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レシピ本をもとに料理→SNSにアップ…著作権侵害になるの?
2020年09月09日 10時13分

料理をSNSやブログにアップするほど好きな人にとっては、作るだけでなく、そのレシピをシェアすることも楽しみの一つなのかもしれない。ただ、そのレシピはオリジナルのレシピなのだろうか。

都内の主婦・エリコさん(40代)は、自分が作った料理のレシピをSNSにアップすることがある。根っからの料理好きのエリコさんは「これまでにたくさんの料理本や料理番組をみてきました。自分としてはオリジナルのつもりでも、簡単な和え物など料理によっては、これまでに見たプロの料理家と同じレシピになっているかもしれません」と話す。

そこで、SNSにアップすることが、著作権法に違反するのではないかと気になっているそうだ。プロの料理家が本や料理番組で教えたレシピを自分のブログやSNSで紹介した場合、著作権法違反となる可能性はあるのだろうか。あるいは掲載する場合、出典を明示すればよいのだろうか。著作権問題に注力する佐藤孝丞弁護士に聞いた。

料理をSNSやブログにアップするほど好きな人にとっては、作るだけでなく、そのレシピをシェアすることも楽しみの一つなのかもしれない。ただ、そのレシピはオリジナルのレシピなのだろうか。

都内の主婦・エリコさん(40代)は、自分が作った料理のレシピをSNSにアップすることがある。根っからの料理好きのエリコさんは「これまでにたくさんの料理本や料理番組をみてきました。自分としてはオリジナルのつもりでも、簡単な和え物など料理によっては、これまでに見たプロの料理家と同じレシピになっているかもしれません」と話す。

そこで、SNSにアップすることが、著作権法に違反するのではないかと気になっているそうだ。プロの料理家が本や料理番組で教えたレシピを自分のブログやSNSで紹介した場合、著作権法違反となる可能性はあるのだろうか。あるいは掲載する場合、出典を明示すればよいのだろうか。著作権問題に注力する佐藤孝丞弁護士に聞いた。

●著作権侵害になるケースは限られる

ーーレシピは著作物にあたりますか。

そもそも料理等のレシピ自体はアイデアに過ぎず、著作物ではないとされます。したがって一般的に、レシピを使って料理をして、その料理をSNS等でアップロードする行為自体は、著作権侵害とならないといえるでしょう。

もっとも、レシピが文章等の手段により表現され、編集著作物(著作権法12条1項)や言語の著作物(同法10条1項1号)などに該当すれば、著作物として保護されます。

編集著作物においては、具体的な編集物を離れた、編集方法それ自体はアイデアであって保護の対象とはなりません。編集著作物にも該当しないレシピは、言語の著作物にも該当しないとことが多いです。

ーー編集著作物かどうかは、どう判断されますか。

編集著作物に該当するか否かの判断は、ケース・バイ・ケースです。

例えば、料理やシェフの写真、料理のレシピを選択、分類し、料理ごとに配列したものにおいて、「編集者の個性が表れているもの」とされた裁判例があります。

一方で、実用新案出願手続の際に提出された書面の本文中に、「ごはん」、「おにぎり」、「ふりかけ」、「具」、「型当て板」の各用語が記載されたレシピ部分について、著作物にあたらないとされた裁判例もあります。

ーー著作物のレシピ部分をSNSにアップすると、著作権侵害になるのでしょうか。

レシピを含む著作物であったとしても、その利用が直ちに著作権侵害となるとは限りません。 例えば、レシピの部分のみが類似していたとしても、編集著作物としての創作性を再現したといえなければ、編集著作物の複製権を侵害しない可能性があります。

また、編集著作権を行使できるのは、相手方も編集著作物として利用する場合に限定されます。 したがって、編集物(=資料・素材をある方針・目的のもとに集めて書物等の形に整えられたもの)といえる方法で利用されなければ、編集著作権の主張はできません。

上記の整理からすれば、レシピ部分をブログやSNS上で複製した行為が著作権侵害となることは限られたケースといえます。

ーーレシピ部分が著作物性を有する場合、出典を明示すれば良いのでしょうか

著作権法上の引用(著作権法32条1項)の要件(出典表示もその一つとされます。)を満たせば、著作権侵害にはなりません。

ただ、前記したとおり、そもそもレシピの複製行為に著作権侵害が成立するケースが限定的であることから、引用の要件を具備していなかったとしても著作権侵害とならないケースも多いと予想されます。

しかし、著作権侵害の可能性を常に検討してから投稿すべきであることは変わりません。

(佐藤弁護士の見解は、所属する組織の見解を示すものではありません)

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