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TVの不倫報道「ゲス」川谷さんが「楽曲使用」に不快感ーー止めることはできないの?
2016年03月17日 11時51分

ベッキーさんとの不倫疑惑が報じられて注目を集めた「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんが、テレビで不倫問題が取り上げられるとき、「両成敗でいいじゃない」など、自身の楽曲が使われていることにいらだっていると、スポーツ各紙が報じた。

報道によると、川谷さんは、3月13日からはじまった全国ツアー「ゲスな宇宙旅行」の初日、高松市のライブハウスに出演。そのときのMCで「皆さんもテレビで曲が流れるたびに、こんな所で流してほしくないと思うでしょ」と、不倫疑惑を報じる際に自身の楽曲が流れることに不満をあらわにしたという。

川谷さんは、ボーカルだけでなく、作詞・作曲も担当している。著作権を根拠に、テレビ局に対して、「不倫報道には楽曲を流さないでほしい」と求めることはできるだろうか。自らも音楽活動を行い、著作権の問題に詳しい高木啓成弁護士に聞いた。 

ベッキーさんとの不倫疑惑が報じられて注目を集めた「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音さんが、テレビで不倫問題が取り上げられるとき、「両成敗でいいじゃない」など、自身の楽曲が使われていることにいらだっていると、スポーツ各紙が報じた。

報道によると、川谷さんは、3月13日からはじまった全国ツアー「ゲスな宇宙旅行」の初日、高松市のライブハウスに出演。そのときのMCで「皆さんもテレビで曲が流れるたびに、こんな所で流してほしくないと思うでしょ」と、不倫疑惑を報じる際に自身の楽曲が流れることに不満をあらわにしたという。

川谷さんは、ボーカルだけでなく、作詞・作曲も担当している。著作権を根拠に、テレビ局に対して、「不倫報道には楽曲を流さないでほしい」と求めることはできるだろうか。自らも音楽活動を行い、著作権の問題に詳しい高木啓成弁護士に聞いた。 

●川谷さん自身は著作権を行使することができない

「今回のようなケースで、川谷さんが楽曲の使用をやめるよう求めることは、難しいでしょう」 

高木弁護士はこのように指摘する。なぜだろうか。 

「たしかに、テレビ局は、著作権者に無断で、楽曲を放送に利用することはできません。

しかし、いわゆるメジャーレーベルからリリースされている楽曲は、多くの場合、音楽出版社を介して、JASRACなどの著作権管理事業者に対して、放送を含む著作権の管理が委託され、JASRACなどに著作権が譲渡されています。

そして、テレビ局は、JASRACと包括的な利用許諾契約をしており、この契約などに基づいて、テレビ放送で楽曲を利用しているわけです。

ですので、この場合、川谷さん自身は著作権をもっていないと考えられるため、著作権を行使することはできないだろうと思われます」

 

●著作権だけでなく、著作者人格権という権利がある

 

ほかに止めさせる方法はないのか。

「『著作者人格権』という権利を主張することが考えられます。

著作者は、作詞・作曲したときに、著作権だけでなく、『著作者人格権』という権利をもちます。

この著作者人格権は、著作者の『人格』に基づく権利なので、誰にも譲渡できません。したがって、JASRACなどにも譲渡されず、川谷さん自身が保有しています。

そして、著作権法上、『著作者の名誉又は声望を害する方法』により著作物を利用することは、著作者人格権の侵害とみなすという規定があります。

この規定に関する裁判例があり、CMで楽曲を利用するときは、その楽曲が、CMの商品やサービスなどのイメージと結びついてしまうため、『著作者の名誉又は声望を害する方法』に当たり、著作者の承諾がない限り著作者人格権の侵害だと判断されています。

たとえば、ベジタリアンの作曲家の場合、ハンバーガーのCMに自分の楽曲が使われるのは名誉・声望を害するおそれがある、ということです。

ですので、実務上、CMで楽曲を利用するときは、たとえJASRACの管理楽曲だったとしても、原則として著作者自身の承諾をもらっています」

そうすると、今回のように、自分の不倫報道に自分の楽曲が利用される場合も、楽曲が不倫のイメージに結びつくことを理由に、著作者人格権の侵害だという主張が認められるのではないか。

「これは考え方の分かれるところだと思いますが、個人的には、著作者人格権の侵害だという主張は認められないと思います。

仮に、テレビ局が、芸能人の不倫だろうと政治家の不倫だろうと、誰かれ構わず不倫報道一般に川谷さんの楽曲を利用するような場合は、『著作者の名誉又は声望を害する方法』といえるでしょう。

しかし、今回は、不倫の報道としてではなく、あくまで、『川谷さんに関する報道』として、川谷さんの楽曲を利用したにすぎないのではないでしょうか?

このように考えられるため、『著作者の名誉又は声望を害する方法』には該当せず、著作者人格権の侵害には当たらないと思います」

高木弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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