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「ブラック産業医」復職認めず、退職に追い込まれた…元従業員が提訴
2016年07月20日 19時00分

産業医がかたくなに復職を認めず、休職期間満了で退職扱いになったとして、川崎市の運送会社で働いていた40代男性が7月20日、会社に対する退職の無効や、産業医に対する300万円の損害賠償などを求めて、横浜地裁川崎支部に提訴した。原告側によると、産業医の判断をめぐって裁判になることは珍しいという。

提訴後、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した男性側代理人の川岸卓哉弁護士は、「休職からの復帰については産業医の判断が前提になるが、会社側の意に沿って労働者の解雇を手伝う『ブラック産業医』が増えているという実感がある。提訴することで問題提起したい」と話した。

産業医がかたくなに復職を認めず、休職期間満了で退職扱いになったとして、川崎市の運送会社で働いていた40代男性が7月20日、会社に対する退職の無効や、産業医に対する300万円の損害賠償などを求めて、横浜地裁川崎支部に提訴した。原告側によると、産業医の判断をめぐって裁判になることは珍しいという。

提訴後、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見した男性側代理人の川岸卓哉弁護士は、「休職からの復帰については産業医の判断が前提になるが、会社側の意に沿って労働者の解雇を手伝う『ブラック産業医』が増えているという実感がある。提訴することで問題提起したい」と話した。

●過酷な労働→精神疾患→産業医を使った実質解雇の流れ

訴状などによると、男性は精神疾患で2014年1月から休職。2015年8月には症状が安定したため、主治医による復職可能の診断書を提出し、復職を希望した。しかし、被告の女性産業医は3回にわたって、復職を認めない判断をくだした。男性は休職から2年後の2016年1月、社内規定により休職期間満了で退職となった。

男性側は、女性産業医が主治医との意見交換をしていないことや、男性の職場を一度も巡視していないことを問題視。面談時に「(他の大手企業なら)とっくにクビよ」などの暴言もあったといい、復職を認めなかった判断は主観的で医学的な根拠がなく、結論ありきだったと主張している。

そもそも男性が精神疾患を発症したきっかけは、会社での長時間労働にあるという。男性は2001年からの2年間、新事業の立ち上げに従事。毎月100時間を超える時間外労働をこなすうちに、うつ病を発症した。以後も残業時間が大幅に減ることはなく、男性は長短の休職と復職を繰り返すようになったという。

会見で男性は、「労働者を過酷な労働環境で働かせて、精神疾患を患わせ、産業医を利用して解雇に仕向ける。こんなやり方は断じて許せない」と語った。

長時間労働などの問題から、メンタルヘルスに不安を抱える労働者が増えており、その分、産業医の意見が求められる機会も多くなっている。川岸弁護士は「本来、産業医は(休職者と)職場との関係をどうマッチングすべきか考えるものなのに、今回は十分な調査をしていない。今は産業医が、誰を辞めさせるか選ぶ『人事部化』している。もちろん、全員がそうではないが、会社に雇われていることもあって、会社寄りの産業医が散見される」と話していた。

弁護士ドットコムニュース編集部の取材に対し、運送会社の広報は「訴状が届いていないので、現時点でのコメントは差し控えさせていただきます」と話している。

(弁護士ドットコムニュース)

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