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なぜグーグルは「検索結果」削除を命じられたか?申請代理人の弁護士に聞いた「勝因」
2014年10月11日 12時01分

検索結果に自分の情報を表示しないで――。東京の日本人男性が「グーグル」を相手取って、仮処分の申請をしていた件で、東京地裁は10月 9日、検索結果を削除するよう、グーグルに命じる仮処分決定をした。

男性は、自分の名前を検索すると「犯罪に関わっているかのような」検索結果が出てくるため、プライバシーを侵害されているとして、アメリカのグーグル本社に削除を求めていた。東京地裁は、男性の主張を一部認め、男性に「著しい損害」を与える恐れがある122件の検索結果について、削除を命じる仮処分決定をした。

グーグルの「検索結果」を削除するよう命じる仮処分決定は、国内で初めてではないかと言われている。今回、仮処分申請が認められたポイントはどこにあるのだろうか、男性の代理人をつとめた神田知宏弁護士に聞いた。

検索結果に自分の情報を表示しないで――。東京の日本人男性が「グーグル」を相手取って、仮処分の申請をしていた件で、東京地裁は10月 9日、検索結果を削除するよう、グーグルに命じる仮処分決定をした。

男性は、自分の名前を検索すると「犯罪に関わっているかのような」検索結果が出てくるため、プライバシーを侵害されているとして、アメリカのグーグル本社に削除を求めていた。東京地裁は、男性の主張を一部認め、男性に「著しい損害」を与える恐れがある122件の検索結果について、削除を命じる仮処分決定をした。

グーグルの「検索結果」を削除するよう命じる仮処分決定は、国内で初めてではないかと言われている。今回、仮処分申請が認められたポイントはどこにあるのだろうか、男性の代理人をつとめた神田知宏弁護士に聞いた。

●「ひとつひとつ、つぶす」だと対処しきれない

――そもそも、なぜ「検索結果」を削除しようと考えたのでしょうか。

「ひとことでいうと、従来のやり方では対応しきれないケースが増えてきたからです。

これまでは、問題のサイトをひとつずつ、つぶしていくやりかたをとっていました。ブログやサイトの運営者などの『コンテンツ・プロバイダ』に対して、削除を要求したり、仮処分を申し立てたり・・・といったやり方です」

――そのやり方では、対応しきれない?

「コンテンツ・プロバイダが誰か分からないと、請求は難しい。コンテンツ・プロバイダの連絡先がサイトに書いていないとか、誰がドメインを管理しているのか、わからない。サーバの運営会社に連絡しようと場所を調べたら、遠い東欧の国など、『どうやって削除請求するんだ?』というところにあったりします。

そうすると、消してほしい情報が『そこ』にあって、しかも日本語で検索したらすぐ出てくるにもかかわらず、消せない。そんな状況が出てきているんですよ」

――誰に「削除しろ」と求めればよいか、わからないという状況ですね。

「もうひとつは、いわゆる『バカッター』のように、ネットで炎上・拡散したケースです。その場合、消したい情報が膨大で、ひとつひとつコンテンツ・プロバイダに削除を請求していくと、手間がかかるし、コストもかかります。

そうすると、『検索結果を消せばいいんじゃないの』という発想が出てきます。検索結果さえ出てこなければ、その先の情報にはたどり着けないわけですから」

――「一網打尽」というわけですね。なぜ、これまで検索結果を削除しようという動きがなかったのでしょうか。

「いえ、検索結果を削除しようという動きは、別に最近始まったわけではありません。裁判で争われた事例もあるし、そうした発想の人はいました。ただ、これまでの日本の裁判例の背景は、『検索サービスというものは重要なインフラだ』『そうそう簡単に削除してはいけない』という考え方があったと思います。

そういったこともあり、削除のハードルはすごく高いと思われていました。私自身も検索結果を消せという判決や仮処分が過去に出たという話を聞いたことがありません」

●「日本でも通用する判決」がEUで出た。

――そんなにハードルが高かったのに、なぜ今回の削除の仮処分申請は認められたのでしょうか。

「『いけるかも』と考えたきっかけは、今年5月13日にEU司法裁判所が出した判決がきっかけです。『忘れられる権利』を認めた判決、といったほうがわかりやすいかもしれません。EU判決を読んで、『この論理だったら日本でも通用する』と考えました」

――EU判決のどういった論理が、日本でも通用すると考えたのですか。

「『グーグルはサイト管理者だから、違法な情報を削除しなきゃいけない』というのが、EU判決の考え方です。

日本の裁判所も今回、投稿記事のタイトルやリンク先の抜粋それ自体が、男性の『人格権を侵害していることが認められる』としたうえで、検索サイトを管理するグーグルに『削除義務が発生するのは当然』と判断しました。これは、EU判決と同じなんですよ」

●今回開けた「風穴」を広げていきたい

――検索結果の誹謗中傷や、プライバシー侵害に悩んでいる人にとっては朗報ということでしょうか。

「そうですね。こうした決定が出たことによって、もう一つ『やり方』が増えたといえるのではないでしょうか。それぞれの権利侵害に個別に対応せずに、一極集中で戦えるわけですから」

――日本の「忘れられる権利」も、EU判決と同じレベルまできた?

「いいえ、そうではありません。EUの『忘れられる権利』を認めた判決では、『リンク先に権利侵害の情報があるから、検索結果を削除しろ』と命じています。

しかし、日本の裁判所は今回、あくまでグーグルのサイト上に表示される情報、つまりリンク先の『タイトル』と『サイトの文章を抜粋したもの(スニペット)』を見ただけで人権侵害だといえるケースについて、検索結果を消せと命令したに過ぎません。

リンク先にどんなに酷いことが書いてあったとしても、それだけで消してくれるわけではない。ここは、これからの課題です。これからいろんな論点を追加して、削除できる範囲を広げていかなければならないと思います。

とりあえず『風穴』をあけたと思います。そこに今回の決定の意義が見いだせるのではないでしょうか。これから、今回開けた『風穴』をどんどん広げていきたいと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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