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統一教会による名誉毀損訴訟、紀藤弁護士が勝訴「メディアは萎縮しないで」 教会側、4連敗に
2024年03月13日 14時40分
#旧統一教会

「情報ライブ ミヤネ屋」にコメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が約2200万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(堂薗幹一郎裁判長)は3月13日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

堂薗裁判長は対象となった発言2つについて、いずれも真実性・真実相当性があり、違法性はないと判断した。紀藤弁護士は判決後の会見で「勝訴したことはよかったが、出演が減るなど影響はあった」と指摘。提訴は銃撃事件から約2カ月半後というタイミングの報道が過熱していたころで「明らかにメディアが萎縮することを狙ったもの」と批判した。

紀藤氏は及び腰になりがちなメディアに対して「果敢に臨まないと、事実は掘り起こせない。萎縮することなく報道を続けてほしい」とエールを送った。

「情報ライブ ミヤネ屋」にコメンテーターとして出演した紀藤正樹弁護士の発言で名誉を傷つけられたとして、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が約2200万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(堂薗幹一郎裁判長)は3月13日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

堂薗裁判長は対象となった発言2つについて、いずれも真実性・真実相当性があり、違法性はないと判断した。紀藤弁護士は判決後の会見で「勝訴したことはよかったが、出演が減るなど影響はあった」と指摘。提訴は銃撃事件から約2カ月半後というタイミングの報道が過熱していたころで「明らかにメディアが萎縮することを狙ったもの」と批判した。

紀藤氏は及び腰になりがちなメディアに対して「果敢に臨まないと、事実は掘り起こせない。萎縮することなく報道を続けてほしい」とエールを送った。

●救済に身を投じてきた紀藤氏の経験に言及

対象となった発言は2022年7月、教祖である文鮮明一家の分裂騒動について話題にするなかで出た2つ。「一番ひどい事案は、責任者と自分の部下である信者が数人で分かれて、そしてなんていうかな、お金がないものだから、信者に対して売春させてたっていう事件まであるんですよ(発言②)。非常に深刻な事件まであって、お金集めのためには何でもするっていう発想が、今、分裂含みで問題が生じてると思います(発言①)」

判決は、①については紀藤氏が被害者の救済をしてきた経験のもとに発せられた論評だと説明。また、証拠として提出された多数の裁判例があることなどから「論評の基礎となる前提事実の重要な部分の真実性に欠けるところはない」とした。

②についても、紀藤氏が相談を受けて聞き取った資料は「迫真性に富んでおり、真実である蓋然性が高い」と指摘し、真実であると信じる相当の理由があるとされた。

●紀藤氏「メディアにとっても意義ある判決」

弁護団はかねてから、裁判所に門前払い(名誉毀損の訴え自体の棄却)ではなく、発言の真実性を判断してもらいたいと強く要望してきた。分厚いファイルにつづった大量の資料を提出したが、②の発言については売春という背景から依頼者のプライバシーを守るため氏名を記すことはできなかったという。

紀藤氏は、この点についてメディアが名誉毀損で訴えられた場合に「取材源の秘匿」として主張できることにもつながる判断だと評価した。

紀藤氏ら3人の弁護士、ジャーナリスト有田芳生氏が被告となった統一教会の同種訴訟は、全部で5件。上訴中の案件も含むが、これまで一審では教会側の4連敗となっている。

紀藤氏は「発言の一部を戦略的に狙い撃ちした『スラップ訴訟的なもの』」とした上で、「被害者がいるという重要な事実を報じ、被害を封じることこそが大事です。報じられなかったらゼロになってしまう」と報道の意義を強調し、粘り強い取材と報道をメディアに求めた。

教会側は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、順次控訴を予定しているとした上で「判決では、法人と『売春』の関係を否定し、飽くまで分派が行った内容との主張でしたが、番組を見た視聴者からの書き込みが多数存在し、信者による『売春』についての問い合わせも多くあるなど、一連の証拠を無視した判決結果には、遺憾であると言わざるを得ません」と回答している。

(編集部注:教会側の回答を3月14日に追記しました)

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