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ジャニーズ会見で明らかになった「NG記者リスト」、PR業界の"常識"で「台本も当たり前です」
2023年10月05日 16時39分
#ジャニーズ性加害問題

ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が10月2日に開いた記者会見で、特定の記者に「質問を指名しない」と決めたNGリストが用意されていた問題は、会見を運営したPR会社「FTIコンサルティング」が10月5日、資料の存在を認めて謝罪した。

実は、PR業界において、企業の記者会見の出席を断るメディアや、指名しない記者をリストアップすることは"常識"とされる。

ただ、深刻な問題に丁寧に取り組むべき企業の会見で「メディアを選別」していた事実が公になれば、企業の信頼を傷つけるものと受け止められてしまう。

弁護士ドットコムニュースでは、匿名を条件として、あるPR会社代表に「NG媒体」「NGリスト」の設定と、今回の問題を受けて「メディア・コントロール」の今後について聞いた。

ジャニー喜多川氏による性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所が10月2日に開いた記者会見で、特定の記者に「質問を指名しない」と決めたNGリストが用意されていた問題は、会見を運営したPR会社「FTIコンサルティング」が10月5日、資料の存在を認めて謝罪した。

実は、PR業界において、企業の記者会見の出席を断るメディアや、指名しない記者をリストアップすることは"常識"とされる。

ただ、深刻な問題に丁寧に取り組むべき企業の会見で「メディアを選別」していた事実が公になれば、企業の信頼を傷つけるものと受け止められてしまう。

弁護士ドットコムニュースでは、匿名を条件として、あるPR会社代表に「NG媒体」「NGリスト」の設定と、今回の問題を受けて「メディア・コントロール」の今後について聞いた。

●記事の書き方や質疑応答に注意が必要な記者は「NGリスト」入り

10月2日の会見の質疑応答では、挙手した複数の記者から「指名されなかった」として、不満があがっていた。

NHKが10月4日、数人の記者を指名しないようにする「NGリスト」とみられる紙を運営会社が持ち込んでいたと報じ、それを受けてジャニーズ事務所は関与を否定していた。

ジャニーズ事務所の主張通り、PR会社は10月5日に「弊社が作成し、運営スタッフ間で共有したもの」と釈明し、記者やジャニーズ事務所に謝罪した。

メディアとの積極的な対話を新たな方針とするジャニーズ事務所にとって、「NGリスト」の存在が発覚したことは、記者会見で語られたこと、ひいては事務所への信頼を損ねる事態につながるものだ。

ただ、PR業界では、記者会見の「NGリスト」をつくることは不自然ではなく、当たり前のこととして存在するという。

あるPR会社の代表は、一般論として「NGリスト」の実態を次のように語る。

「記者会見への参加を断ったり、質問をあてる際に要注意とみなされるメディアを『NG(要注意)媒体』と呼び、そうしたメディアや記者を『NGリスト』の一覧に入れます。

NGにする対象は、記事の書き方や、発信のタイミング、質疑応答に注意が必要と想定されるメディアと記者です」

記者会見は、謝罪や商品・サービスのPR、何か目的があって開かれる。その目的を果たすため、企業とPR会社は事前に「台本」「想定ストーリー」をつくるという。

「記者会見には台本がもちろんあって、展開をある程度予測しながら作っています。想定質問も準備してあるのですが、イレギュラーな事態が起きないように、PR会社が仕切って台本通りに進めていきます」

NGリストを設定する最大の理由は「その想定ストーリーから離れた内容になることを避けるため」に他ならない。

●記者会見で「NGリスト」を用意することが致命傷に?

さて、記者会見の「NGリスト」の存在に注目が集まってしまった。PR業界関係者も今回の騒動を注意深く見つめているという。

「想定ストーリー上は要注意人物とみなした記者やメディアも記者会見から排除するのではなく、お越しいただくようにする方向は変わらないのでは。そのうえで、要注意の相手には個別対応することで炎上を避けることが可能かと思います。避けたり、逃げたりすると、記者の怒りはさらに増すので、過去に、特別に個別対応をしたことがあります」

他のメディアに先んじてインタビューを設定したり、会見前に情報提供するようなことが「個別対応」だという。

「会見後の個別対応もありうるのですが、情報展開が他のメディアより遅くなるため、事前対応が一般的です。要注意の相手に優越感を与えることが重要となります」

取材を受けたPR会社代表は最後に「自分であれば、今回のジャニーズ事務所の会見は絶対に引き受けません。どのようにやろうが叩かれるのは間違いなく、結果的に自分のPR会社のマイナスPRになるからです」と述べた。

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