3400.jpg
コンビニ店主、カッター片手に「県外ナンバー」退去迫る…被害男性、本社に再発防止策求める
2020年07月29日 17時01分

新型コロナウイルス感染が拡大する中、金沢市内のコンビニチェーン「ファミリーマート」の店主が、「県外ナンバー」の男性客に対して、カッターナイフを片手に退去を求めるというトラブルがあった。男性客はすでに、店主側の謝罪を受け入れており、告訴も損害賠償請求もするつもりはないが、一方で、コンビニ本社の対応には受け入れがたいものがあると述べる。

新型コロナウイルス感染が拡大する中、金沢市内のコンビニチェーン「ファミリーマート」の店主が、「県外ナンバー」の男性客に対して、カッターナイフを片手に退去を求めるというトラブルがあった。男性客はすでに、店主側の謝罪を受け入れており、告訴も損害賠償請求もするつもりはないが、一方で、コンビニ本社の対応には受け入れがたいものがあると述べる。

●男性の車は県外ナンバーだった

客の男性によると、次のようなトラブルだった。

男性は7月16日未明、買い物をするため、金沢市内のファミリーマートの駐車場に車を停めた。すると、店主が店から出てきて、男性に車のエンジンを止めるよう言った。

その際、店主は、男性の車が県外ナンバーであることに気づいて、「金沢ナンバーじゃないとまわりからいろいろ言われてしまう」として退去を求めた。

男性は富山県内在住だったが、車のナンバーはそれ以前に住んでいた関西地域のもの(「なにわ」ナンバー)だった。

男性は抗議したうえで、買い物をしようと店内に入ったところ、店主がバックヤードから刃が出たままのカッターナイフを握って現れたという。

●コンビニ本部の「不誠実さ」に納得できず

男性はその日のうちに、ファミリーマートの公式ホームページから苦情を申し立てた。翌7月17日、店主とファミマ側の社員が男性に謝罪した。

「店主は何が問題だったのか、よく理解したうえで謝っていただきましたし、現場担当の社員さんも非常に丁寧にトラブルの処理にあたってくれました」(男性)

男性は、現場レベルの謝罪は受け入れることした。しかし、ファミリーマート本社から届いた書面には納得がいかず、そちらは受け入れていないという。

「今回のトラブルは、コロナ差別なので、どこでも同じようなことが起こりうると思います。どのように対応するのか、本社としての見解と再発防止策を聞きたかったのですが、十分な回答が得られませんでした。

ある意味で、店主もコロナの被害者です。コロナの恐怖が煽られている中、他府県の客にどう対応して良いかわからないような状況です。だからこそ、本来なら、コンビニ本社が、加盟店や店主が安心して接客できるような指針を示すべきでしょう」(男性)

カッターナイフを持ち出した店主の行為は刑事事件にもなりうるようなものだったが、男性は、刑事告訴したり、店主の処分を求めているわけではない。それ以上に本社の「不誠実さ」には納得できないとのことだ。

●「フランチャイザーとしての社会的責任を果たすべき」

男性とファミリーマート側とのやり取りにオンラインで同席した鐘ケ江啓司弁護士は、弁護士ドットコムニュースの取材に次のようにコメントした。

「ファミリーマート本社は、事態の重大さを認識していないように思えます。この事件は、加盟店が、コロナウイルスを理由に地域差別をして、カッターナイフの刃を見せながら退去を求めたという違法性の高い事案です。本部としての見解と、再発防止策を公表すべきです。現時点では、ファミリーマート本社はフランチャイザーとしての社会的責任を果たしていないと言わざるを得ません」

【追記】2020年7月30日12時 弁護士ドットコムニュースは、ファミリーマート本社に取材を申し込んでいるが、30日12時現在まで返答はない。回答があり次第、追記する予定。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る