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社員にパワハラ加えて「うつ病」にさせようーー社労士「首切りブログ」を弁護士が検証
2015年12月11日 11時34分

「社員をうつ病に罹患させる方法」。そんな見出しの記事を掲載した愛知県の社会保険労務士のブログが物議をかもした。

ブログは「すご腕社労士の首切りブログ」というタイトルで、「モンスター社員の解雇のノウハウをご紹介!!」とある。会社目線で、会社にとって迷惑な社員に対する対抗策を紹介していた。

話題になった「社員をうつ病に罹患させる方法」の記事では、上司に逆らう、遅刻する、たばこでサボる「モンスター社員」を会社から追放したいという質問に対して、「合法なパワハラ」をして社員をうつ病に追い込むやり方を指南した。

社会保険労務士がブログで説明していた「合法的パワハラ」の手法を、以下に引用したい。

「まずバツを与えるべき根拠を就業規則に盛り込みましょう。

(1)就業時間中の喫煙の禁止 

(2)上司に文句を言うことの禁止 

(3)遅刻の禁止  

そしてこれから違反した場合には厳しく処罰を与えることを決めます。そして指導として本人に反省文書を書かせることです。これもバツの一つです。適切合法なパワハラを行ってください。適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう

(1)まずノートと筆記具を用意します。

それから、ノートに自分が今まで行ってきた失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること、不快に感じたこと、悲しかったことなどを思い出せるだけ書き、その事柄に対して自分に非があるように関連付けて考えて書いていくことを繰り返しましょう。うつ状態というのは自分を責める病気なので、後悔の量が多ければ多いほど(過去に否定的な執着する程)発症し易いです。

(2)次にモンスター社員に降格減給 与えて経済的にダメージ与えます。適切な理由でっち上げましょう

(3)そして万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくことです。なぜなら因果関係の立証は原告側にあり、それを否定する証拠を作成しておくことは、会社の帰責事由を否定することになるからです。したがってそれができればうつ病自殺されても裁判で負けることはありません。

(4)本当にうつ直前になったら、休職命令与えてもいいでしょう。休職満了による退職でも可能でしょう。

その際には企業法務労働法務に詳しい特定社労士のサポートを得ることが必須となります。

モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ」

このブログがはてなブックマークで話題となり、「これはひどい」「モンスター社労士だ」といった批判が集まった。その後、ブログは閲覧できない状態になった。この社労士は自分が推奨する手法が「合法」だと書いていたが、本当なのだろうか。労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。

「社員をうつ病に罹患させる方法」。そんな見出しの記事を掲載した愛知県の社会保険労務士のブログが物議をかもした。

ブログは「すご腕社労士の首切りブログ」というタイトルで、「モンスター社員の解雇のノウハウをご紹介!!」とある。会社目線で、会社にとって迷惑な社員に対する対抗策を紹介していた。

話題になった「社員をうつ病に罹患させる方法」の記事では、上司に逆らう、遅刻する、たばこでサボる「モンスター社員」を会社から追放したいという質問に対して、「合法なパワハラ」をして社員をうつ病に追い込むやり方を指南した。

社会保険労務士がブログで説明していた「合法的パワハラ」の手法を、以下に引用したい。

「まずバツを与えるべき根拠を就業規則に盛り込みましょう。

(1)就業時間中の喫煙の禁止 

(2)上司に文句を言うことの禁止 

(3)遅刻の禁止  

そしてこれから違反した場合には厳しく処罰を与えることを決めます。そして指導として本人に反省文書を書かせることです。これもバツの一つです。適切合法なパワハラを行ってください。適切にして強烈な合法パワハラ与えましょう

(1)まずノートと筆記具を用意します。

それから、ノートに自分が今まで行ってきた失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること、不快に感じたこと、悲しかったことなどを思い出せるだけ書き、その事柄に対して自分に非があるように関連付けて考えて書いていくことを繰り返しましょう。うつ状態というのは自分を責める病気なので、後悔の量が多ければ多いほど(過去に否定的な執着する程)発症し易いです。

(2)次にモンスター社員に降格減給 与えて経済的にダメージ与えます。適切な理由でっち上げましょう

(3)そして万が一本人が自殺したとしても、うつの原因と死亡の結果の相当因果関係を否定する証拠を作っておくことです。なぜなら因果関係の立証は原告側にあり、それを否定する証拠を作成しておくことは、会社の帰責事由を否定することになるからです。したがってそれができればうつ病自殺されても裁判で負けることはありません。

(4)本当にうつ直前になったら、休職命令与えてもいいでしょう。休職満了による退職でも可能でしょう。

その際には企業法務労働法務に詳しい特定社労士のサポートを得ることが必須となります。

モンスター社員に精神的打撃与えることが楽しくなりますよ」

このブログがはてなブックマークで話題となり、「これはひどい」「モンスター社労士だ」といった批判が集まった。その後、ブログは閲覧できない状態になった。この社労士は自分が推奨する手法が「合法」だと書いていたが、本当なのだろうか。労働問題に詳しい山田長正弁護士に聞いた。

●裁判では、違法と評価される可能性が高い

そもそも、実際問題として、うつ病に関しては、うつ病に罹患しやすい『病前性格』が存在するとされています。このブログで示されている方法を講じたところで、対象の社員がうつ病に罹患しにくい性格である場合は、何の効果もありません。

むしろ反感を生み、余計なトラブルを招くだけになることが大いに考えられます。この点は非常に重要であり、まず大前提として押さえておく必要があります。

問題となったブログでは過激な言い回しをしていますが、単純に行動としてまとめると、おおむね次のようなことです。

(1)就業規則において社員の問題行動1つ1つを明確に禁止する

(2)就業規則に反した者には指導として反省文を書かせる

(3)適切な理由を付して降格・減給の措置を行う

(4)場合によっては、うつ病罹患の直前に休職命令を出し、休職期間満了による退職とする

(1)については、通常ありえる合理的な範囲内であれば、適法とされる可能性は高いです。ただし、特定の社員を処分するために、不自然な形で就業規則に盛り込んだ場合等であれば、パワハラであると認定される際の一つの根拠になるリスクがあります。

(2)については、本人の意向に反して就業規則の根拠なく、謝罪させ反省文を出させるのであれば、憲法19条の思想・良心の自由に反するリスクもあります。また、当該ブログで示されているような、反省文において今回問題となった行動以外の過去の事象についても執拗に書かせたりすることも、違法なパワハラに当たる可能性があります。

(3)については、パワハラ等不当な目的があると認定されれば、懲戒権の行使としての降格・減給処分が無効となり得ます。

(4)については、通常会社側から休職命令を出すには、客観的に社員が就業継続できない状態でなければならないため、医師からこのような状態を裏付ける診断書が出される必要があります。

また、うつ病罹患がパワハラによるものであり労災だと社員から主張された場合、通常、休職制度は私傷病を対象にしているため、そもそも休職命令自体が無効になるリスクもあります。

以上のように、(1)から(4)の行為は、違法とならない可能性がないわけではないのですが、トラブルとなり、会社が社員を故意にうつ病に罹患させようと試みていることが、裁判上立証されることがあれば確実に違法となります。


また、社員を故意にうつ病に罹患させようと試みるという社内の空気ないし雰囲気自体、従業員の働きやすさという観点や企業イメージの観点からも、会社にとって望ましくない側面があります。

(弁護士ドットコムニュース)

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