3128.jpg
ガーナ人男性の「生活保護」、控訴審も認めず…原告側「冷酷な判決だ」
2024年08月06日 16時10分
#生活保護 #ガーナ人

腎臓の病を患って働くことができないのに、外国人であることを理由に生活保護申請を却下されたのは不当として、ガーナ人男性が千葉市を相手取り、却下の取り消しや保護開始決定の義務付けなどを求めた訴訟の控訴審判決が8月6日、東京高裁であった。

松井英隆裁判長は、請求を棄却・却下した1審・千葉地裁の判決を支持して、男性側の控訴を退けた。男性の代理人をつとめる及川智志弁護士は「人としての血が通っていない冷酷な判決だ。怒りを禁じえない」とコメント。判決を不服として、上告するとしている。

腎臓の病を患って働くことができないのに、外国人であることを理由に生活保護申請を却下されたのは不当として、ガーナ人男性が千葉市を相手取り、却下の取り消しや保護開始決定の義務付けなどを求めた訴訟の控訴審判決が8月6日、東京高裁であった。

松井英隆裁判長は、請求を棄却・却下した1審・千葉地裁の判決を支持して、男性側の控訴を退けた。男性の代理人をつとめる及川智志弁護士は「人としての血が通っていない冷酷な判決だ。怒りを禁じえない」とコメント。判決を不服として、上告するとしている。

●来日後に腎臓の病気を患って働けなくなった

原告のガーナ人男性、シアウ・ジョンソン・クワクさんは留学で来日。日本語学校を卒業後は、在留資格(技術・人文知識・国際)を得て働きていたが、週3日の透析が必要な腎臓病を患って働けなくなった

その後、医療を受ける在留資格で滞在しているが、就労は許されておらず、支援者の援助で生活している。ジョンソンさんは生活保護を申請したが、千葉市から外国人であることを理由として却下された。

●「人の命がかかっている問題について悩んだ形跡がない」

ジョンソンさんは(1)外国人も生活保護法に基づく保護の対象にあたる、(2)日本に在留している永住者、定住者などで、生活に困窮している場合、日本人と同様に保護するとするルール(昭和29年厚生省社会局長通知)の対象にあたるなどとして、却下の取り消しを求める裁判を起こした。

1審・千葉地裁は今年1月、(ⅰ)外国人である原告が生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、却下した千葉市の処分にあたらない、(ⅱ)原告が昭和29年通知に基づく保護措置の対象にあたらないと判断。ジョンソンさんの請求を退ける判決を言い渡していた。

この日の判決後、ジョンソンさんと代理人は東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いた。及川智志弁護士は、高裁判決について「人の命がかかっているという問題について悩んだ形跡がない。機械的にジョンソンさんの請求を棄却・却下した(1審)判決をそのまま踏襲した」と述べた。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る