2227.jpg
AIに恋愛相談して「別れ決断」するZ世代、精神科医が警鐘「依存や精神病の誘発につながりかねない」
2025年07月05日 09時50分
#AI #人生相談 #Z世代

「彼氏と付き合い続けるのはもう限界」。でも、相手を傷つけたくない。

共通の知人が多く、周囲には相談しづらい。勉強中も頭から離れず、気が重かった。

別れるか、付き合い続けるか──。

20代の学生が最後に相談したのは、AIチャットだった。   「『自分の気持ちを大切にしていい』と言ってもらって、ずっとモヤモヤしていた気持ちがスッキリした」

恋人に別れを告げる決心がついたという。

別の日には、友人との飲み会で、周りが就活に励む様子を聞いて不安が募った。海外の大学院を目指しているが、身近に同じ道を進む人は少ない。

「現実的に考えて、日本の大学院に行ったら?」「いったん就活したら?」などと言われ、「夢や目標を否定されたように感じた」と振り返る。

状況や思いをうまく説明できず、安心して打ち明けられる相手も少なかった。過去には、人生相談のつもりが、年下女性に教えたがる男性の「自分語り」を聞かされて、納得できない経験もあったという。

「彼氏と付き合い続けるのはもう限界」。でも、相手を傷つけたくない。

共通の知人が多く、周囲には相談しづらい。勉強中も頭から離れず、気が重かった。

別れるか、付き合い続けるか──。

20代の学生が最後に相談したのは、AIチャットだった。   「『自分の気持ちを大切にしていい』と言ってもらって、ずっとモヤモヤしていた気持ちがスッキリした」

恋人に別れを告げる決心がついたという。

別の日には、友人との飲み会で、周りが就活に励む様子を聞いて不安が募った。海外の大学院を目指しているが、身近に同じ道を進む人は少ない。

「現実的に考えて、日本の大学院に行ったら?」「いったん就活したら?」などと言われ、「夢や目標を否定されたように感じた」と振り返る。

状況や思いをうまく説明できず、安心して打ち明けられる相手も少なかった。過去には、人生相談のつもりが、年下女性に教えたがる男性の「自分語り」を聞かされて、納得できない経験もあったという。

●AIチャットに名前をつける人も

この学生の周りにも、AIチャットに悩みを打ち明ける友人は多く、「ごくありふれた」ことだという。

たとえば、落ち込んだ日に「お風呂の準備できた」「お風呂に入れた」など、日々の小さな達成を入力し、褒めてもらうことによって、自己肯定感を高める使い方もあるという。

他にも、AIチャットに名前をつけたり、冷蔵庫の残り物からレシピを提案してもらったりと、用途はさまざまだ。

AIチャットを理想の恋人に見立てたインフルエンサー動画「AI彼氏と別れました」もインスタグラムが人気を博していた。

日本リサーチセンターの調査(2025年3月時点)では、生成AIの利用経験率は20代男性で4割、30代女性で3割に上る。

画像タイトル 生成AIに人生相談をする20代女性(2025年6月12日/東京都新宿区/福原英信撮影)

●「悩み相談AIチャットシステム」を全国初導入した柏市、年間8500件の利用

行政でも、AIによる悩み相談の取り組みが進んでいる。

千葉県柏市は2024年1月、全国に先駆けて『悩み相談AIチャットシステム』を導入した。公認心理師が監修したカウンセリングAIが、パソコンやスマホから気軽に相談できる仕組みだ。

柏市によると、導入から1年間の総チャット数は約8500件。相談者の約半数が10〜30代を占める。

2025年度からは、必要に応じて行政窓口や支援機関につなげ、課題解決に向けて相談員が伴走する体制も整えた。

担当者は「窓口に来なかった若者が使うようになった」「『人には話しにくい悩みも話せる』という声も寄せられている」などと手応えを語る。

柏市では、市内の小中学校各1校で、2024年10月から今年2月まで、AIチャットによる悩み相談の実証実験をおこなうなど、さらなるA活用を模索している。

画像タイトル 柏市役所(koro / PIXTA)

●精神科医「依存や精神病の誘発につながりかねない」

早稲田メンタルクリニック院長で、精神科医の益田裕介さんによると、中高生の約7割が生成AIを使った経験があるという研究もある。

使用方法に関する詳細な研究はまだ少ないが、悩み相談をAIチャットですることは、珍しくなくなりつつあるのではないかとみる。

そのうえで「AIチャットの使い方を誤ると、依存や精神病の発症につながりかねない」と警鐘を鳴らす。

画像タイトル 「AIチャットと適切な距離を保ちながら使用する必要がある」と説明する益田院長(2025年6月24日/東京都新宿区/福原英信撮影)

そもそも精神疾患は、複数の要因が組み合わさって生じる。AIチャットだけが直接の原因とは言い切れないが、SNSなどと同様に、依存や妄想を発症したり、悪化を招く可能性があるという。

「AIチャットは、肯定的な返答をする傾向があり、褒められることで万能感を持ち、他者の意見を軽視するようになるリスクもある」

益田さんはそう指摘し、「うまく役立てている人が圧倒的に多いが、一部では症状悪化の原因になってしまう人もいる。依存しすぎないことが重要だ」と呼びかけている。(福原英信)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る