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「強姦された」ウソ証言で「無実の男性」が服役か――告訴した女性は罪に問われる?
2014年12月09日 15時15分

強姦と強制わいせつの罪で有罪が確定し、刑務所で服役していた男性が11月中旬、「無罪の可能性が高い」として釈放された。「えん罪」を主張する男性の再審請求を受けて、大阪地検が再捜査したところ、有罪判決の根拠となる証言をした被害者と目撃者が「被害も受けていないし、目撃もしていない」と説明を一転させたのだ。

報道によると、男性は2004年11月と2008年4月、大阪市内で同じ女性に性的暴行を加え、さらに2008年7月にこの女性にわいせつ行為をしたとして、逮捕・起訴された。当初から一貫して否認していたが、2011年に懲役12年の実刑判決が確定した。この判決では、被害者と目撃者の証言が決め手になっていた。

今後は再審がおこなわれて、無罪が言い渡される可能性が高い。その過程で、事件の真相が明らかになってくるだろうが、もし報道されている通り、被害者と目撃者が「嘘の供述・証言」をしていたとすると、何らかの罪に問われることはないのだろうか。刑事事件にくわしい加藤英典弁護士に聞いた。

強姦と強制わいせつの罪で有罪が確定し、刑務所で服役していた男性が11月中旬、「無罪の可能性が高い」として釈放された。「えん罪」を主張する男性の再審請求を受けて、大阪地検が再捜査したところ、有罪判決の根拠となる証言をした被害者と目撃者が「被害も受けていないし、目撃もしていない」と説明を一転させたのだ。

報道によると、男性は2004年11月と2008年4月、大阪市内で同じ女性に性的暴行を加え、さらに2008年7月にこの女性にわいせつ行為をしたとして、逮捕・起訴された。当初から一貫して否認していたが、2011年に懲役12年の実刑判決が確定した。この判決では、被害者と目撃者の証言が決め手になっていた。

今後は再審がおこなわれて、無罪が言い渡される可能性が高い。その過程で、事件の真相が明らかになってくるだろうが、もし報道されている通り、被害者と目撃者が「嘘の供述・証言」をしていたとすると、何らかの罪に問われることはないのだろうか。刑事事件にくわしい加藤英典弁護士に聞いた。

●法廷で虚偽の証言をしたら「偽証罪」に

「今回のようなケースで、『被害者』とされていた女性については、虚偽告訴罪(刑法172条)と偽証罪(同170条)が問題となります」

加藤弁護士はこう切り出した。それぞれ、どんな罪なのだろうか。

「強姦と強制わいせつは、被害者の告訴がなければ、刑事裁判にできない犯罪です。

したがって、今回の『被害者』は告訴していることになります。もし、『被害者』が男性に刑事処分を受けさせる目的で虚偽の告訴をしていたとすれば、虚偽告訴罪に問われるでしょう。

また、釈放された男性が裁判で『自分は犯人ではない』と争っていたようですから、『被害者』は、証人として法廷で証言していると考えられます。法廷で虚偽の証言をすれば、偽証罪に問われます」

では、嘘の供述・証言をしたという「目撃者」は、どうだろうか。

「今回の『目撃者』も、おそらく証人として法廷で証言していると考えられます。その場合、嘘をついていれば、『被害者』と同様に偽証罪に問われることになるでしょう」

●「故意」に虚偽証言をしたことの立証が必要

ただ、加藤弁護士は「偽証罪や虚偽告訴罪で処罰されることは、実際にはほとんどありません」と指摘する。なぜだろうか。

「これらの罪で有罪にするには、供述・証言の内容が真実でなかったというだけではなく、故意に虚偽の供述・証言をしたことまで立証しなければなりません。つまり、犯罪事実を立証するのが難しいのです」

今回のケースも立証が難しいのだろうか。

「もっとも、今回のケースでは『被害者』と『目撃者』が虚偽供述・証言を認めており、客観的な証拠による裏付けもとれているようですから、『故意に虚偽の供述・証言をした』という立証は可能でしょう。

男性が無実の罪で約3年6カ月も服役したという結果は重大ですから、『被害者』と『目撃者』にとって厳しい判決が予想されます」

加藤弁護士はこのように解説していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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