2354.jpg
グリーが200人の「希望退職者」を募集 いわゆる「整理解雇」とはどう違うの?
2013年10月10日 20時05分

ソーシャルゲーム大手のグリーが10月初旬、希望退職者を200人ほど募集すると発表し、ネット業界に衝撃が走っている。

この数年、飛ぶ鳥を落とす勢いのグリーだったが、他社との競争激化などで、今年6月期の決算で上場後初めての減収減益を記録した。国内正社員の「リストラ」に踏み切るのは初めてという。

発表によると、「事業規模の適正化と経営資源の効率化」のため、10月9日から28日までの間に希望退職者を募集する。また、退職予定日は11月30日とされている。同社には、6月30日時点で従業員(単体)が1762人おり、200人はおよそ11%にあたる規模だ。

東洋経済オンラインによると、今回の募集に応じて退職するグリー従業員には、特別転職支援金が支給されるという。経営悪化した企業が「整理解雇」を断行したというニュースはたまに目にするが、今回の「希望退職者募集」とはどのように違うのだろうか。労働問題にくわしい河野祥多弁護士に聞いた。

ソーシャルゲーム大手のグリーが10月初旬、希望退職者を200人ほど募集すると発表し、ネット業界に衝撃が走っている。

この数年、飛ぶ鳥を落とす勢いのグリーだったが、他社との競争激化などで、今年6月期の決算で上場後初めての減収減益を記録した。国内正社員の「リストラ」に踏み切るのは初めてという。

発表によると、「事業規模の適正化と経営資源の効率化」のため、10月9日から28日までの間に希望退職者を募集する。また、退職予定日は11月30日とされている。同社には、6月30日時点で従業員(単体)が1762人おり、200人はおよそ11%にあたる規模だ。

東洋経済オンラインによると、今回の募集に応じて退職するグリー従業員には、特別転職支援金が支給されるという。経営悪化した企業が「整理解雇」を断行したというニュースはたまに目にするが、今回の「希望退職者募集」とはどのように違うのだろうか。労働問題にくわしい河野祥多弁護士に聞いた。

●従業員の意思によるかどうかがポイント

「経営的に苦しくなったとき、会社は、経営の合理化(人件費の削減)のために従業員を減らすことがあります。

そのために会社としては、まずは、退職金の上積みや再就職先の斡旋等の特典をつけた形で、従業員に自発的な退職を促します。これが『希望退職の募集』です。つまり、退職するかどうかは従業員の意思次第ということになります」

今回グリーが発表したのはこちら。つまり早期退職に伴う特典などのメリットと職を失うデメリットを総合的に判断し、最終的には「従業員自身が辞めるかどうかを決める」という内容だ。

「これに対して、『整理解雇』とは、会社の都合で従業員を強制的に解雇することです。

整理解雇は、強制的に会社を辞めさせるという方法であるため、それが有効とされるためには、以下の4つの厳しい要件をクリアしなければなりません。

(1)人員削減の必要性があること

(2)会社が解雇を回避するための努力を果たしていること

(3)解雇対象者の人選は適正に行われていること

(4)従業員に対する説明等の手続きがきちんとなされていること」

これらの要件を4つともきちんと満たしていないと、整理解雇は「無効」になるという。河野弁護士は続ける。

「希望退職の募集は、(2)の解雇回避のための努力の判断材料の一つとして考慮・検討されます。

そこで企業は一般的に、まずは希望退職の募集を行い(従業員の意思による退職)、それでも十分でない場合にはじめて整理解雇(会社の意思による解雇)を行うことになります」

そうなると、今後の注目ポイントは「希望退職者募集」に、実際にどれぐらいの応募があるのかだろう。業界全体にも影響を与える大手だけに、その一挙一動から目が離せない展開となっている。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る