2770.jpg
景品とれない「クレーンゲーム」、詐欺で有罪に…「普通は立証困難」なのになぜ?
2018年06月20日 09時56分

景品が取れないように設定したクレーンゲームを稼働させていたゲームセンターの経営者らが6月12日に有罪判決を受けました。

朝日新聞などによると、この経営者は大阪市内の2店舗で、8人から計約123万円をだまし取ったと認定されました。1ゲーム1000〜5000円で、「今やめるともったいない」などと客をあおっていたそうです。

経営者らは「詐欺罪」で起訴され、(1)経営者に懲役3年執行猶予4年、(2)元従業員3人に、それぞれ懲役1年6カ月執行猶予3年の刑が言い渡されています。被害者に弁償し、閉店したことも考慮されました。

クレーンゲームの中には、「これ絶対取れないだろう」というものもあります。一般的に「景品が取れない」場合は、今回のように詐欺罪になってしまうのでしょうか。大村真司弁護士に聞きました。

景品が取れないように設定したクレーンゲームを稼働させていたゲームセンターの経営者らが6月12日に有罪判決を受けました。

朝日新聞などによると、この経営者は大阪市内の2店舗で、8人から計約123万円をだまし取ったと認定されました。1ゲーム1000〜5000円で、「今やめるともったいない」などと客をあおっていたそうです。

経営者らは「詐欺罪」で起訴され、(1)経営者に懲役3年執行猶予4年、(2)元従業員3人に、それぞれ懲役1年6カ月執行猶予3年の刑が言い渡されています。被害者に弁償し、閉店したことも考慮されました。

クレーンゲームの中には、「これ絶対取れないだろう」というものもあります。一般的に「景品が取れない」場合は、今回のように詐欺罪になってしまうのでしょうか。大村真司弁護士に聞きました。

●普通のクレーンゲームで詐欺罪に問うのは困難

ーー景品が取れないクレーンゲームは「詐欺」なのでしょうか?

私は、クレーンゲームで詐欺罪になることはないと思っていて、今回の判例は正直驚きました。色々調べてみたのですが、今回の事例は機械の特殊性が関係しているのではないかと思います。

詐欺罪というのは、人を騙して金品を交付させる犯罪です。要件として、(1)人を騙す行為(欺罔行為)、(2)被害者が騙されること、(3)その誤信に基づいて金品を交付することが必要です。

クレーンゲームと言われて、私がイメージするのは、昔ながらのアームを動かして景品をつかんだり、すくったりするものです。アームは自分の思い通りに動くけど、景品が難しい位置にあるとか、アームの力が弱いためにほぼ取れないというときに、詐欺罪は適用できるのかを考えてみましょう。

この場合、(1)の「欺罔行為」が存在するかという点で大きな問題になるのが、「絶対に景品を取ることが不可能」と言い切れるかということです。また、景品を取るのが難しいのは、少なくとも何回かやれば分かるはずですし、(2)の「客が騙された」と言えるのかも疑問です。そうすると、詐欺罪成立は難しいと考えます。

●「絶対ムリ」を立証できた

ーーだとすれば、今回の件で有罪になった理由は何だと考えられますか?

報道によると、問題のゲームセンターには、はさみがついたクレーンを動かし、景品をぶら下げている紐を切るタイプのゲーム機がありました。

停止ボタンを押した際、操作者の意思とは無関係にはさみの位置がズレ、うまくやっても取れないことがあるようです。つまりパチスロのように、腕と運を両立させる前提のゲームだといえます。

この「ズレる」確率は設定により変更できたようで、設定によっては絶対に取れないようにもできたみたいです。この機能を悪用し、店員が見本を見せるときには簡単に取れる設定にし、客が使うときには、絶対に取れない設定に切り替えていたとのことです。

取れると思わせておいて絶対に取れない、しかも、それを店員が見本を見せてあおっているのですから、どう考えても(1)「欺罔行為」ですし、(2)「客が騙された」のも間違いないですね。判決では「犯行は組織ぐるみで常習的」とも指摘されていました。

なお、仮に店員のあおり行為がなくても、取れる確率ゼロの設定で運用していれば、詐欺罪でしょう。有料で景品を取るゲームが置いてある以上、うまくやれば取れると思わせていると言わざるを得ませんから。しかし、そもそも機械に何でそんな設定があるのか謎ですね。

ーー純粋な技術だけでは取れないクレーンゲームもあるんですねぇ

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る