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葉梨法相「死刑のハンコ」失言、弁護士の7割が問題視 「法相=地味」自体は半数が同意
2022年11月11日 17時47分
#弁護士アンケート

死刑執行をめぐる葉梨康弘法相の失言について、弁護士ドットコムは11月10〜11日に弁護士を対象とした緊急アンケートを実施した。

55件の回答ではあるが、約7割の弁護士が問題視した。一方で、法務大臣が「地味な役職」という点については、半数が同意する結果となった。自由回答では「冗談で死刑を持ち出すのは法相失格」、「派閥の論理で大臣を決めていることも問題」などの意見があった。

葉梨氏は11日午後に辞表を提出した。

死刑執行をめぐる葉梨康弘法相の失言について、弁護士ドットコムは11月10〜11日に弁護士を対象とした緊急アンケートを実施した。

55件の回答ではあるが、約7割の弁護士が問題視した。一方で、法務大臣が「地味な役職」という点については、半数が同意する結果となった。自由回答では「冗談で死刑を持ち出すのは法相失格」、「派閥の論理で大臣を決めていることも問題」などの意見があった。

葉梨氏は11日午後に辞表を提出した。

●経緯

失言があったのは11月9日に開かれた自民党の武井俊輔副外相のパーティーでのこと。葉梨氏が翌10日に、記者団に向かって読み上げた当日の録音反訳によると、次の内容だったという。

「だいたい法相というのは、朝、死刑のはんこを押しまして、それで昼のニュースのトップになるというのはそういう時だけ、という地味な役職」(毎日新聞ウェブサイトより

発言の真意について、葉梨氏は以下のように説明していた。

「役職として法相が光が当たるような形でトップニュースになるのはそういう時ぐらいだということで、そういう意味では地味な役職だが、やっていることは地味ではないし、しっかりとした仕事をさせていただいている。(……)一部の新聞報道にあるように『法相の仕事が、死刑のハンコを押すだけ』なんて、私は一切言っていません」(同上

●7割の弁護士が問題視

緊急アンケートには55人の弁護士が回答。発言を問題だと思うかを聞いたところ、「問題である」と「やや問題である」の合計が70.9%となった。

Q.葉梨氏の発言を問題だと思うか?

・問題である(61.8%)
・やや問題である(9.1%)
・どちらとも言えない(1.8%)
・あまり問題ではない(7.3%)
・問題ではない(20.0%)

●進退については拮抗

葉梨氏は11日午後に辞表を提出したが、法相を辞めるべきかについては、「思う」が41.8%でもっとも多かった。

ただし、「思う」と「やや思う」の合計が45.4%だったのに対し、「思わない」「あまり思わない」の合計は40.0%で拮抗している面もある。

Q.葉梨氏は法相を辞めるべきだと思うか?

・思う(41.8%)
・やや思う(3.6%)
・どちらとも言えない(14.5%)
・あまり思わない(10.9%)
・思わない(29.1%)

●「地味な役職」半数が同意

発言の是非とは別に、法相はほかの閣僚と比べても地味な役職かどうかも尋ねた。「思わない」が30.9%でもっとも多かった一方で、「そう思う」と「ややそう思う」の合計は50.9%だった。

Q.法相はほかの閣僚と比べても地味な役職と思うか?

・思う(23.6%)
・やや思う(27.3%)
・どちらとも言えない(9.1%)
・あまり思わない(9.1%)
・思わない(30.9%)

●弁護士「死刑を冗談にするのは法相失格」

弁護士からは自由記述で多くのコメントが寄せられた。代表的なものを紹介する。

「身内向けのパーティーということで、参加者が喜ぶような言葉を言おうと思って出たのだと思う。全文を読むと、法務大臣も副外相も、地味で政治家からは好まれない仕事だけど、意義の大きい仕事なんだよ、と言いたいことはわかる。とはいえ、死刑はセンシティブなテーマではあるし、あそこで触れたのは不用意だった」
「パーティーでの発言だとしても、死刑を冗談の話題にすること自体が法相として失格。法務大臣が法律分野の仕事を馬鹿にしたような発言をしたことが大変残念」
「死刑に判を押す以外にも法科大学院問題、入管法問題などたくさんあり、法務省は重要な役割を担っていると思う」
「葉梨氏は元警察官僚であり、法執行についての見識があってしかるべきなのに、あぜんとした。法務大臣のポストにはまともな答弁もできない人物が就く場合があり、困ったものである」
「本来は法律・制度の知識があり、かつ意欲がある人を大臣にすべきであって、法務大臣に限った話ではないが、派閥の論理で大臣を決めていること自体も問題」

一方で、「事実を指摘しているだけ」との見方も。今回の発言を大きく取り上げたメディアについて、法務行政のニュースをもっと大きく取り上げるよう求める声もあった。

「予算規模やマスコミの取り上げ方など、真実を指摘したに過ぎない」
「きれいごとを抜いた現実を述べているのも事実。マスコミに対し、この機会に、法務行政の重要性や、法務関係のニュースもきちんと伝えるよう働きかけるなど、より積極的な意味付けを与えるべき」
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