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法曹人口の縮小は「日本の競争力を劣化させる」 若手弁護士の支援団体が発足
2014年05月15日 18時31分

法科大学院の学生数減少や若手弁護士の就職難を防ぐため、弁護士や大学教授らが5月14日、「ロースクールと法曹の未来を創る会」を発足させ、設立総会を開いた。今後、法科大学院(ロースクール)の教育を充実させるための支援や、若手弁護士に対する研修機会の提供、留学支援などを行う。

2004年に法科大学院がスタートした当初は、司法試験の年間合格者数を3000人程度に増やすことを目指していたが、実際は2000人程度にとどまっている。それを受け、2004年に7万2800人いたロースクール志望者は、2014年には1万1450人にまで減少している。

設立総会で、代表理事の久保利英明弁護士は、

「3000人合格と言って、守らないのであれば、ロースクール志望者の激減は想定されたことだ。どの国でも司法制度と法曹の強化に力を入れている。国際競争の行方を左右する中核的なインフラだ。日本だけが、法科大学院制度を後退させる方針を出している。日本の人権状況と競争力を劣化させる暴挙だ」

と発言。当初の「3000人合格」という目標を撤回して、法科大学院の統廃合を進めようとしている国の姿勢を批判した。

法科大学院の学生数減少や若手弁護士の就職難を防ぐため、弁護士や大学教授らが5月14日、「ロースクールと法曹の未来を創る会」を発足させ、設立総会を開いた。今後、法科大学院(ロースクール)の教育を充実させるための支援や、若手弁護士に対する研修機会の提供、留学支援などを行う。

2004年に法科大学院がスタートした当初は、司法試験の年間合格者数を3000人程度に増やすことを目指していたが、実際は2000人程度にとどまっている。それを受け、2004年に7万2800人いたロースクール志望者は、2014年には1万1450人にまで減少している。

設立総会で、代表理事の久保利英明弁護士は、

「3000人合格と言って、守らないのであれば、ロースクール志望者の激減は想定されたことだ。どの国でも司法制度と法曹の強化に力を入れている。国際競争の行方を左右する中核的なインフラだ。日本だけが、法科大学院制度を後退させる方針を出している。日本の人権状況と競争力を劣化させる暴挙だ」

と発言。当初の「3000人合格」という目標を撤回して、法科大学院の統廃合を進めようとしている国の姿勢を批判した。

●「ロースクールはダメだという前に改革を」

今後の具体的な活動については、「創る会」理事の斎藤浩弁護士が、「ロースクール改革」と「若手弁護士の支援」の二つを挙げた。

「司法改革を力強く続行するための基盤整備には、ロースクールが重要。合格率を高める努力をしないといけない。(合格すればロースクールを経ないで司法試験の受験資格が得られる)予備試験については、大いに改革努力が必要だ。10年で見限って『ロースクールはダメだ』と言う前に、改革をすることが、活動方針の第一になる。政府の検討会に物申したい」

また、若手弁護士の支援として、次の4項目をあげた。

(1)経済団体や労働組合、消費者団体などと協議し、社内弁護士、顧問弁護士、相談員などの枠を数万社単位で開拓し、紹介する

(2)法廷外業務、企業法務、自治体法務、各種ADR法務などの高度かつ実践的研修を無料で提供する

(3)留学を援助し、渉外法務への具体的橋渡しをする

(4)専門分野に精通した弁護士を組織し、無料でその知識・経験を利用できる体制を整える

このように説明する一方で、斎藤弁護士は「この会について、ネットで批判が渦巻いている。なんでこんなものを作るのか、遅すぎる、無責任という批判だ」と、「創る会」に対する反応を口にした。それに対して、「日弁連でできないことを『創る会』ができるのかという内容もあるが、『見ておいてよ』というのが答えだ。批判をしている人も一緒になって、新人のために頑張ることのできる法曹業界を作りたい」と語り、意気込みをみせていた。

今後、「創る会」は、500人規模の会員確保を目指して、活動を本格化させるという。

(弁護士ドットコムニュース)

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