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「法曹機能集約」もアクセス少し不便に? 福岡の「新裁判所」が業務スタート
2018年08月20日 18時44分

福岡市中央区の九州大学六本松キャンパス跡地に移転した裁判所の新庁舎が8月20日、業務を開始した。地裁・高裁・簡裁・家裁の4機能が同居する国内初の施設だ(家裁は27日)。ただし、移転前に比べて、市街地からのアクセスが悪くなったという声も少なくない。

福岡市中央区の九州大学六本松キャンパス跡地に移転した裁判所の新庁舎が8月20日、業務を開始した。地裁・高裁・簡裁・家裁の4機能が同居する国内初の施設だ(家裁は27日)。ただし、移転前に比べて、市街地からのアクセスが悪くなったという声も少なくない。

●本格的に裁判が始まるのは27日の週から

弁護士ドットコムニュースの記者は20日午前、天神から西鉄バスに約20分揺られて、裁判所に向かった。移転前の裁判所なら地下鉄で5分程度、歩いても15分ほどだった。「バスだと時間が読みづらい。路線も複数あるので、慣れていない人は時間通りに着けるか不安になるかもしれない」と感じた。

金属探知機のゲートを潜り、中に入ると、受付で「開廷表はないの?」と尋ねる来庁者の姿があった。しかし、一般傍聴できる裁判はしばらく開かれない。裁判所広報によると、「もっとも早い期日は、24日にある高裁の民事事件(和解期日)。傍聴できる事件が、本格的に始まるのは来週(27日の週)からです」とのことだ。

新しい裁判所は、移転前の庁舎の老朽化に伴い建設された。地上12階、地下2階で総工費は約191億円。地下には食堂と売店(デイリーヤマザキ)が入る。まだ荷物の搬入が残っており、床などには養生用の青い資材も目立つ。執務スペースにはダンボールが積み上げられ、荷物を整理する職員の姿もみられた。

●移転前の庁舎は舞鶴公園に編入へ

一方、地裁、高裁、簡裁が入っていた裁判所合同庁舎(中央区城内)は業務を停止。同日、訪れてみると、大型トラックが出入りし、荷物を運び出していた。今後は、隣接する舞鶴公園に編入され、広場などになるという。そばにある家裁(同区大手門)は通常業務を続けているが、内部では27日の移転に向け準備が進んでいる。

旧庁舎

家裁

●交通アクセスはやや不便に 

新しい合同庁舎の近隣では、検察庁などが入る庁舎や弁護士会館の建設もすすむ。2017年には、九大の法科大学院も開所するなど、六本松に法曹機能が集まっている。

だが、市外・県外の利用者にとっては、ややアクセスが悪くなったと言えそうだ。

これまでの裁判所は、最大の繁華街・天神の隣にある赤坂駅からすぐの場所にあった。家裁もそこから5分かからない。地下鉄(空港線)を使えば、飛行機や新幹線で福岡に来た利用者でも、福岡空港駅や博多駅から15分程度で裁判所に移動できたのだ。

一方、新庁舎だと、市外・県外の利用者の多くは博多駅からバスに乗るか、天神駅から約550mのところにある地下鉄七隈線・天神南駅を使って、六本松駅に向かうことになる。ルートにもよるが、いずれも博多駅から30分弱かかる見込みだ。

ただし、2016年の「博多駅前道路陥没事故」で予定が2年遅れたが、七隈線が博多まで延伸されれば(2022年度予定)、利便性が大きく上がりそうだ。

路線図

●弁護士事務所、急激な移転はない?

裁判所の移転により、旧庁舎付近の赤坂・大手門エリアに法律事務所を構える弁護士の中には、事務所移転を検討する弁護士もいるようだが、劇的な変化はなさそうだ。

染矢修孝弁護士は2016年1月、裁判所の移転も見越して六本松で開業した。当時、周辺に法律事務所は少なかったが、この2年半で少しずつ増えてきたという。ただし、テナントビルがあまり多くない関係で、急激な増加はなさそうだと話す。

「移転前の裁判所には、車で移動していました。(旧裁判所があった)赤坂周辺の事務所もこれまでのように徒歩は難しいですが、バスなどで通える範囲ですから、大きな支障はないと思います」(染矢弁護士)

六本松エリアはかつて学生街として栄えたが、2009年の九大移転後、賑わいが減った。再開発もすすむ中、今後どんな街になっていくか、注目が集まっている。

(弁護士ドットコムニュース)

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