2540.jpg
アイドルグループBiSが「全裸ダイブ」をさせられそうになった? こんな命令アリ?
2014年02月28日 15時31分

スクール水着によるライブやミュージックビデオのヌード映像など、過激なパフォーマンスで知られるアイドルグループ「BiS(ビス)」が2月中旬、解散発表直前のライブで「全裸ダイブ」をさせられそうになったと明かし、議論を呼んでいる。

メンバーのツイッターなどによると、同行していたミュージックビデオの映像ディレクターから、話題作りのために「今日のライブで全裸で(観客フロアに)ダイブしてほしい」と言われたのだという。この、あまりにも非常識な申し出に対して、メンバーたちは断固として拒否したそうだ。

それでは、もし仮に、事務所が所属タレントに対して、こんな非常識な「命令」を出したとしたら、タレントはそれに従わなければならないのだろうか。芸能関係の法律問題にくわしい太田純弁護士に聞いた。

スクール水着によるライブやミュージックビデオのヌード映像など、過激なパフォーマンスで知られるアイドルグループ「BiS(ビス)」が2月中旬、解散発表直前のライブで「全裸ダイブ」をさせられそうになったと明かし、議論を呼んでいる。

メンバーのツイッターなどによると、同行していたミュージックビデオの映像ディレクターから、話題作りのために「今日のライブで全裸で(観客フロアに)ダイブしてほしい」と言われたのだという。この、あまりにも非常識な申し出に対して、メンバーたちは断固として拒否したそうだ。

それでは、もし仮に、事務所が所属タレントに対して、こんな非常識な「命令」を出したとしたら、タレントはそれに従わなければならないのだろうか。芸能関係の法律問題にくわしい太田純弁護士に聞いた。

●そんな命令に従う義務はない

「アーティストがライブ演奏中などに全裸になって騒がれるのは、古くからある話です。最近でも芸人さんが某収録において裸になり、公然わいせつの嫌疑をかけられたとの噂を耳にしました。

ただ、こうしたケースの多くは、現場の高揚感から、アーティスト自身が主体的に行動した結果でしょう。所属事務所がタレントにそういった行為をさせたのとは違います」

太田弁護士はこのように指摘する。所属事務所は、さまざまな仕事上の命令をタレントに出しているように思えるが、こうした命令もあり得るのだろうか。

「一般的に、タレントと所属事務所は、マネジメント契約を締結しておりますが、契約書は通常、著作権や商品化権などの権利の帰属や、収益配分の基本合意を定めてあるにすぎません。

ひとつひとつの公演のあり方についてまで、契約段階で細かく規定することは困難だからです。

したがって、各公演の演出内容は、その都度、関係者間の事前の合意で具体的に定まるのが、通常の形態です」

それでは、事前の合意でそういった過激な「演出」が定められたとすれば、タレントには従う義務が生じるのだろうか?

「仮にですが、所属事務所とタレントが、『公然わいせつとして刑事罰の対象となるようなパフォーマンス』をすると事前に合意していたとしても、そのような合意は公序良俗に反し、無効とされるでしょう(民法90条)。

したがって、義務は生じません。

そのような義務付けを、マネジメント契約から根拠づけることは困難で、事務所がそれを強要すれば、逆に契約に付随する安全配慮義務に反するか、または人格権の問題として、事務所側が慰謝料請求を受ける可能性もあります」

いくら契約や合意があっても、公序良俗に反するような命令に、タレントを従わせる根拠にはならないということだ。

●違法なパフォーマンスを実行したら大問題

そもそも万が一、タレントがパフォーマンスを実行し、法に触れることになったら、それこそ取り返しのつかない大問題となりそうだ。

「もし、公然わいせつ罪になるようなパフォーマンスを強行してしまった場合には、刑法的にみれば、事務所とタレントの両者は共同正犯(事務所は共謀共同正犯)となり得ます。

そうした際には、第三者である会場運営者にも、不測の事態が及ぶ可能性すらあるでしょう。

関係各方面に致命的な悪影響を与えることになりかねない。そのようなリスクがある行為だと思います」

太田弁護士はこのように指摘し、注意を促していた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る