341.jpg
タイムカードは「8時ー17時」なのに過労死、本当は「月213時間」残業 労災認定
2019年08月06日 17時15分

建設会社で働いていた男性(当時46)が2018年5月、くも膜下出血で亡くなったのは、長時間労働が原因だったとして、厚木労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は7月29日付。遺族と代理人らが8月6日、東京・霞が関の厚生労働省で会見を開き、明らかにした。

男性の妻は「家族を大切にする会社と社内報でうたわれていたと記憶していますが、過酷な仕事のために主人を失ったことで、社員も家族も大切にはされていないと実感しています」と語った。

建設会社で働いていた男性(当時46)が2018年5月、くも膜下出血で亡くなったのは、長時間労働が原因だったとして、厚木労働基準監督署が労災認定していたことがわかった。認定は7月29日付。遺族と代理人らが8月6日、東京・霞が関の厚生労働省で会見を開き、明らかにした。

男性の妻は「家族を大切にする会社と社内報でうたわれていたと記憶していますが、過酷な仕事のために主人を失ったことで、社員も家族も大切にはされていないと実感しています」と語った。

●代理人がパソコンのログ記録や業務用携帯の履歴など調査

代理人らによると、男性は1990年4月、道路建設などをおこなう福田道路(本社・新潟市)に総合職として入社。2005年5月から、神奈川県内の営業所で工事現場の監督のほか、営業所全体の管理・監督などの社内業務をおこなっていたという。

男性は2018年5月25日、業務中にコンビニから出てきたところの路上で突然倒れ、病院に救急搬送されたが、そのまま意識は戻らず、5日後の5月30日に亡くなった。

タイムカード上、男性の勤務時間は8時から17時となっていた。しかし、代理人が、男性の社用パソコンのログ記録や業務用携帯の履歴などを調べたところ、亡くなる前6カ月の間で、最大約213時間、平均で月約144時間の時間外労働がおこなわれていたことがわかったという。

労基署は、発症前の3カ月から6カ月平均の時間外労働時間について「いずれも認定基準の平均80時間を超えている」として、男性の死亡が業務に起因するものだと認定した。

男性の妻は「早出、残業が毎日のように続いていたのに、規定の勤務時間8時から17時で勤務表を提出しなければならなかったことは理解できない」とした。

●男性は「管理監督者」に該当せず 未払い残業代も

代理人の川人博弁護士によると、厚木労基署は、男性が「管理監督者」にはあたらないとし、未払い残業代があることも認めた。今後は未払い残業代の支払いも含めて、会社と話し合いをする方針だという。

福田道路の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に、次のようにコメントした。

「ご遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。労災認定がされたこと、今回の事態を防ぐことができなかったことを重く受け止めております。長時間労働や休日出勤を防ぎ、これまで以上に再発防止に努めたい」

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る