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「全裸の少女の絵」を展示した会田誠展は「児童ポルノ」にあたるのか?
2013年02月10日 13時11分

現代美術家の会田誠さんの展覧会が物議を醸している。昨年11月から東京・六本木で開かれている『会田誠展 天才でごめんなさい』において展示されている作品が、「残虐な児童ポルノ」「きわめて下劣な性差別であるとともに障がい者差別だ」と市民団体から抗議を受けているのだ。

会田さんは性的な表現を含むセンセーショナルな作風で知られ、今回の展覧会では、手足を切断された裸の少女が首輪をされて微笑んでいる絵「犬」シリーズなどを展示している。このような刺激的な作品に対して、美術館は、入場者から事前に了承をもらって閲覧してもらっているうえ、特に刺激が強いと思われるものについては「18歳未満は入場禁止」のギャラリーを別に設けている。

芸術、特に現代美術には、それまで「当たり前」とされてきた価値観を問い直す側面があるが、なかには不快に感じる人もいるだろう。今回の場合、抗議の声を上げた市民団体の言うように、会田さんの作品は「児童ポルノ」にあたるのだろうか。児童ポルノ問題に詳しい奥村徹弁護士に聞いた。

●想像上の人物であれば、「児童ポルノ」には該当しない

奥村弁護士によると、「一般論としては、児童ポルノを展示する行為は、児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ法7条4項)、展示するために所持する行為は、児童ポルノ公然陳列目的所持罪(同7条5項)になります。また、画家等が児童ポルノを作成した場合には、公然陳列目的製造罪(同7条5項)ないし提供目的製造罪(同7条4項)になります」という。

では、話題になっている会田誠展のケースは、これらの罪にあてはまるのだろうか。

「児童ポルノ法にいう『児童ポルノ』というのは、実在する児童の姿態を描写したものですので(同2条1項)、想像上の人物であれば、『児童ポルノ』には該当しません。

児童ポルノ法は、児童の性的な姿態を描写するという態様による性的虐待を規制して、被害児童を救済するという趣旨の法律ですので(同1条)、モデルの『実在性』が要件になっています。したがって、会田さんや作品を展示した美術館が、児童ポルノ関係の罪に問われることはないと考えます」

つまり、少女の全裸であろうと、想像上の人物を描いているのであれば、児童ポルノ法で規制する「児童ポルノ」にあたらないということだ。

●内容によっては、東京都青少年健全育成条例に該当する可能性も

一方で、奥村弁護士は、児童ポルノ法関係以外の罪の可能性について指摘する。

「展示内容を拝見していないのでなんとも言えませんが、内容によっては、わいせつ図画(刑法175条1項)や不健全図書類(東京都青少年の健全な育成に関する条例8条)に該当する可能性があります」

すなわち、内容しだいでは、2年前にインターネットで大きな議論を呼んだ東京都の青少年健全育成条例の規制にはひっかかる可能性もあるのだという。

今回の市民団体の抗議を受けて、森美術館は2月6日、会田さんのコメントを発表した。その中で会田さんは「けして単線的に、性的嗜好の満足、あるいは悪意の発露などを目的とすることはありません。また『万人に愛されること』『人を不快な気分にさせないこと』という制限を芸術に課してはいけないとも考えています。発表する場所や方法は法律に則ります」と説明している。

(弁護士ドットコムニュース)

現代美術家の会田誠さんの展覧会が物議を醸している。昨年11月から東京・六本木で開かれている『会田誠展 天才でごめんなさい』において展示されている作品が、「残虐な児童ポルノ」「きわめて下劣な性差別であるとともに障がい者差別だ」と市民団体から抗議を受けているのだ。

会田さんは性的な表現を含むセンセーショナルな作風で知られ、今回の展覧会では、手足を切断された裸の少女が首輪をされて微笑んでいる絵「犬」シリーズなどを展示している。このような刺激的な作品に対して、美術館は、入場者から事前に了承をもらって閲覧してもらっているうえ、特に刺激が強いと思われるものについては「18歳未満は入場禁止」のギャラリーを別に設けている。

芸術、特に現代美術には、それまで「当たり前」とされてきた価値観を問い直す側面があるが、なかには不快に感じる人もいるだろう。今回の場合、抗議の声を上げた市民団体の言うように、会田さんの作品は「児童ポルノ」にあたるのだろうか。児童ポルノ問題に詳しい奥村徹弁護士に聞いた。

●想像上の人物であれば、「児童ポルノ」には該当しない

奥村弁護士によると、「一般論としては、児童ポルノを展示する行為は、児童ポルノ公然陳列罪(児童ポルノ法7条4項)、展示するために所持する行為は、児童ポルノ公然陳列目的所持罪(同7条5項)になります。また、画家等が児童ポルノを作成した場合には、公然陳列目的製造罪(同7条5項)ないし提供目的製造罪(同7条4項)になります」という。

では、話題になっている会田誠展のケースは、これらの罪にあてはまるのだろうか。

「児童ポルノ法にいう『児童ポルノ』というのは、実在する児童の姿態を描写したものですので(同2条1項)、想像上の人物であれば、『児童ポルノ』には該当しません。

児童ポルノ法は、児童の性的な姿態を描写するという態様による性的虐待を規制して、被害児童を救済するという趣旨の法律ですので(同1条)、モデルの『実在性』が要件になっています。したがって、会田さんや作品を展示した美術館が、児童ポルノ関係の罪に問われることはないと考えます」

つまり、少女の全裸であろうと、想像上の人物を描いているのであれば、児童ポルノ法で規制する「児童ポルノ」にあたらないということだ。

●内容によっては、東京都青少年健全育成条例に該当する可能性も

一方で、奥村弁護士は、児童ポルノ法関係以外の罪の可能性について指摘する。

「展示内容を拝見していないのでなんとも言えませんが、内容によっては、わいせつ図画(刑法175条1項)や不健全図書類(東京都青少年の健全な育成に関する条例8条)に該当する可能性があります」

すなわち、内容しだいでは、2年前にインターネットで大きな議論を呼んだ東京都の青少年健全育成条例の規制にはひっかかる可能性もあるのだという。

今回の市民団体の抗議を受けて、森美術館は2月6日、会田さんのコメントを発表した。その中で会田さんは「けして単線的に、性的嗜好の満足、あるいは悪意の発露などを目的とすることはありません。また『万人に愛されること』『人を不快な気分にさせないこと』という制限を芸術に課してはいけないとも考えています。発表する場所や方法は法律に則ります」と説明している。

(弁護士ドットコムニュース)

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