携帯電話を見たいと思うこともあるだろう。しかし、通常は自制心が働きなかなかそうはしないものだ。ただ、仮に相手が携帯を机の上に置いたまま外出をした、相手がシャワーを浴びているすきに携帯電話が鳴ったなどの状況で、衝動に駆られメールや着信履歴を見てしまった場合、どの程度の法律違反にあたるのだろうか。プライバシー問題に詳しい堀晴美弁護士に話を聞いた。

●慰謝料の請求対象になるが、実際に請求されることはまれ

「たとえ、恋人や配偶者であっても、携帯電話の内容をみることは、原則としてプライバシーの侵害になり、民法上の不法行為に該当し、慰謝料の請求対象になります。」

「ただ、全くの第三者の携帯電話の内容を見る場合と違って、恋人や配偶者の携帯電話の内容は、不貞行為の証拠として裁判所で採用されることが多く、不貞行為を認定する際の決め手になることが多々あります。その場合、無断で携帯電話の内容を見たことが不法行為として慰謝料を請求されるケースはまれだと言えます。ですから、相手方の不貞行為が疑われたら、携帯電話のメールを証拠とし保存しておくことが必要になります。」

「ただし、原則として、相手方の了解なく携帯電話の内容をみること、そしてそれを保存しておくことは、プライバシーの侵害にあたり、不法行為として慰謝料を請求される可能性があるということは、心にとめておいた方がよいと思います。そして、できれば他の証拠で不貞行為を立証できるようにしておくことが必要かと思います。」

一方、見る気はなかったが、相手が携帯電話をいじっている最中に画面が視界に入り、他の異性に送っている親密なメールを見てしまったことでトラブルに発展した場合、これも法律違反になるのだろうか。再び、堀弁護士に聞いた。

●故意の有無によって違法性が異なる

「この場合は、上記の件とは違って、『偶然見てしまった』つまり故意がないわけですから、不法行為は成立しません。従って、慰謝料を請求されることもありません。」

「この場合も、不貞行為の証拠としてメールの内容を証拠として保存しておくことが必要になりますが、保存することは、単に見てしまったということとは異なり、故意がありますから、やはり原則としてプライバシーの侵害に該当します。」

「ただ、この場合も、上記のケースと同様、不貞行為の証拠としてよく使われますし、その場合に、プライバシーの侵害にあたるとして慰謝料を請求されるケースはまれです。ただし、保存しておくことはプライバシーの侵害にあたるということを心にとめておいてください。」

個人の携帯電話は恋人や配偶者も踏み入れられない、極めてプライベートな領域である。そのため浮気の証拠をつかみたいと考えている場合、携帯メールや着信履歴は格好の材料となるだろう。しかし、相手方の了解なしに携帯電話を盗み見ることは、プライバシーを侵している事であり、場合によっては慰謝料を請求されることもある。堀弁護士も指摘しているように、相手方の浮気調査を行う場合には、まず違法性のない別の手だてを検討してみてはどうだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

恋人と付き合う、あるいは配偶者との結婚生活を通じて、相手への愛情が深くなっていくほど、浮気の心配は出てくるものだ。「自分以外にも付き合っている相手はいないだろうか?」「他の女性とこっそり会ったりしていないだろうか?」不安な気持ちを抱えたまま付き合っていると、些細な言動が気になり、喧嘩や、時には別れに発展することもある。

そんな不安を払拭したいと、相手の携帯電話を見たいと思うこともあるだろう。しかし、通常は自制心が働きなかなかそうはしないものだ。ただ、仮に相手が携帯を机の上に置いたまま外出をした、相手がシャワーを浴びているすきに携帯電話が鳴ったなどの状況で、衝動に駆られメールや着信履歴を見てしまった場合、どの程度の法律違反にあたるのだろうか。プライバシー問題に詳しい堀晴美弁護士に話を聞いた。

●慰謝料の請求対象になるが、実際に請求されることはまれ

「たとえ、恋人や配偶者であっても、携帯電話の内容をみることは、原則としてプライバシーの侵害になり、民法上の不法行為に該当し、慰謝料の請求対象になります。」

「ただ、全くの第三者の携帯電話の内容を見る場合と違って、恋人や配偶者の携帯電話の内容は、不貞行為の証拠として裁判所で採用されることが多く、不貞行為を認定する際の決め手になることが多々あります。その場合、無断で携帯電話の内容を見たことが不法行為として慰謝料を請求されるケースはまれだと言えます。ですから、相手方の不貞行為が疑われたら、携帯電話のメールを証拠とし保存しておくことが必要になります。」

「ただし、原則として、相手方の了解なく携帯電話の内容をみること、そしてそれを保存しておくことは、プライバシーの侵害にあたり、不法行為として慰謝料を請求される可能性があるということは、心にとめておいた方がよいと思います。そして、できれば他の証拠で不貞行為を立証できるようにしておくことが必要かと思います。」

一方、見る気はなかったが、相手が携帯電話をいじっている最中に画面が視界に入り、他の異性に送っている親密なメールを見てしまったことでトラブルに発展した場合、これも法律違反になるのだろうか。再び、堀弁護士に聞いた。

●故意の有無によって違法性が異なる

「この場合は、上記の件とは違って、『偶然見てしまった』つまり故意がないわけですから、不法行為は成立しません。従って、慰謝料を請求されることもありません。」

「この場合も、不貞行為の証拠としてメールの内容を証拠として保存しておくことが必要になりますが、保存することは、単に見てしまったということとは異なり、故意がありますから、やはり原則としてプライバシーの侵害に該当します。」

「ただ、この場合も、上記のケースと同様、不貞行為の証拠としてよく使われますし、その場合に、プライバシーの侵害にあたるとして慰謝料を請求されるケースはまれです。ただし、保存しておくことはプライバシーの侵害にあたるということを心にとめておいてください。」

個人の携帯電話は恋人や配偶者も踏み入れられない、極めてプライベートな領域である。そのため浮気の証拠をつかみたいと考えている場合、携帯メールや着信履歴は格好の材料となるだろう。しかし、相手方の了解なしに携帯電話を盗み見ることは、プライバシーを侵している事であり、場合によっては慰謝料を請求されることもある。堀弁護士も指摘しているように、相手方の浮気調査を行う場合には、まず違法性のない別の手だてを検討してみてはどうだろうか。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る