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「WiLL」元編集長の新雑誌「Hanada」の表紙が似ていると話題に…法的論点は?
2016年04月27日 16時42分

月刊誌『WiLL』(ワック社)の元編集長、花田紀凱氏が飛鳥新社に移籍し、新しくつくった月刊誌『Hanada』の創刊号の表紙デザインやレイアウトなどが、『WiLL』によく似ていると話題になっている。

問題になっているのは、4月26日に発売された『Hanada』6月号。その表紙のデザインや配色などは、『WiLL』5月号と確かによく似ている。WiLL編集部は、ツイッター上で「表紙から本文レイアウトまで模倣する行為は、不正競争防止法2条1項3号『商品形態の模倣』としかいいようがありません」と反発している。

花田氏は3月中旬、『WiLL』編集部員を引き連れて飛鳥新社に移籍しようと企てたとして、ワック社の取締役を解任され、編集長職も退いていた。花田氏はその後、本当に飛鳥新社に移籍していた。

今回の騒動を考えるうえで、法律上のポイントはどこになるのだろうか。知的財産にくわしい齋藤理央弁護士に聞いた。

月刊誌『WiLL』(ワック社)の元編集長、花田紀凱氏が飛鳥新社に移籍し、新しくつくった月刊誌『Hanada』の創刊号の表紙デザインやレイアウトなどが、『WiLL』によく似ていると話題になっている。

問題になっているのは、4月26日に発売された『Hanada』6月号。その表紙のデザインや配色などは、『WiLL』5月号と確かによく似ている。WiLL編集部は、ツイッター上で「表紙から本文レイアウトまで模倣する行為は、不正競争防止法2条1項3号『商品形態の模倣』としかいいようがありません」と反発している。

花田氏は3月中旬、『WiLL』編集部員を引き連れて飛鳥新社に移籍しようと企てたとして、ワック社の取締役を解任され、編集長職も退いていた。花田氏はその後、本当に飛鳥新社に移籍していた。

今回の騒動を考えるうえで、法律上のポイントはどこになるのだろうか。知的財産にくわしい齋藤理央弁護士に聞いた。

●「ただ類似している商品は模倣ではない」

「ツイッターの投稿からすると、WiLL側は、不正競争防止法で不正行為の一つとされている『商品形態模倣行為』を問題としているようです(同法2条1項3号)。

著作権法も問題となりうるのですが、レイアウトの著作物性や、意匠法とのすみ分けなど、さまざまな問題があり、今回のケースで中心課題となるのは、やはり不正競争防止法ではないかと考えられます」

齋藤弁護士はこのように指摘する。「商品形態模倣行為」はどういうものなのだろうか。

「商品形態模倣行為とは、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡するなどの行為をいいます。

商品形態とは、商品の形状、形状と結合した模様、色彩、光沢、質感のことです。

また、模倣とは、ただ類似している商品では足りず、同一、つまり実質的に同じ形態の商品をつくりだす必要があります。

月刊誌『WiLL』5月号と『Hanada』6月号については、通常の雑誌の形状をとっているので、形状と結合した模様、色彩などが同一と評価できるかがポイントとなりそうです。

つまり、雑誌の表紙のデザイン、たとえば赤の縁枠や白抜きの雑誌タイトル、黄色の下地・位置取りなどを対比して、同じ形態と評価できるかどうかです」

●3年が経過した商品の「商品形態模倣行為」は禁止されていない

仮に、『Hanada』6月号が『WiLL』5月号を模倣しているということになった場合、どうなるのだろうか。

「あくまで、仮にそうなった場合の話ですが、『Hanada』6月号が模倣した『WiLL』5月号は、3年以上前に発売されたバックナンバーの後続商品に該当しないか、ということが次のポイントになりそうです。

日本では、最初に発売されてから3年が経過した商品の『商品形態模倣行為』は禁止されていません。

そして、東京高裁は、過去の裁判で『<他人の商品>とは、保護を求める商品形態を具備した最初の商品を意味するのであって、このような商品形態を具備しつつ、若干の変更を加えた後続商品を意味するものではない』と述べています(空調ユニット事件控訴審)。

月刊誌『WiLL』は2004年の創刊号からほどなくして、現在のデザインにほぼ落ち着いたようです。

したがって、『WiLL』5月号が、3年以上前に発売されたいずれかの『WiLL』の『後続商品』にあたるのであれば、仮に『HANADA』が形態模倣行為をしていたと判断されても、特別の事情がない限り違法とはなりません。この点は判断の分かれ目となりそうです」

特別な事情があると判断が変わるのだろうか。

「大阪高裁は、別の裁判で『公正かつ自由な競争として許容される範囲を著しく逸脱する行為』については違法と判断しており、仮に保護期間を経過していた場合でも、例外的に民事上の不法行為に該当することがありえます(家具調仏壇事件控訴審)。

ですから、このような例外的な事情が今回のケースにあるのかも、ポイントになる可能性があるでしょう」

齋藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

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