配偶者の不倫相手に慰謝料を請求したところ、「貯金がなくて払えない」と言われてしまった——。弁護士ドットコムには、当事者たちから様々な相談が寄せられています。

既婚男性との不倫がバレてしまい、男性の妻から慰謝料請求をされているという女性は、「もし慰謝料請求されたら、男性が自分で払ってくれると言ってくれていました」といい、自分で払う気はないようです。

また、別のケースでは、慰謝料を支払えないため、不倫相手である男性に借金して、男性の妻に支払うことにした女性もいます。

こうした対応に憤るのが、慰謝料を請求した側であるサレ妻たち。SNSで「不倫女の慰謝料が、我が家の収入から出ていくのはおかしい」と激怒しているサレ妻の投稿がありました。

不倫をした女性が支払うべき慰謝料なのに、不倫相手の男性が肩代わりしたり、お金を貸してあげたりすることは認められるものなのでしょうか。夫婦間のトラブルに詳しい原口未緒弁護士に聞きました。

●法律的に問題はないの？

「妻が不倫相手に慰謝料請求した場合に、不倫相手が夫に泣きつき、実際には夫が払う、というケースはとても多いです」

原口弁護士はこう話します。法律的には認められている行為なのでしょうか。

「法律的には、もちろん許されます。不倫相手が、支払い原資をどのように調達するのかまでは規制されているものではありませんから。

妻にとっては、自分たちの世帯の収入から慰謝料が支払われることになります。相手が支払えず、夫が肩代わりしてしまう可能性がある場合には、『それでは意味がない』ということで、慰謝料請求自体を断念する妻もいらっしゃいます。

一方で、夫が肩代わりしたとしても、自分が自由に使えるお金が増えるのであれば構わないと考える妻もいらっしゃいます。逆に、夫が慰謝料を多く払うことで、夫をギャフンと言わせたい、痛手を負わせたい、という妻もいらっしゃるようです」

●不倫されてしまった女性たちへ

しかし、夫が肩代わりしたり、お金を貸したりすれば、不倫した女性を経済的に苦しめる「復讐」ができないことになるので、理不尽な思いにまた傷つく妻も多いと思います。どうしたら、心穏やかでいられるのでしょうか。

「私自身、心理的なカウンセリングを受けたり、勉強をしてきたりしています。以前、私が不倫された女性たちの怒りをカウンセラーの方に話したところ、『あら、その方たち、自分のこと、大事にしていないのね』と言われたことがあり、目から鱗でした。

不倫をされてしまった女性に、あえてアドバイスをお伝えするならば、ぜひ辛い思いをされたからこそ、悲しい思いをされたからこそ、そこまでご主人のことを愛していたのだ、自分を大切にされたいと思っているのだというご自分の本音に素直になっていただければと思います。

そして、それを素直に夫に伝えてみてください。そうでなければ、妻の気持ちが伝わらず、本当の意味での夫婦の再生を果たすことはできません。

ぜひ、『ご自分を大切に』をキーワードにしていただきたいと思います」