2638.jpg
「同棲するなら出て行って!」単身マンションの迷惑なカップル…大家は追い出せる?
2020年12月15日 09時51分

「単身者向けの賃貸マンションで、1年以上も同棲しているカップルに困っています」。弁護士ドットコムに、単身者向けの賃貸住宅オーナーから相談が寄せられています。

相談者は管理会社経由で何度か注意を促してきました。ところが、部屋の賃借人(借主)は管理会社に対して「相手はしょっちゅう遊びに来ているだけで、一緒に住んでいない」と虚偽の説明をしているそうです。

相談者は、防犯カメラに常に2人の姿がうつっていること、洗濯物が2人分干されていること、借主の恋人が毎日ベランダでタバコを吸っていることなどから、一緒に住んでいるのは間違いないと考えています。

このような場合、同棲相手だけではなく、借主である住人を追い出すことはできるのでしょうか。加藤寛崇弁護士の解説をお届けします。

「単身者向けの賃貸マンションで、1年以上も同棲しているカップルに困っています」。弁護士ドットコムに、単身者向けの賃貸住宅オーナーから相談が寄せられています。

相談者は管理会社経由で何度か注意を促してきました。ところが、部屋の賃借人(借主)は管理会社に対して「相手はしょっちゅう遊びに来ているだけで、一緒に住んでいない」と虚偽の説明をしているそうです。

相談者は、防犯カメラに常に2人の姿がうつっていること、洗濯物が2人分干されていること、借主の恋人が毎日ベランダでタバコを吸っていることなどから、一緒に住んでいるのは間違いないと考えています。

このような場合、同棲相手だけではなく、借主である住人を追い出すことはできるのでしょうか。加藤寛崇弁護士の解説をお届けします。

●賃貸借契約の内容次第では、契約解除が可能となり得る場合も

ーーそもそも、単身者向けの賃貸住宅にカップルが同棲することは契約違反にあたらないのでしょうか。

賃貸借契約において、「借主は、貸主の承諾がない限り第三者を同居させてはならない」などの第三者の居住を禁止する合意(契約書の条項)があるなら、契約者以外が居住するのは、契約で定めた利用方法に違反することになります。

逆に、このような合意(条項)がないなら、契約違反になりません。

借主は、賃借物件を転貸したり賃借権を譲渡したりすることはできませんが(民法613条)、同居させているだけなら、転貸にも賃借権の譲渡にもあたらないからです。

ーー第三者の居住を禁止する合意(契約書の条項)があり、これに違反した場合はどうなるのでしょうか。

このような場合は、原則として、賃主は賃貸借契約を解除して、明け渡しを請求できます。借主は、契約で定められた利用方法にしたがって賃借物件を使用しなければならないからです。また、そのときは賃主は同居人に対しても併せて明け渡し請求が可能です。

ただし、前提として、借主に対して第三者の同居をやめるよう催告し、一定期間(1、2週間程度が目安)経過しても同居をやめないときに初めて解除が可能となり得ます。

●場合によっては、解除が認められないことも…

ーー解除が認められない場合もあるのでしょうか。

借主に利用方法の違反があっても「信頼関係が破壊される程度ではない」と判断されれば、解除は認められません。

ここでいう「信頼関係」とは、貸主が主観的に借主を信頼できるかどうかということではなく、客観的に賃貸借契約の継続が困難となる事情があるか、という程度の意味です。

具体的事情との兼ね合いではありますが、貸主が何度か注意しても借主が第三者の同居をやめなかった事案で「用法違反」による解除が認められた例もありますので、何度か注意しても同棲が続くのであれば、賃貸借契約の解除をしてもいいでしょう。

ただし、訴訟で明け渡し請求までするのであれば、貸主の側で、第三者が同居していることを証明する必要があります。

(弁護士ドットコムライフ)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る