2544.jpg
反ワクチンチラシ「チャレンジに入ってた」デマ投稿が話題に、偽計業務妨害罪の可能性も
2022年03月23日 16時19分

「ベネッセすごい!チャレンジ1年4月号に入ってたんだって」。

ベネッセの提供する通信教育講座「進研ゼミ小学講座」に子どもの新型コロナウイルスワクチン接種反対のチラシが同封されていたとするツイートが3月22日、話題となりました。

投稿主はその後ツイートを削除しましたが、ベネッセに「ツイート内容は事実ですか」と尋ねる人も出ており、「こどもちゃれんじ編集部」の公式ツイッターが「ご心配をおかけしてまことに申し訳ありません。進研ゼミ小学講座ではこうしたビラを封入指示している事実はございません」と複数リプライする事態となっている。

また、「進研ゼミ」のプロモーション用アカウントも同日、以下のように注意喚起している。

今回のようにベネッセが制作・封入していないにもかかわらず、「入っていた」とツイートする行為は、法的に問題ないのでしょうか。清水陽平弁護士に聞きました。

「ベネッセすごい!チャレンジ1年4月号に入ってたんだって」。

ベネッセの提供する通信教育講座「進研ゼミ小学講座」に子どもの新型コロナウイルスワクチン接種反対のチラシが同封されていたとするツイートが3月22日、話題となりました。

投稿主はその後ツイートを削除しましたが、ベネッセに「ツイート内容は事実ですか」と尋ねる人も出ており、「こどもちゃれんじ編集部」の公式ツイッターが「ご心配をおかけしてまことに申し訳ありません。進研ゼミ小学講座ではこうしたビラを封入指示している事実はございません」と複数リプライする事態となっている。

また、「進研ゼミ」のプロモーション用アカウントも同日、以下のように注意喚起している。

「【ご注意ください】昨日21時頃より、弊社発送教材に新型コロナウイルスのワクチン等に関するチラシが同封されていたとの投稿がされていますが、当社ではこのようなチラシの制作や封入はおこなっておりません。何卒ご注意ください」

今回のようにベネッセが制作・封入していないにもかかわらず、「入っていた」とツイートする行為は、法的に問題ないのでしょうか。清水陽平弁護士に聞きました。

●「ベネッセ側に本来必要がなかった業務を行わせている」

——現在ツイートは削除されていますが、ベネッセがコメントを出す事態に発展しています。法的な問題はどう考えられますか。

経緯としては、投稿者の入っているグループLINEに「チャレンジ1年4月号に同封されていた」という内容とともに、チラシの写真が掲載されたことから、これをTwitterに転載したということのようです。

このような経緯からして、投稿した本人としては、自身の考えに近いものがあることを知らせるための情報提供として行ったもの、という認識ではないかと想定されます。

しかし、今回のツイートは、客観的にはいわば「デマ」であったということができます。これによってベネッセ側が、そのような事実はない、という発表をしたり、電話での問い合わせ等に対応をしている状況があるようです。そのため、ベネッセ側にとって本来必要がなかった業務を行わせていることになります。

そして、ツイートという形で行っており、威力を用いているわけではないため、偽計業務妨害罪が問題になると考えます。

——わざと投稿したわけでなくても、業務妨害に当たるのでしょうか。

本人にとっては「業務を妨害してやろう」という意図がなくても、投稿自体は意図的に行っていること、本当ではないかもしれないとも思っていることが、前後の投稿から読み取ることができるため、未必の故意は認定できると思われます。

デマ投稿について刑事事件になった有名な事例としては、「熊本地震でライオンが脱走した」というデマが投稿されたもの(偽計業務妨害罪・起訴猶予処分)、東名あおり運転をめぐって「被疑者の勤務先はここだ」という趣旨のデマが投稿されたもの(名誉毀損罪・罰金)などが指摘できます。

いずれも軽い気持ちから投稿されているものですが、重大な結果が生じていることが分かると思います。

また、刑事上の問題だけではなく、民事上も名誉毀損などの問題が生じ得ます。

Twitterに投稿するということは、グループLINEなど閉じたコミュニティの中でのやり取りではないということを、改めて認識しておく必要があります。不確実な事項を拡散するような行為はリスクがあることだと考えるべきでしょう。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る